8日、参議院本会議において小泉首相の施政方針演説に対する各党の質問が行われ、民主党・新緑風会を代表して柳田稔議員が発言を行った。
柳田議員は冒頭、与党内の抵抗勢力が勢いづき、構造改革は進まないのではないかという国民の危惧を代弁し、首相の見解を求めた。首相は、「支持率が高かろうが低かろうが、構造改革の決意はまったく変わらない」などと繰り返し、抵抗勢力との関係については触れなかった。
次に柳田議員は、深刻な経済の現状を訴え、「一体いつになったら景気が回復するのか、職を賭して明言せよ」と迫った。しかし首相は、「今年度の後半には緩やかに回復に向かうことを期待している」などと暢気に答えるだけだった。
超少子高齢社会における社会保障ビジョンをめぐっては、首相、坂口厚労相とも「子育てに希望の持てる社会」といった題目以上唱えられず、何ら政策の検討も進んでいないことが明らかになった。
医療制度改革については、抜本的な制度改革の欠如を批判。サラリーマンの患者自己負担を3割に引き上げる時期をめぐっては、首相が来年4月実施の方針は変わらないとしたのに対し、厚労相は政府・与党の合意を得るのに少し時間がいるとだけ述べ、ニュアンスの違いが明らかになった。
有事法制をめぐっては、シビリアンコントロールの原則が骨抜きにされている現状を批判し見解を求めたが、首相はシビリアンコントロールを「軍事に対して政治を優先すること」などと一般化し、骨抜きになっているとは思わないと反論した。
最後に柳田議員は、最近の首相の手法や行動には疑問を持たざるをえないとし、田中前外相を更迭しながら武部農水相ををそうしないのはなぜか、と詰め寄った。しかし首相は、「(農水相の)不信任が否決され、信任を得られた」などとして居直った。
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