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2007/10/25
「取調べ可視化」法案作成に向け、冤罪被害者から参考意見聴取
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 民主党法務部門は25日午前、国会内で会議を開催。「刑事訴訟法改正案(取調べの可視化)」の法案作成における参考意見として、冤罪被害者となった志布志(鹿児島県議選)事件元被告人・中山信一氏、富山冤罪事件元被告人・柳原浩氏からヒアリングを行った。

 冒頭、細川律夫ネクスト法務大臣が挨拶し、「この先二度と冤罪を犯させない法をしっかり作ることが私たちに課せられた使命である」と明言。ヒアリングに応じてくれた両氏に御礼を述べるとともに、「色々な体験を聞かせてほしい」と求めた。

 中山氏は、「早く認めたら出られるよ」といった捜査段階での自白強要や、長時間の勾留、最後は警察官が土下座までして「1回は認めてくれ」と迫った実態について説明。「全く身に覚えのないことであり、警察がストーリーを作り出したもの」として、「『冤罪』ではなく警察・検察による『犯罪』である」と指弾し、「二度とこのようなことが起きないよう、取調べの可視化をぜひ実現させてほしい」と涙ながらに訴えた。

 また、「国民のための警察ではなく、警察のための警察であると痛感した」と述べ、警察組織の体質に言及。「良心的な人はつぶされる」との見解を示し、完全なタテ社会の中で「真実は違う」と思っても声として上がってこない構造があるとの見方を明らかにした。さらに、事件の担当本部長が4人も替わっている実態を「民間ではありえないこと」と指摘し、「指揮した人は最後まで事件と関わっていて責任をとるなど筋を通してほしい」と求めた。

 柳原氏は、任意同行と言いながら勤務中に突然6人に囲まれ強制的に連行、長時間拘束されたこと、弁護士との接見を拒否されたこと、出所後も犯罪者として世間の冷たい視線を浴びせられたことなどを切々と告白。「『やっていない』と言っても信じてもらえず、『もうダメだ』と思い自白すると、1分もしないで逮捕状が出された」事実にも触れ、「可視化があればこのようなことにはならなかったのではないかとの思いでいっぱい」と語った。

 両氏の話から、はじめから犯罪者扱いでの威圧的で横暴な態度で取り調べに臨む警察官の実態が浮き彫りに。柳原さんが、冤罪となった今も警察・検察からは明確な謝罪がないどころか「『自白したあなたにも否がある』と言われた」と述べると、議員たちは怒りを通り越して呆れる一幕もあった。

 中山氏は最後に、再発防止には取調べの可視化は不可欠である、との考えを改めて明示し、全ての事件を対象に可視化するよう求めた。さらに、警察の情報誘導により捜査の段階から犯人として演出・報道されていく過程を問題視。報道関係者に対して「中立で慎重な報道を」と求めた。

 ヒアリング後、細川ネクスト法務大臣は、「自白偏重、犯罪が容易に作られる実態が明らかになった」と述べ、「今日の意見を参考にしながら民主党としてできることを行っていく」との決意を表明した。

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