衆議院テロ防止・イラク支援特別委員会で29日午後、守屋前防衛事務次官の証人喚問が行われ、国会対策副委員長の松野頼久議員が川内博史議員に続いて質問。まず、テロ対策特別措置法に基づくインド洋での海上自衛隊による給油量に関して、米艦に海自の補給艦から補給された量が80万ガロンだったにも係らず20万ガロンとされてきた隠ぺい問題について質した。
給油量のとり違いは入力ミスとされている点に関して、2003年、防衛庁在任当時承知していたかを質問。それに対して守屋前事務次官は「今年、報道で知った」と回答したが、松野議員は同日防衛庁から示された、給油量に関する問合せへの米国大使館からの回答書と目される文書を提示。その文書のあて先が「守屋防衛局長」となっている点を指摘したうえで、重ねて防衛庁当時からの関与を追及した。
しかし、守屋証人は「そういう問題が報道であったので、公使にアメリカ政府の考え方を出してほしいとお願いした経緯はある。それに基づいて回答してきたもの」などと逃げの答弁。松野議員は海自が米国給油艦に対して80万ガロンの給油を行ったとの記事があることも示したうえで、入力ミスで済まそうとする論理には無理があると指摘。また、「それを当時の防衛局長がご存じないというのはこれも無理がある」と語った。
さらに、「防衛局長が知らないのは考えられない。制服組の入力ミスで、その人間を処分するのでいいのか」との追及に守屋証人は、「私に言えるのは当時の知見。この問題が起きてからの情報には接していないので適切にお答えできない」なとど答弁した。ただ、この問題が取り沙汰された03年当時、福田官房長官(当時)、石破防衛庁長官(同)の答弁書作成時に関わったかとの問いには「防衛局で作った答弁は私が責任を持って官邸に届けている」とし、関与を肯定した。しかし、「省内記録を読み違った、それを押し通せという会話がなかったか」との松野議員の重ねての問いには、「承知していない」と突っぱねた。
続いて松野議員は、防衛専門商社「山田洋行」の元専務から守屋前防衛事務次官へのゴルフ接待について追及。「お金を払ったか」「便宜供与、接待という認識はなかったか」との問いに守屋証人は「1万円を払っている」「その前に倫理規定違反であるので申し訳なく思っている。1万円は社員割引を使わせてもらったという認識」だと語った。
喚問を通じて松野議員は、守屋証人の妻も贈答品を受け取ったり、相当数の回数飲食の接待を受けていたことを指摘。にもかかわらず守屋証人はあくまで、「便宜供与という認識はない」としたが、松野議員はこれだけ多くの接待の実態から見ても、対等の友人関係とは思えないと指弾。「一方的にあなたが得ているものの方が多い。それで政策がゆがめられたのではないか」と官業癒着によるゆがみを厳しく批判した。
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