<概要>
民主党は、インターネットによる選挙運動を解禁するための「公職選挙法一部改正案」を、議員立法で国会に提出する
<制度の現状と法改正の必要性>
インターネットのホームページは、有権者が選挙期間中に知りたい候補者の経歴や政治信条、公約などの情報を、きめ細かく、低廉かつ広範に提供できるとともに、有権者が必要に応じて情報を手に入れることができるメディアである。
現行の公職選挙法では、インターネットのホームページを使っての選挙運動を禁止する明文の規定はないが、法で認められている「文書図画」に該当しないため、現行法上では選挙運動に関する情報を掲載、提供することが実質的に禁止されている。
公職選挙法の「文書図画」の制限規定の立法趣旨は、主に「カネのかからない、公平な選挙」を確保するためのもので、物量にものをいわせた選挙運動を抑制するためのものといえる。 印刷費のかさむビラやポスターに比べ、インターネットのホームページは低廉なコストで広範囲に情報を提供することができる。
日本のインターネット人口は、98年末には1385万人に達すると予想されている中、、有権者からも、選挙運動でこそインターネットを活用できるように制度を整備して欲しいとの要望が、これまでにも多く寄せられてきている。
選挙の投票率が低迷している現状もふまえ、有権者の選挙への関心を高めるためにも、選挙情報、候補者情報の流通手段の多様化が不可欠であり、ホームページはこの点でも有用である。政策本位の選挙、有権者との対話を実現するためにもきわめて有効な手段である。また、先の公選法改正で投票権が一部認められた在外邦人への広報手段としても有効である。
この公職選挙法改正で、インターネットのホームページでの選挙運動が可能になることによって、政策本位の有権者との対話が実現する。また、ホームページからの情報提供によって、有権者の選挙に対する関心が喚起されることを期待している。
<法案の内容>
公職選挙法第142条(文書図画の頒布)の関連条項を改正し、インターネットのホームページを選挙運動における制限文書とはみなさない規定を設ける。
参考:自治省見解について (自治省選挙部長の国会答弁:予算委員会98/1/26)
「インターネットのホームページなどのようにコンピューターのディスプレイに表示されるものにつきましては、公職選挙法上は文書図画という扱いをされていると解釈をしておりまして、文書図画を選挙運動に用いる場合は一定のものに限定をされておりますので、現行法上はできないという解釈をせざるを得ないわけでございます。これを選挙運動の上でどういうふうに位置づけるかということにつきましては、公選法上の選挙運動につきましては、これまで国会の御審議あるいは各党各会派の御論議を踏まえながら今日の姿に至っておりますので、(中略)まずは国会において十分御論議をいただきたいというふうに考えておるところでございます」
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