18日、衆議院予算委員会の質疑で質問に立った民主党の枝野幸男議員は、外交政策、行政改革、経済・金融政策などをめぐって政府の見解を質した。
枝野議員は冒頭、台湾のWHO加盟問題について質問。台湾がオブザーバーを含めた何らかの形での参加を求めていることに対する日本政府としての立場を質した。しかし川口外相は「加盟国のコンセンサスが重要」と答えるのみ。枝野議員が、台湾と交流の深い国として、中国の代表権に抵触しない形での同国の参加をめざすべきではないか、と提起したことに対しても、何の考えも述べなかった。枝野議員は「国家としての方向性が何もない」と外交の不在を指弾した。
次に、行政改革に逆行する諸問題について追及。まず、政府の特殊法人等整理合理化計画において、官僚OBの「天下り」を人事院承認事項から外し各省大臣の承認制に切り替えたことを取り上げ、「縦割りで予算と権限を握っているトップに天下りの権限を戻すとはどういうつもりか」と質した。石原伸晃行革担当相は、「政省令で厳格な基準を示す。信頼してほしい」としたが、枝野議員は「もともと行政が信頼できるなら行政改革など必要ない」とし、小泉内閣の改革姿勢に大きな疑問を投げかけた。
また、BSE問題に関連して退任した農水省の熊沢次官が食肉業界団体に天下っていた問題も取り上げ、「これだけの問題を起こしても、大臣以下誰も責任を取らないから、まだなおこういうことが繰り返されるのではないか」と厳しく批判。武部農水相は「弁解の余地はない」としながらも、やはり自ら責任を取る考えは示さなかった。
金融機関経営健全化をめぐっては、特に中小企業向け貸出状況について質問。貸出が増えていない現状を指摘し、資金注入にもかかわらず貸し渋りが解消できなかった場合の責任問題についても質した。柳沢金融担当相は、「貸出不振は資金需要低迷の反映」とし、責任問題については「ケースバイケースだ」などと逃げた。
枝野議員は、自民党幹事長などが整理回収機構(RCC)の不良債権買い取り価格を時価から簿価に引き上げる考えを述べている問題についても、閣僚の考えを質した。柳沢金融担当相は「市場価格より高く買うのは、一種の隠れ補助金になる」と否定的見解を示し、塩川財務相、竹中経済財政担当相も「時価が原則」とした。
さらに1月24日の鈴木宗男議員と外務官僚との密会問題では、密会の舞台となった自民党の松岡利勝議員主催の会合が、もともとシリア大使館の土地・建物をめぐるトラブルについての協議の場であったことに関連して、新たな疑惑を指摘。建物を競売で入手した民間会社に引き渡す際に、自民党の谷川和穗議員の秘書を名乗る人物が「外務省とは政治的決着がついているので、執行をやめてほしい」と働きかけていた問題について、外務省側に確認した。重家中東アフリカ局長は「そういう話はない」と否定した。
また枝野議員は、赤坂の料亭で行われた鈴木議員と外務官僚らとの会合には、粗官房参事官、谷崎官房総務課長ら国会担当の職員が参加していた事実を重視。国会質問への対応協議だった可能性が強い、と改めて指摘した。
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