20日、衆院予算委員会で行われたNGO排除問題に関する集中審議で、参考人として出席した田中真紀子前外相に対し、民主党の野田佳彦議員が質問に立った。野田議員は、鈴木議員の関与疑惑、野上前事務次官の発言の真偽、外務省人事の実態、小泉首相の政治姿勢への見解などを質した。
野田議員はまず、NGO排除への鈴木議員の関与を野上前事務次官が明言したとする田中氏の外相当時の答弁について、現在でも同じ見解か、鈴木議員・野上前事務次官の虚偽発言か、と改めて質した。田中前外相は「前事務次官は残念ながらそうだ」とした。
また、「田中前外相の言い分を基本的に否定した政府見解について、前外相も認めたとされているが」と質問。田中前外相は「国会の空転が指摘されるなか、一国会議員としては懊悩したが、総理への恩と深刻な経済情勢のなかで予算審議を先行させなければならないという閣僚としての責任のもと、棒を飲む思いでしたギリギリの選択をした」と胸の内を明らかにした。
続いて、野上前事務次官や田中前外相就任当時に秘書官を務めた上村司氏の就任の経緯について質したのに対し、前外相は「外務大臣は官邸にいるのかと思ったくらい」と説明。外務省人事への官邸の関与の実態を明らかにし、これを改善しない限り外務省改革はなしえないとまで発言した。
野田議員は次に、田中前外相は更迭か依願退職か、と質した。前外相は、「小泉総理が更迭とおっしゃったので更迭」と答弁。さらに、当時「事務次官の人事は、(外相である自分に)任せてもらえないか」と小泉首相に要請したが拒否されたことを明かし、「相打ち」という首相の処置は「まちがっている」との考えを示した。
また、NGO排除の決定についても「事務次官だけで判断し、大臣に上げていないことがそもそも問題」と言葉を強めて指摘。それに官邸がお墨付きを与えている点も極めて問題だと指弾し、「ピンチのときに判断がつかなかったのは総理のためにも残念」ときっぱり批判した。
さらに前外相は、外交機密費の官邸への上納問題・プール金問題について、会計検査院の報告にすべてがあると指摘。報告の是正項目に挙がっている「内閣官房と外務省における事務および経費分担の明確化」、「報償費執行体制の整備・内部確認・監査体制の構築」「第三者によるチェック体制・情報公開・説明責任」が実現されるかにかかっている、と発言した。
最後に川口外相に対して、「新大臣が官僚のペーパーを読んで発言なさり、それで国会が運んでいる。この事実に対し、これが国益なのか、後でほぞを噛むようなことがないよう、われわれ国会議員はしっかりと見ていく義務がある」とまで言い切った。
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