民主党・新緑風会・日本の尾立源幸議員は13日午前、参議院外交防衛委員会の集中審議で、防衛装備品の調達をめぐる疑惑の実態等を福田首相、石破防衛大臣らに質した。
質問の冒頭、年金記録の来年3月末までの照合完了を参院選時も公約としながら、「記録の特定困難」が判明した12日夜、首相官邸で記者団に、「公約違反というほど大げさなものかどうか」と発言した首相の真意を質した。首相は「公約でどういっていたかはさっと頭に浮かばかなった」ため、そうした発言に繋がったなどと答弁。それを受けて尾立議員は、「公約を総理が覚えていない政権なんてありえるのか」と怒りをあらわにした。
続いて尾立議員は、防衛省予算は平成19年度で4兆8000億円、そのうち主要装備品の予算が7436億円にのぼると指摘。「これらは国民の貴重な税金であり、ムダに使われたり、だまし取られるようなことはあってはならない」と主張し、日本と海外の装備品の価格差の実態を示して質問した。
日本の戦闘機(F2)122億円に対し、シンガポール空軍の戦闘機(F16)は53億円と2倍以上の差があり、戦車も日本(90式)9億1000万円に対し米軍(M1−A1)4億円、エアクッション型揚陸艇も3倍近い開きがあることを挙げて、型番や性能の違いによる価格差はあるが、それでも2〜3倍の開きは大きすぎると見解を述べた。
その上で、シンガポールでは戦闘機の一括購入で調達費を安く抑え、英国ではライセンス生産ではなく輸入して修理基盤だけを作る方法により効率的な調達を実現していると紹介、こうした例を見習って改善策を講じるよう石破防衛相に求めた。
尾立議員はまた、2001年度分の防衛装備品調達で、山田洋行による5件の水増しが発覚したことに言及。5524万円の迫撃砲の訓練具を1億7524万円と偽り、水増し率300%を超えて請求した事例もあると指摘した。さらに、こうした事実を踏まえた場合、証人喚問で「過大請求に一切関与はない」と発言した米津・山田洋行社長に更なる確認が必要だとして、米津社長への参考人質疑を開くよう求めた。
尾立議員はさらに、防衛装備品の調達をめぐっては、防衛省が納入業者の見積りをそのまま鵜呑みにして購入する、まさに「自作自演」の慣例化と、会計検査院は何ら実効性ある検査を行っていなかったことを浮き彫りにし、首相は「実際あるとは思うが市場価格をよく調べることはやらなければならない」と答弁した。
尾立議員は、会計検査院による検査の徹底と、調達に関わる防衛省職員自身による価格調査、海外メーカーへの直接問合せ等を行っていく必要性を指摘した。
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