民主党・無所属クラブの赤松広隆議員は、25日午後の衆議院予算委員会における医療改革問題の集中審議で質問に立ち、小泉内閣が決めた健康保険の患者3割負担を柱とする制度改革方針について「本人負担を3割に増やせば本当に抜本改革できるのか」と追及、首相の改革姿勢の内実に根本的な疑問を提起した。
冒頭、赤松議員は、ヤコブ病訴訟の和解協議について質問。22日に、東京・大津両地裁が「国が原告患者全員に一律350万円支払う」ことなどを含む和解案を示したことに関して、長い間苦労してきた患者本人や家族の気持ちを考え、国の責任で早期解決を図るべきではないか、と政府の見解を質した。坂口厚労相は「心からお詫び申し上げる。一律350万円の位置づけは明確にしなければならないが、和解案を最大限尊重したい」と述べたものの、小泉首相は「関係省庁と協議し適切に解決する」と述べるにとどまった。
医療改革について赤松議員は、まず「医療制度は社会保障の根幹であり、いつでも、どこでも、誰でも最善の医療を受けられることが理想だ。私は、医療や健康、人の命は競争原理ですべて計るべきものではないと考える」と前置き。その上で、17日のテレビ番組で坂口厚労相が「小泉首相の考え方は自己責任プラス社会保障、自己負担プラス保険料という考え方だが、私は社会保障プラス自己責任、保険料プラス自己負担と考える」「小泉首相と考えは違うが、これは社長命令だから係長があれこれ言う段階ではなくなった」などと述べたことを紹介し、担当大臣と首相の間で基本的な考え方が違うではないかと指摘すると、厚労相はしどろもどろの答弁を繰り返した。
赤松議員は次に「首相は3割負担を明記しなければ抜本改革の方向は示せないというが、なぜ3割なのか。抜本改革と3割負担はまったく別の話だ」「5年前と同様、結局負担増だけで抜本改革は先送りされるだけではないのか」と首相の姿勢に強く疑問を投げかけた。首相は、「負担と給付の問題はセットでなければならない」としつつも、その根拠を問われると「今まで抜本改革はできなかったから、3割を明示すればできるだろう」などと曖昧な答弁を繰り返すにとどまった。
赤松議員は、「医療制度抜本改革のためには、今までの対症療法型から予防健康管理型への転換が重要」とし、こうした観点での実践を進めている岩手県遠野市では診療件数は増えても保険給付費はむしろ減少しているなどと実例を紹介、こういう方向を目指すべきではないかと提案し、質問をしめくくった。
|