民主党『次の内閣』は20日午後、国会内にて閣議を開催。中国製冷凍餃子に端を発した食の安全問題、在日米海兵隊員の相次ぐ不祥事、イージス艦衝突事故をめぐる日本の危機管理体制の不備を厳しく指摘し、国民の手に政治を取り戻す必要性を改めて確認した。
冒頭、挨拶に立った鳩山由紀夫ネクスト国務大臣(幹事長)は、道路特定財源の問題を中心に予算委員会をはじめ白熱した議論を繰り広げている現状を踏まえ、「国民の皆さんに地域を大事にし、本当の地方主権を目指す民主党の姿を見せていく」として、引続きの徹底論戦を求めた。
沖縄の在日米海兵隊員による不祥事については事態の深刻さを述べるとともに、再発防止策、日米地位協定の見直しについては、協議の申し入れがあった国民新党との共同作業を中心に、野党協力して進めていくと表明。また、海上自衛隊イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突した事故に関しては、行方不明中の2名の安否を気遣い、救出を願う一方、様々な問題点があると指摘。福田首相への連絡が事故発生後約2時間も経過した後であったことを一例に、危機管理の欠如をはじめ、防衛省絡みの問題が頻発する事態に石破防衛大臣にも大きな責任があるとの認識を示した。そのうえで、このような日本を建て直すためにも「一日も早く民主党政権を樹立しなければいけない」と、決意を語った。
法案等の取扱いでは、小宮山洋子ネクスト文部科学大臣、水岡俊一法案担当が民主党議員立法「国公立の高等学校における教育の実質的無償化の推進及び私立の高等学校等における教育に係る負担の軽減のための高等学校等就学支援金の支給等に関する法律案」について説明。2007年の参議院選挙マニフェストの公約である「高校の無償化」を法案化したものであり、公私立間の格差の軽減を図るため、一定の所得制限を設け、私立高校学校等通学者に対しても上乗せ補助を行うといった法案内容を述べた。これは、「何人にも学習権を保障する」との民主党の考え方を大前提にしたものであり、1979年に批准した国際人権規約の中で、高等教育の無償化を留保しているのは151カ国のうちルワンダ、マダガスカル、日本のわずか3カ国であることにも言及したうえで、「高等教育無償化への大きな一歩を踏み出したものである」と、その意義を強調。閣議として法案内容を了承した。
山田正彦ネクスト厚生労働大臣からは、「身体障害者福祉法の一部を改正する法律案」について説明があり、現行法では身体障害者手帳の交付申請には医師の診断書の添付が必要とされているが、そしゃく機能の障害については、歯科医師の診断書で手帳交付申請ができるようにするという法案内容を閣議として了承した。
その他、閣議では、配合飼料価格の急激な高騰など、畜産・酪農経営を取り巻く情勢が極めて厳しいことを踏まえた「畜産物価格等に関する決議」(衆参農林水産委員会)の内容を了承。成年年齢引き下げ問題への取り組み体制については、308の各府省検討対象法令について精査を行うことを確認した。
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