イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」との衝突事故に関する集中審議が行われた衆議院予算委員会で29日、前原誠司副代表が質疑に立ち、防衛省の対応をめぐって追及した。
冒頭、同委員会における午前中の質疑を踏まえて前原副代表は「極めて違和感、不謹慎だという思いを持った」と不快感を顕にし、衝突した漁船に乗船していた吉清さん親子に対して福田首相の答弁をはじめ亡くなられたことを前提としているような発言が相次いだことを問題視。「不謹慎だ」と指摘するとともに、心からのお見舞いの意を表明。同時に自らの漁を休んで捜査活動に従事された漁師仲間の方々への敬意を表明した。
そのうえで前原副代表は「若干防衛省、海上自衛隊に対してはあまく見ていたところがあった」と述べ、当初は防衛省側の発表を認めるところがあったが、公表事実が二転三転するなかでその思いは薄れ、大きな疑念を抱くに至ったとした。
前原副代表はまず、石破防衛大臣らが海上保安庁の了解を得ずに航海長から事情を聴いた問題を取り上げ、海上保安庁に「けが人と幹部をヘリで運ぶと事前に連絡した」とする増田事務次官の説明内容を確認した。増田次官は「けが人と幹部をヘリで運ぶと報告したという報告を受けた」と苦しい答弁、海保側は否定していることを踏まえて前原副代表がその真偽を質すと、「虚偽の可能性をまったく排除できないわけではないと会見で述べた」などとも発言し、虚偽上塗りの苦しい弁明を繰り返した。
増田事務次官は呼び戻しての事情聴取は護衛艦隊幕僚長の判断で行ったが、「事前に聞いていた」とも語り、防衛省が了解のうえでの事情聴取であったことが明らかになり、前原副代表は捜査権がある海上保安庁の存在を無視して頭越しに防衛大臣自らが事情聴取を行った点を極めて問題だとして「証拠隠滅、口裏あわせの疑念は禁じえない」と断じた。
前原副代表は同時に、この事実を踏まえると、同委員会において「乗組員に接触するのは捜査の厳正公正の観点からしていない」と述べた石破防衛相の発言が「嘘の答弁」といえるのではないかと追及。石破防衛相は答弁の時点で接触していないとのことだったとの認識を示したうえで、「一方、何が起こったのかという点は防衛省として把握すべきところ。あたごの乗組員から話を聞くことは問題があったと思っていない」などと苦しい弁明に終始。前原副代表は「それは居直りにしか過ぎない。日本語としておかしい」と批判した。
前原副代表はそのほか、あたごの乗組員が事故当時、飲酒していた疑いがあるとしている問題も取り上げた。
さらには、「許すべからざる事故がまた起きた」との認識を示し、沖縄の基地の問題を取り上げ、戦後60年たってもなお、日米安保という旗頭のもとに沖縄に基地の負担が重くのしかかっている現状の改善の必要性に言及。日米地位協定の改定など、政府のリーダーシップのもとでの是正を強く求めた。
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