細野豪志議員は29日、安全保障をめぐる衆議院予算委員会集中審議で質問に立ち、福田首相をはじめとする関係閣僚に対して日中関係および海上自衛隊イージス艦事故についての見解を求めた。
細野議員ははじめに、中国製冷凍餃子中毒事件を取り上げ、中国公安省幹部が中国国内で有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が混入した可能性を否定した発言に言及、吉村警察庁長官に対して、日中捜査当局間の見解が180度異なる状況の中、全力を尽くすよう求めた。
そのうえで、日中間で問題を解決、中国食品への信頼回復は相当難しいとの見解を述べ、安全を確保するために日本国内でやれるべきこととして、食品衛生法に基づく回収命令の必要性を明示。舛添厚生労働大臣は、「食の安全を守る」とする食品衛生法の趣旨においては、天洋食品の製品全てを回収することは「回収命令の範囲を超える」と述べ、現場での自主回収に任せる考えを示した。細野議員は、回収命令の範囲を限定しどこまで拡大するかは「政治決断である」と明言、様々な農薬混入の問題がある現在において、舛添厚労相のその決断をすべきであると迫った。
次に、日中間の懸案事項として東シナ海ガス田問題に言及。高村外務相に対して、どのように解決していくのか、見込みはあるのかとその展望について質問した。高村外務相は、「この海を平和友好の海にしたいとの思いは共通」として、資源開発協力の実現に向けてできるだけ早く共同開発を成し遂げるため、最大限努力すると表明。細野議員は、係争水域の境界については中間線にあるガス田、日本名「白樺」を範囲に含めない開発はありえないとの考えを示し、その確約を求めた。福田首相に対しては、餃子問題同様、日中友好の中にも「主張すべきことは主張するように」と要請。福田首相は、12月の胡錦濤国家主席との会談で「相互理解一層深まった」と述べ、「解決に向けての決意をお互いに確認した」と強弁した。
海上自衛隊イージス艦事故については、事故発生からの経過を確認し、護衛艦隊幕僚長がヘリコプターであたごに乗艦し、乗組員から事情聴取したことを問題視。石破防衛大臣は、海上幕僚幹部の意思決定には関与していないことを明言したうえで、海上保安庁に報告したかどうかを明確にチェックしていなかったことについては、「当然やっているものだろうとの予断があった」として、「反省しなければいけない」と落ち度を認めた。
細野議員は、海上幕僚幹部による事情聴取については供述内容に影響する可能性を指摘、議事録が存在するのかと追及。石破防衛相は、話し合いの内容についての説明はあったものの議事録の存在は否定、海上幕僚幹部による事情聴取については、「いつ誰が聞いたかということよりも何が事実かが重要である」と述べ、捜査への影響の可能性は重ねて否定した。細野議員は、イージス艦の乗組員が漁船を確認したのが衝突の「2分前」から「12分前」に変更された経緯を含め、「きちっと整理するのは文民統制の防衛相の役割ではないか」と主張。石破防衛相の防衛省内部改革への意思には理解を示したうえで、重要な事実を言わないことそのものが情報操作である」と指弾、「情報の操作が行われるとすれば大臣としての責任とるものである」との答弁を取り上げ、最後は大臣自身でしかるべき判断をと求め、質問を終えた。
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