民主党厚生労働部門は18日午前、国会内で会議を開催、4月から導入される後期高齢者医療制度について不安の声が広がる中、当事者である高齢者や医師、及び厚生労働省からのヒアリングを行った。
冒頭、山田正彦『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣が開会の挨拶に立ち、民主党は元々後期高齢者医療制度については反対してきた経緯を説明。4月からの施行を前に、直面している様々な問題について当事者から、不安や不満、要望の声を聞き、そのうえで厚生労働省から制度の説明を聴取する、との趣旨を述べた。
はじめに当事者である84歳の男性が、高齢者の立場から受けられる医療が制限されるなど、制度施行による問題点を指摘。何故75歳で線引きされるのか、戦後を生きてきた世代に対するこのような仕打ちに「非常に憤慨している。国は老人にとってもっと温かい政策を」と訴え、同制度の廃止を求める民主党をはじめとする野党の活動を評価、「何としてもやめさせてほしい」と悲痛な叫びを上げた。
全国保健医団体連合会政策部は、(1)後期高齢者の医療給付を制限(2)都道府県単位での運営と財政責任(3)負担と給付が連動(4)保険料は年金から天引き――をはじめとする13の問題点を提示。後期高齢者に影響を及ぼす2008年診療報酬改訂項目についても言及、在宅への誘導による入院の抑制等、弊害を指摘した。代表して出席した現場の医師は「日本の医療をどうするのか」との観点で、長期的な展望をもった医療政策をと求め、医療費総額の拡大を要求、このままでは小児科、産科の問題のみならず地域における診療医療が崩壊するとして、「政治の力を」と訴えた。
厚労省側は、これらの指摘に対して個別に対応、検討していく方針を明示。しかしながら、当事者側は法律での明文化を主張、「もっと現場で声を聞くべきである」として、国に捨てられるという思いを持つ高齢者の叫びに耳を傾けるよう求めた。
質疑応答では、政府与党による追加措置について、その経緯に関する質問があり、厚労省は、政府与党のPT側からの指示であったことを明かした。また、この制度導入により医療費の国庫負担がどれくらい減るのかの問いに対しては明確な答えが得られず、改めての回答を求めた。
最後に、医師側は改めて社会保障の財源確保の必要性を主張。在宅介護の補強を例に、ヘルパーさんが減少している現状を指摘、厚労省側が主張する理念は否定しないがその裏打ちとなる財源がなければ現実には対応が難しいとの懸念を示した。
山田ネクスト厚労相は、制度の廃止へ向けて引続き野党共同で協力して取り組んでいく決意を語った。
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