参議院本会議が4日午前開かれ、大塚耕平議員が民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して「平成20年度における公債の発行の特例に関する法律案」および「所得税法等の一部を改正する法律案」に関して、福田首相はじめ関係大臣に質問を行った。
大塚議員は冒頭、「道路特定財源を投入しているわが国道路政策は、策定の手順に問題がある」と根本論に言及。費用以上の便益があるとする費用便益分析が行われ、それを完遂する財源を確保するという手順をとる以上、計画完遂まで財源を投入し続けることになると分析。社会保障や産業政策など他の政策分野との比較考量の結果、道路に投入できる財源を決め、その財源の範囲内で公正な費用便益分析に基づいた計画策定を行うという策定手順に改めるべきだと提案。同時に財源は一般財源であるべきだと問題提起した。
次に、道路整備計画を問題視。過去13次にわたって期間を5年として検討されてきた道路整備計画が今年度から10年に変更された点、中期計画の前提となる交通量調査は昨年公表された需要推計があるにもかかわらず最新データを用いていない点、最新データを用いた場合は中期計画より予測交通量が大幅に減少する点、現時点で閣議決定でない中期計画が国会で議決を要する予算を10年先まで拘束することは法論理的に問題がある点、今後において10年間の中期計画が閣議決定されることは単年度主義を掲げる憲法86条等に違反する可能性がある点――等の問題点を列挙した。
続いて費用便益分析をめぐっては、耐用年数や計算原価の根拠、物価変動率を加味していないことなど、疑問は多岐にわたるとの見方を大塚議員は示したうえで、一点について追及。費用便益算定時には社会的割引率を4%と設定しているが、財政金融委員会で国土交通省が「59兆円は割引率を勘案しない現在価格」と答弁した点を取り上げ、その矛盾を突き、仮に59兆円に割引率を勘案した場合、10年後には計算上87兆円に膨らむことを明らかにした。そのうえで大塚議員は、「私は全ての費用便益分析で裏付けることを主張しているわけではない」と述べ、過疎地の道路や生活道路等、費用便益的に割に合わないものについては、費用便益分析とは別に政策判断でつくるべきで、地方自治体の判断にゆだねるべきだと表明。「申し上げたいのは恣意的な費用便益分析で不要不急の高規格道路の建設を正当化するのはやめるべきだということだ」と釘を刺した。
また、道路特定財源をめぐっては、所得税法等改正案の内容を道路と道路以外の2つに分けて、道路以外については政府案に対して民主党が全面的に歩み寄ったと状況を改めて確認し、「法案を2つに分け、半分は野党が政府に歩み寄り、残り半分は政府が野党に歩み寄っていただく。現下の国会情勢における建設的な対応と考えるが、いかがか」と、道路特定財源の取り扱いについて、全面的な譲歩を首相に求めた。
さらに、「2009年度からの一般財源化に言及された総理のご英断には敬意を表する」と述べた大塚議員は、そもそもは小泉政権最後の「骨太の方針2006」にも示されて以来の政府方針であったはずだとして、福田首相に対して今後、「骨太2008」を策定し、一般財源化を明記する考えがあるか質した。首相は答弁で、「野党の意見を受け止め、大きく踏み込んで野党の受け入れられる案を示した」と述べ、民主党はじめ野党に協議を呼びかけるとともに、「『骨太2008』に盛り込むことを検討する」と応じた。
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