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2008/04/15
年齢で命を差別する後期高齢者医療制度は即廃止に 厚労部門会議でヒアリング
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 党厚生労働部門は15日午前、国会内で会議を開催、4月1日から導入された後期高齢者医療制度の現状について、新医療制度に該当する高齢者の方々、医師、厚生労働省からそれぞれヒアリングを行った。

 冒頭、山田正彦『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣が挨拶に立ち、「制度について詳しく調べれば調べるほど何でこんな制度が成立したのかと思う」と表明。小泉政権の下、2年前に強行採決された天下の悪法ともいえる同制度の施行に悔しさをにじませた。そのうえで、民主党をはじめ野党4党で制度の廃止に向けて取り組んでいると報告、現場の声を聞きながら更なる検討を重ねていく方針を示した。

 会議ではまず、同制度に該当する高齢者の方々と医師から現場の声をヒアリング。高齢者の方々からは、保険料徴収の実態が詳細に述べられた。後期高齢者を従来からあった自治体の健康診断から除外するなど、受けられる医療の差別に繋がる点を問題視、「なぜ、わざわざ75歳で区切るのか」と怒りをも超えた悲痛な叫びを上げた。

 糖尿病も患っているという高齢者からは、長年にわたってかけてきた個人年金の一部が所得として扱われているとして、軍人恩給、遺族年金等と比較し不公平であると指摘。加えて、所得が算定されないため、未だ天引きされる保険料もわからない不安な状況だと明かした。それにもかかわらず、4〜8月の間は従前の割合が適応されるとして、「とるものはとって返すべきものは返さない、ひどい仕打ちだ」と訴えた。また、医療費節約のため、注射針を繰り返し使うなど、危険な医療を選択せざるを得ない苦しい状況に追い込まれる危険性もあると語った。

 現場の医師は、診療報酬改定について「今すぐ現場で医療が制限されるものとは思わない」と前置きしたうえで、「この先、半年、1年と経過していく中で医療の質は落ちていかざるをえない」との見解を明示。後期高齢者診療においては包括的診療報酬がマイナス27%という点数が設定されていることにより検診にも制限が及ぶなど、健康な人を前提とした設定であり高齢者にとっては過酷な制度であることを改めて強調した。また、本人や家族の明確な判断を必要としている終末期医療に関しても、認知症患者をはじめ75歳以上の患者を想定していないと批判。「上がった医療費、増えていく高齢者を抑えるための制度設計になっていることが問題である」と指摘、「年齢によって医療、命を差別する制度設計を再検討し、凍結、廃止をするように」と強く訴えた。

 次に、厚生労働省から(1)保険料の天引き(2)滞納者への資格証明書発行(3)後期高齢者医療制度の問題点(4)保険証の未着(5)保険料がアップするケース、しないケース――について説明を受けた。制度導入にあたっては、制度自体の問題点のみならず社会的混乱を招いているにもかかわらずその現状認識は見られず、一貫して正当性が主張された。

 ヒアリング後の意見交換では、当事者である方々や医師から一層踏み込んだ質問が出るなどさらに多くの問題点が浮上。2年前に強行採決された際には、具体的な制度内容が示されず、導入直前になって国会審議もないまま、課長通達で人間の尊厳をも冒す制度の詳細が明らかになるという、行政の在り方そのものが問われるかたちとなった。

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