厚生労働部門・総務部門会議は28日、国会内で合同会議を開き、受け取っていないにもかかわらず記録上「脱退手当金支給済み」と処理され、年金記録第三者委員会へ申し立てを行っている70代の女性たちからヒアリングを行った。あわせて、民主党からの資料請求に対する回答を聴取するとともに、元愛知社会保険事務局職員による不正受給事件などに関して、厚生労働省や年金記録確認第三者委員会、社会保険庁などからヒアリングを行った。
冒頭、長妻昭『次の内閣』ネクスト年金担当大臣は挨拶に立ち、昨日行われた衆院山口2区補選における民主党公認の平岡秀夫候補勝利への支援に心からの謝意を示すとともに、年金・介護の問題の解決に向け、改めて力を尽くしていくとの決意を表明した。そのうえで、同会議のヒアリングを通じて脱退手当金の問題を掘り下げて行く意向を示し、「直接お話を聞くなかで、よりよい対応を考えて行く」と語った。
また、福山哲郎参議院政審会長に中心に「『消えた年金』に係る調査について」として、4月17日付けで社会保険庁に対して、調査に関する資料に関して、25日までに提示するよう求めたことを報告。その回答について長妻ネクスト年金担当相は、「かなり後ろ向きの回答、ほぼゼロ回答に近いようなものも出ているので、次の段階では、国政調査権も視野に入れなければならないと考えている」と述べた(質問と回答は下記ダウンロード参照)。
脱退手当金に関するヒアリングでは、1952年から61年にかけて大手建設会社に勤務し、結婚退職したという75歳の申立人の女性が、退職時に厚生年金保険被保険者証を受け取った際、脱退手当金は受け取らない旨を伝えたところ、被保険者証の脱退の印のうえに×印をつけたものを渡され、受給時まで大事に保管するよう指示されたことを明らかにした。しかし、結果的には本人は受け取っていないにもかかわらず、記録上は1961年10月21日に支給されたと処理されているとの説明があった。
また、昨年7月の時点で第三者委員会に申し立てを行ったにも関わらず、音沙汰がないので4月中旬に中央第三者委員会に経過を問い合わせたところ、申し立て書類は届いていないとの回答で、東京第三者委員会に改めて尋ねると、書類は届いているが手付かずのままで担当者も決まっていない状況であったことを明かした。その実態からは、第三者委員会の不誠実さと対応の遅さが窺われた。
また、第三者委員会や社会保険庁とのやりとりからは、記録上、「1961年10月21日支給」という記載があっても、受領者から受領証明を受け取ることもないうえ、記録からはどこに支払われたかがうかがい知る手立てがないこと、「代理請求」として会社側がまとめて請求することも可能であった実態なども浮き彫りになり、本人が受け取り申請しなくても支払われてしまうケースもあり得ることが明らかになった。
さらには、申立人の99%が女性であるとの回答が示され、かつては短期で退職してしまう女性の場合は、「脱退手当金を支給する」ということが当然の流れがあり、不要と主張した人に対しては後で払うことさえうやむやになる流れがあったのではないかとの見方も出席議員から示された。
会議には山井和則ネクスト厚生労働副大臣、蓮舫ネクスト年金担当副大臣はじめ多くの議員が出席。脱退手当金の問題をはじめ、社会保険庁、厚生労働省の杜撰な対応を改めて追及していくことを再確認した。
|