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2008/05/14
「後期高齢者終末期相談支援料」の廃止を求める(コメント)
民主党 『次の内閣』 
ネクスト厚生労働大臣 山田 正彦

 本年4月に行われた診療報酬改定に際して、「後期高齢者終末期相談支援料」が導入された。この報酬は、「安心できる終末期の医療の実現」をうたい、「尊厳のある死」をめざし、「情報提供に基づく自己決定権」を尊重するものとされている。確かに、尊厳ある死をめざすことは、重要である。しかし、この取り組みは、死という取り扱いの難しい問題を扱うものであり、国民的合意の形成と慎重な制度設計が前提となる。また、この問題は、75歳以上の高齢者に限った問題ではなく、国民全体の問題である。

 ところが、今回の後期高齢者終末期相談支援料の導入においては、国民的合意の形成もなく、75歳以上の高齢者と65歳の障がい者にのみ、終末期の自己決定が求められることとなった。死に瀕した75歳以上の高齢者と65歳の障がい者を前にして、医師が、「延命治療はしますか? 救急車は呼びますか?」などと本人に質問し、その結果を書面に残せば、患者が亡くなった際に、医師に2000円が与えられる。

 ここにあるのは、人間に尊厳に対する畏敬や、高齢者に対する敬意ではない。この制度の先に見えるのは、人間の尊厳ではなく、2025年における5000億円の終末期医療費削減という金銭の勘定のみである。

 民主党は、命や人間の尊厳を重視する立場から、後期高齢者医療制度の廃止とともに、後期高齢者終末期相談支援料の診療報酬からの削除を求める。さらに、医療費削減のためではなく、全国民の尊厳と自己決定権の尊重のために、時間をかけた国民的合意を経て、終末期医療についての枠組みを作り上げていくことを切に要望するものである。

以 上
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