小沢一郎代表は15日午前、党本部で後期高齢者医療制度および消えた年金の関係者と懇談。後期高齢者医療制度について、医療関係者から改めて制度の問題点の説明を受けるとともに、消えた年金記録の問題が未解決なまま、10月から保険料が天引きされる見込みの被害者の方の悲痛な訴えに耳を傾けた。
冒頭、山田正彦『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣が挨拶、小沢代表に率直な思いを伝えてほしいと語った。
東京保険医協会会長の塩安医師は、後期高齢者医療制度について「75歳で線引きする医学的根拠はなく、あるのは経済的根拠のみである」との見解を述べ、基本的な考え方に誤りがあると断じた。そのうえで、「医療内容は高かろう悪かろう、日々の診療は安かろう悪かろう」であると指摘。早期発見、治療のための検診をはじめ、受けられる医療を制限、「お年寄りは放っておこうということか」と怒りをにじませ、医療費削減という誤った基本方針により、医者も悲鳴、患者は被害を被っていると苦しい現場の実態を語った。
また、全日本年金者組合東京都本部所属の男性は、後期高齢者医療制度により従来に比べて5万円超になるという保険料の一例を紹介。「頭にきている」と、消えた年金記録、後期高齢者医療制度など自公政権への怒りを爆発、民主党をはじめとする野党へ期待を寄せた。
消えた年金記録の被害者でもある75歳と76歳の女性二人は、脱退手当金として支払い済みとなっているため8年以上の厚生年金を受取っていない状況を説明。現在第三者委員会に申し立て中だが未だに結論は出ておらず、それにも係らず10月より医療保険料が天引き予定であるとして、「いったいどのくらい引かれるのか」と不安な心情を明かした。
小沢代表は現場の声を受け止め、現実の国民生活に大きな問題を及ぼすことを全く考慮しない与党の姿勢を問題視。75歳以上の高齢者を医療の対象外にするとも言える後期高齢者医療制度について、「政党次元の話ではなく長い権力の仕組みの中で生まれてきたもの」と分析。国民の生活を目に向けず自らの権力継続のために力を注ぎ、一方で国民の努力の結晶である税金をムダ遣い、その結果医療費削減という自体を招いたとの見方を示した。
また、参議院での与野党逆転により様々な問題が明るみに出たとその成果を述べるとともに、衆議院では数の暴挙で問答無用の政治行政が行われていると指摘。「善良な市民を苦しめる政治はまつりごととは言えず、絶対に許せない」と述べ、「現実の行政を担うことによって変えていきたい」と表明。衆議院での与野党逆転、政権交代の必要性を訴えた。最後に、「国民の理解を得られるよう民主党も努力していくので、あきらめずに一緒に頑張りましょう」と呼びかけると、被害者の方々は小沢代表の言葉に安堵の表情を浮かべ、固く握手を交わした。
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