22日午後の衆議院本会議で、内閣提出「少年法の一部を改正する法律案」の趣旨説明が行われ、民主党・無所属クラブから加藤公一議員が質問に立った。
同法案は、少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るため、一定の重大事件の被害者などが少年審判を傍聴することができる制度の創設などを定める。
加藤議員は「少年審判の持つ特殊性に鑑みれば、傍聴を認める要件や裁量には格別の配慮が必要」と指摘、原案のままでは十分とは言えないとの認識を示した。その上で、法改正の狙い、傍聴の認められる要件、傍聴における物理的な設備・施設などについて具体的に質問した。
法改正の狙いと位置づけについて鳩山法務大臣の見解を質し、大臣は、被害者の人格や尊厳、遺族の立場への配慮がいささか不足していたという反省に立つと答弁。国を挙げて被害者の立場で考え、審判の具体的な状況について十分な情報を得たいという心情を十分に尊重するものだとした。
加藤議員はまた、家庭裁判所が傍聴を相当と認める上で考慮する事情について「少年の健全な更生・成長の観点からも、被害者の心情を慮る立場からも、特に丁寧な対応が必要だ」と指摘。傍聴が認められる割合の見込みや附添人からの意見聴取などについても質問した。
さらに、傍聴における物理的な設備・施設の問題を取り上げ、少年審判廷などの設備整備や別室でのモニター視聴導入への見解を質した。鳩山法相は、今後の施設の整備は必要に応じ裁判所で適切に対応がなされると答え、モニター視聴に関しては、法制審議会の指摘を根拠に慎重な姿勢を示した。
加藤議員は、犯罪被害者保護のための施策の充実、被害者の思いを活かした制度の設計・運用、反省を促し社会に貢献できる人材の育成といった大きな課題への答えを導き出すためには、理性的で真摯な議論が求められると強調。「民主党は今後も丁寧な議論を積み重ねることによって、よりよい制度を実現していく」と決意表明して質問を締めくくった。
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