衆議院本会議において29日午後、民主党の考え方に自民、公明両党が合意し、民主党の主張を大幅に取り込む形で国家公務員制度改革基本法案が修正され、可決。泉健太議員が民主党を代表し、賛成討論を行った。
泉議員ははじめに、「公務員制度改革の目的は、縦割りで閉鎖的な官僚組織を透明で効率的なものへと改め、多様・有能な人材を大いに活用することによって、真に国民の利益となる行政組織をつくることにある」と明言。その結果、「官僚主導内閣」から「政治主導内閣」に、本来の意味での「議院内閣制」へと改める「霞が関改革」につながるとの見解を述べた。そのうえで、これらの趣旨に鑑みると当初の政府原案では不十分であったと指摘。修正協議によって、民主党の主張する意見も概ね受け入れられたとしてその意義を強調、修正案の賛成理由を述べた。
第一に、省庁人事に関して内閣官房に内閣人事局を設置。官房長官が幹部職員の人事名簿を作成するなど、内閣の関与を強めることでこれまでの官僚の既得権益を打破、民主的コントロールが作用しやすい仕組みへと改められると評価した。
第二に、政治家と官僚の接触について制限規定を削除、接触記録の作成・保存・公開など、透明化のための措置について規定されるに至ったことを列挙。国会による情報チェックが可能になることで官僚にとって都合の悪い情報の隠蔽が防げるとした。
第三に、国家公務員の労働基本権の拡大に向けた措置を新たに盛り込み、国民に開かれた自立的労使関係制度を措置することが明記された点を挙げ、これにより公務員の働きがいやモラルの向上、働く者の基本的な権利回復に資するとした。
その他、硬直的な人事制度の温床となっているキャリア制度の廃止、定年延長の検討など、民主党が主張してきた趣旨が取り入れられたと成果を述べた。
また、再就職あっせん、天下りの禁止については今回修正案に盛り込まれていないことは残念であるとしながらも、「この重要改革課題は政権交代によって解決されるもの」と表明。今後は、修正された基本法に基づいてしっかり制度設計が進められ、国民の期待に応える公務員制度改革が実現するよう取り組む決意を語り、討論を締めくくった。
基本法案は、民主党の主張を大幅に取り込む形で修正され、起立採決の結果、賛成多数で可決された。
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