菅直人代表代行は29日、党本部で定例会見し、政府提出の国家公務員制度改革基本法案が民主党の主張を大幅に取り込む形で修正され、可決した点について、「官僚内閣制を変えていく、一歩、二歩の前進になり得る」との見方を示した。
国家公務員制度改革基本法案の修正案については、「今国会で成立する」との見通しを語ったうえで菅代表代行は、民主党はいろんな問題に取り組んでいるが、特に「官僚主導の内閣制」から「国会内閣制」に転換していくことに力を注いでいると説明。「本来は国民が選んだ国会議員、国会議員が選んだ総理大臣、総理大臣が選んだ閣僚で構成する、つまり国会が選んだ閣僚で構成する国会内閣制でなくてはならないにもかかわらず、実質は官僚内閣制という実態になっている」と指摘。これが、日本においていろんな問題が停滞し、衰退している最大ともいえる原因になっていると分析した。
内閣のあり方を「官僚内閣制」から「国会内閣制」へ変革していくことを党として最も重要視している民主党としては、修正案は「改革の一歩二歩の前進になり得る」との観点で進めてきたものであるとも説明した。
菅代表代行はまた、「自民党は官僚内閣制に乗った政党であり、本来ならあまりやりたくなかったようだが、国民世論やわが党の主張に押される形で衆議院を通過させたと思っている」と述べた。
さらに、政府の地方分権改革推進委員会において冬柴国土交通大臣が「「地方分権は進めなければいけないと思っている」と発言したことを菅代表代行は取り上げた。
この日の閣僚折衝で、直轄国道の整備と管理を一体で権限移譲する方針が示された点に言及した菅代表代行は、この提示は「整備には財源が必要であるため、実際には地方はこの方針には乗ってこない」と計算したうえでの「くせ球」だったとの指摘があると説明。
昨日28日に行われた「道路改革・道路特定財源の一般財源化等にかかわる協議会」においてもその点が議論の中心になったとの見方を示したうえで、「税源をいくらにするかではなく、財源、そして道路整備の権限をだれがどの範囲で持つかということが一番重要なのだ」と指摘。「財源は渡さないのだからどうせ実際上は断ってくるだろう」という認識に基づいて冬柴国交相が方針提示を行ったのであれば「もってのほかのこと」と菅代表代行は厳しく批判。「まさに官僚内閣制に最もふさわしい大臣の姿勢が、この発言にあらわれている」と、官僚の権限を守るための発言だと理解できるとした。
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