参議院厚生労働委員会で3日、民主党・新緑風会・国民新・日本の小林正夫議員が質問に立ち、民主党提出の「後期高齢者医療制度の廃止及び医療に係る高齢者の負担の軽減等のために緊急に構ずべき措置に関する法律案」について、発議者ならびに舛添厚生労働大臣、政府参考人に質問した。
小林議員ははじめに、法律の目的と概要について発議者に説明を要請。発議者を代表して大塚耕平議員が、後期高齢者医療制度は高齢者が安心して医療を受けられる内容になっていないとして、廃止を目指す考えを明示。様々な税金や予算のムダ遣いがある中で、それを正さないまま医療にかける予算を削り、財政負担を減らすために高齢者に負担を課すのは順番が間違っているのではないかと政府の方針を批判した。
続いて、舛添厚生労働大臣に対して、様々な問題が明らかになっている同制度の軽減措置について質問。舛添厚労相は、現在与党のプロジェクトチームで検討作業を行っていると報告し、政府としても軽減措置の方針を明言、最終案が決まった時点で財源問題を含めて詰めていく考えを述べた。
また、制度実施前から多くの問題が浮上し、検討が求められるような事態に対し、各地方自治体からは十分な説明期間の必要性を訴える指摘が相次ぐとともに、コンピューターのシステム改修等制度実施後の見直しには多くの弊害が伴うとの声が上がっていることに言及。拙速に制度を決めた与党の姿勢を改めて問題視した。
さらに、本来天引き免除対象者であったにも係らずそのことを知らなかったがために自殺にまで及んでしまった事件報道にふれ、その受け止めを質すと、舛添厚労相は周知徹底不足を認めた。大塚議員は、舛添厚労相の答弁に対して「政府は周知徹底の責務果たしていない」と批判、「行政の不作為責任であり由々しき事態」の認識を示した。
年金からの保険料天引きにおいて、多くの市区町村において徴収金額の誤り、保険料の免除者から徴収した等の誤りが生じていることについて事実関係を追及。水田保険局長はその実態について調査中であると明言は避けるものの、2回目の天引きが行われる今月13日までに問題解決は難しいとの見通しを述べ、ここでも拙速な制度導入による問題、混乱が浮き彫りになった。
天引きに関しては「隠れ増税」の存在も指摘。大塚議員は、高齢の両親の保険料を負担する現役層は、両親自身が払った場合より支払い負担が大きくなり事実上の増税であると説明、「親孝行禁止制度」ともいえると問題点の改正を強く主張した。
そのほか、制度の実態が明らかになっていないために高齢者の不安が大きくなっているとして、どの市区町村の居住者の保険料が上がるのか、年金収入がいくらを超えると保険料が増えるのか等、保険料アップのケースの説明を求めたが、煩雑な制度設計を理由に具体的な説明には至らなかった。旧制度との比較した老人医療費までの公費割合についても不明瞭な答弁に終始した。
最後に、同制度については与党側からも廃止を求める声上がっていることにも言及、「検討では不十分であり、いったん廃止してゼロベースから議論すべきもの」と述べた。「日本に生まれてよかったと思えるような社会づくりを行うのが政治の責任である」と表明、その根本理念に欠陥がある制度廃止の必要性を改めて強調し、質問を締めくくった。
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