民主党地球温暖化対策本部(本部長=岡田克也副代表)は5日夕、東京都内で、地球温暖化対策基本法制定に向けて、「民主党の脱地球温暖化戦略」と題した環境シンポジウムを開いた。
冒頭、岡田本部長が、昨日4日、参議院に党の地球温暖化対策基本法案を提出したことを報告し、「地球温暖化防止、温室効果ガス削減に向けてもっと積極的に進めなければならない。今の原油高も、技術に磨きをかけ、大きなチャンスと捉えるべきではないか」と、このシンポジウムが議論のきっかけになるようにしたいとあいさつした。
次に末吉竹二郎国連環境計画金融イニシアチブ特別顧問が「〜地球温暖化〜21世紀、新次元での国際競争」と題して、諸富徹京都大学大学院経済学研究科准教授が「排出量取引き制度導入の必要性」と題して基調講演。
この中で末吉氏は、金融の面からも、世界は低炭素を実現する企業に支援する時代になっているとして、「国のあり方、産業のあり方を変えることになる。低炭素化を実行できる国が世界のリーダーになることができる」とした。
また、諸富氏は、「今日は記念すべき日」としたうえで、「環境か経済かを乗り越えていく必要がある。低炭素・脱炭素社会こそが日本の利益になる」として排出量制度導入し、低炭素を実現した企業が利益を得るような制度設計をするべきと主張した。
続いて、浅岡美恵気候ネットワーク代表、末吉氏、諸富氏、岡田本部長をパネリストに、パネルディスカッションに移り、福山哲郎党地球温暖化対策本部事務総長がコーディネーターを務めた。
浅岡氏は、「温暖化によってサイクロンなども巨大化している。その被害を防ぐのが政治の責任。気温を2度の上昇で食い止めることができるかどうかの瀬戸際にある。ピークを今後に設定してそこから削減していくのではなく、これから先、二酸化炭素の排出量を下げていくこと」との意見を開陳した。また、民主党の法案について「しっかりした骨格。歓迎したい」と評価した。
末吉氏は、民主党案について「できたこと自体が素晴らしい。どうしたら国際競争に勝てるか、金融面での配慮が必要だ」とした。また、「1日200円で23億人が暮らしている。このことへの倫理観を持とう」と訴えた。
諸富氏は、民主党案について、「京都議定書以来先送りされてきたものがすべて入っている点を高く評価したい。90年を基準年にしたのも野心的」と評価した。「過去を語るのではなく悪循環を断ち切る時に洞爺湖サミットをすべき。日本がビジョンを語るべき」と意義づけた。
岡田本部長は、民主党の法案の概要を説明するとともに、「化石燃料依存からの転換。産業革命以来の転換の大きな試み」と地球温暖化防止の意義を語った。また、会場からの質問に答え、「法案をつくって終わりにはしない。政府・与党でも我々の法案が刺激となり基本法が必要との声もある。できれば超党派で法案を成立させたい。できなければ政権交代で法律にする」と力強く決意を披歴した。
シンポジウムの総合司会は岡崎トミ子ネクスト環境大臣が務めた。
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