参議院本会議で11日午前、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案(改正被爆者援護法)、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律案(ハンセン病問題基本法)の両案の採決が行われ、賛成233反対1の賛成多数で可決、成立した。
厚生労働委員長の岩本司議員が委員会における審議の経過と結果を報告。改正被爆者援護法は、広島や長崎で被爆し、現在は海外で暮らしている在外被爆者が被爆者健康手帳を国外においても取得できるようにするものであると報告し、委員会においては「全会一致をもって可決するものと決した」として賛同を求めた。
また、ハンセン病問題基本法については、「国によるハンセン病隔離政策に起因する」と述べたうえで、患者がこうむった被害の回復については一定の解決が図られたが未解決の問題も残されており、同法案では福祉の増進、名誉の回復にむけて基本理念を定め、必要な事項を定めるものであると岩本委員長は報告した。法案では、ハンセン病療養所等における療養及び生活の保障、社会復帰の支援及び社会生活の援助、名誉回復及び死没者の追悼等の施策を定めている。
続いて、石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案が採決され、全会一致で可決、成立した。
同法案は石綿(アスベスト)による健康被害を受けながら、労災補償から外れる人たちを救済する石綿被害者救済法が施行されたが、被災者や家族に多大な医学的立証が求められるなど、そのハードルは高いものであり、見直しを求める声が高まった。
民主党は2005年163特別国会に「石綿対策総合的推進法案」を提出し、アスベスト対策の総合的な推進を訴えてきた。この情勢は救済制度ができた現在でも変わらず、民主党は当事者の声に耳を傾け、遺族に対する弔慰金や本人への給付金など支給対象の拡大に繋がる同法案に賛成した。
また、子どもたちが安全に安心してインターネットを利用できるよう、有害サイトから守る、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(有害サイト規制法)案が、賛成233反対1の賛成多数で可決、成立した。同法案は、有害サイトで子どもが事件に巻き込まれるケースが多発している状況を鑑み、有害情報をできるだけ少なくするための措置を講じるもので、携帯電話会社に有害情報を閲覧できないようにするフィルタリングサービスの提供などを義務づけ、民間団体への支援を求めるもの。
民主党は党「違法・有害サイト対策プロジェクトチーム」を中心に検討を重ね、「子どもが安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案骨子」をまとめ、政府・与党をリードする形で子どもたちがインターネットを安全に安心して利用できる環境づくりの整備を求めてきた。
本会議ではさらに、オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律案も採決され、全会一致で可決、成立した。
同法案は、地下鉄サリン事件などのオウム真理教による殺傷行為がテロリズムであり、これにより不特定多数の者が被った惨禍が未曾有のものであること、また教団に立ち向かった者やその家族が、殺傷行為等の犠牲となっていること等を踏まえ、国において被害者等の救済を図ることがテロリズムと戦う国の姿勢を明らかにするということにかんがみ、オウム真理教犯罪被害者等に対する給付金の支給について定めるもの。
民主党は、独自の「オウム真理教犯罪被害者等救済法案」を提出していたが、与党と協議を行い、衆議院内閣委員長提案(民主党案は撤回)としてとりまとめることとした。
|