参議院本会議で11日午後、輿石東参議院議員会長が民主党・新緑風会・国民新・日本、社会民主党・護憲連合の2会派を代表して、福田首相への問責決議案の趣旨説明に立った。問責決議案は投票総数236、賛成131、反対105で可決された。首相への問責決議案が可決されたのは現行憲法下で初めて。
輿石会長は趣旨説明で、まず、「自公政権は、参議院が変わったことの意味が理解できていない。衆参ともに多数を持っていた時と同じ意識で、同じ対応を続けるという信じられない政権運営をしている」と直近の民意を無視しているとして、首相の参議院を軽視する政治姿勢を糾弾した。その根拠として、ガソリン税等、道路特定財源に関する税制関連法案の見なし否決を挙げた。
また、国民の生活実感を理解せず、人任せにしている政治姿勢を問責の理由として挙げた。さらに、消えた年金記録、後期高齢者医療制度の問題にふれ、「医療の崩壊、生活保護等のセーフティネットのカット、拡大する貧富の差。これらを解決するには、トータルとして本当に安心できる社会保障政策を確立するための政治の組み換えが必要」と訴えた。
そのうえで、福田首相を「絶対に解散しないことで求心力を得ようとする非常に不思議な総理」と皮肉り、「子どもたちが夢を、青年が希望を、そしてお年寄りが安心できる仕組みをこの国はつくらなければならない」として、一日も早い解散・総選挙を要求した。
問責決議の賛成討論には、簗瀬進参議院国会対策委員長が立った。
簗瀬委員長は、首相を、「国民無視の暴力政治を断行し続ける政治姿勢」と断じ、参議院はあまりにも民意と乖離した政権をこれ以上認めるわけにはいかない」としたうえで、問責決議に賛成する理由を(1)過去の民意によって直近の民意を圧殺する暴挙、(2)二院制に対する破壊的な暴挙、(3)政策の国民騙しの欺瞞性、(4)後期高齢者医療制度を圧倒的多数の国民の反対を押し切って推進しようとする国民無視の姿勢、(5)庶民の痛みに対する鈍感さ、(6)道路特定財源に対するいい加減な対応、(7)消えた年金問題に対する不誠実な対応、(8)日銀総裁人事で示された執拗な財務省依存体質――の8項目を挙げ、問責決議への賛成を求めるとともに、解散・総選挙を要求した。
特に、民意を無視することに関して、「国民に負担の風を吹きかける福田政権は国民にとって有害無益。ねじれているのは衆参ではなく、国民と総理」と厳しく批判した。
さらに、二院制に対する暴挙では、憲法59条の2項による衆議院での再議決は、例外規定であるとして、使用した場合は解散・総選挙を行うべきと主張。そのうえで、「参議院否定、二院制否定を連続3回も行いながら、解散は絶対にしないと豪語している。憲政の常道の破壊者としての自責の念を感じられない。まさに憲法体制の破壊者として問責に値する」と糾弾した。
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