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2008/06/16
民主党議員が徳島刑務所を視察、医療問題と暴動の関係などただす
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 徳島刑務所内の工場で昨年11月に起きた暴動で、同刑務所の医師による直腸指診の乱用やC型肝炎患者の放置など不適切な医療行為への不満が背景にあると言われていることから、民主党法務部門の細川律夫衆議院議員(ネクスト法務担当、視察団長)、松岡徹参議院議員(副団長)など17人からなる調査団が16日、徳島刑務所を視察し、実情を調査した。

 一行は暴動の起きた工場や医務室などをおよそ1時間かけて見たのち、徳島刑務所視察委員会の事件当時の委員長・委員らとの意見交換、刑務所長らとの質疑応答を行った。視察委員会は、旧監獄法を全面改正して2年前に施行された刑事施設法で施設の透明性確保、運営改善を目的に設置することとなった第三者機関で、地元関係者、法律家、医師などの委員が施設を調査して所長に意見を表明したり、法務大臣に報告書を提出できる。

 暴動事件当時視察委員長だった松原弁護士は、「受刑者から委員会に寄せられる苦情の8割が前医務課長関係のものだった。委員会としては、昨年9月に『世上行われているような医療を受刑者に受けさせるよう医師を指導せよ。できないなら解雇すべきだ』と提言した。刑務所は『調査したが、そのような事実はない』という紋切り型の対応に終始したが、一方で前医務課長を指導していた。その指導後、医療に関する苦情は激減したので、苦情はやはり真実だった」「人間の尊厳を重視して受刑者に社会復帰してもらいたいという気持ちが施設全体にあれば、提言を真摯に受け止めてもらえていたはずだが、そのようなレベルに達していない」と刑務所の姿勢を強く批判した。

 これに対し刑務所側は、近年全国的に過剰収容の状況にあり、元暴力団員の受刑者同士の不正な連絡が頻繁に行われるなど、刑務所全体として規律がゆるんでいたことを挙げた上で、「元暴力団幹部らが威勢を誇示するために組織的にやったこと」「医療行為が事件の原因ではない」との見方を強調。中でも後任の医師は「刑務所の医療レベルは圧倒的に低い。ちゃんとやりたくてもお金も道具も人もない。刑務所の医師は半ばボランティアみたいなもの。前医務課長に同情する」と言い切った。

 2時間にわたる説明や質疑応答を終えて、参加した議員らは「前医務課長の行為と暴動が関係ないというなら、なぜ暴動が起きたのか全然分からない。今日は大変残念な視察だった」「せっかく視察委員会を作っても、その意見が通り一遍にしか検討されないのではまた同じことが起きる。しっかり受け止めるべきだ」などと厳しい感想を述べた。法務部門では今後、衆参両院の法務委員会などで刑事施設職員等に対する人権教育の徹底、医療の改善などを政府に求めていく考えだ。

 視察には細川・松岡議員のほか、加藤公一・仙谷由人・高井美穂・滝実各衆議院議員、千葉景子・今野東・松野信夫・前川清成・中谷智司各参議院議員、徳島県3区の仁木博文総支部長が参加した。

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