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2008/06/11
畜産・酪農に関する基本政策
民 主 党

1.畜産・酪農対策の現状等
 畜産・酪農は国民の重要な動物性たんぱく質の供給源であり、地域の重要な産業である。また、畜産・酪農はそもそも人間にとって食料とならないものを給餌し、肉、乳製品、卵という形で人間の食料を供給するのが本来の姿である。

 現行の畜産・酪農対策は、外国からの無秩序な輸入増大を防ぐ関税などの国境措置、生産物の価格などに補てんを行う価格安定制度などを柱として、安価な飼料穀物と石油資源を前提に、規模拡大を通じた資本整備の高度化、加工産業化の途を歩んできた。国がこのような政策を進めてきた結果、食料自給率の低下や耕作放棄地の発生をもたらしたことに加え、畜産・酪農経営において畜産ふん尿処理に膨大なコストをかけざるを得なくなるだけでなく、硝酸態窒素の問題等環境面での課題も発生している。

 また、少子高齢化、人口減少、勤労者の所得水準の低迷などにより、食品価格の下落、低迷が続いている中で、飼料穀物や石油の高騰が起こり、この状況は当分の間続くものと懸念される。

 畜産・酪農経営は、効率性を優先させた輸入配合飼料に依存する結果、生産費の中で大きな割合を占める飼料価格の上昇により、経営は危機的状況におかれている。

 したがって、畜産・酪農が本来の姿を回復し、飼料穀物の価格の動向に大きく影響されることなく、また、資源循環型で食料自給率の向上に貢献し、環境にやさしい形に転換することを目指していく必要がある。

2.改革の基本的考え方
 我が国畜産・酪農は、飼料の多くを海外に依存していることから、食料自給率の低下をはじめ、耕作放棄地の増加、家畜ふん尿に係る環境問題の発生等の課題を抱えている。現下の飼料価格の高騰は、安価な輸入飼料を前提とした現行の諸制度の想定を超えるものであり、制度疲労を来している。

 このため、これまでの効率性重視の畜産・酪農政策から脱却することとし、国産飼料の使用を通じて、食料自給率の向上を図り、資源循環型で環境負荷軽減に資する新しい畜産・酪農の実現を図ることが急務である。

 しかしながら、自給飼料中心の畜産・酪農へ転換を図るためには、これまでの規模拡大路線で生じた施設整備等に伴う負債問題や技術・飼養管理面での対応等、解決すべき課題が多く存在する。

 このようなことを踏まえ、民主党は、現行畜産・酪農政策を抜本的に見直し、食料自給率の向上の観点から、長期的展望に立脚した生産を推進するとともに、経営外の要因(輸入飼料穀物価格の変動等)にも対応しうる新たな所得補償制度を構築する。

 併せて、適地適作による自給飼料生産や地域条件に応じた放牧の推進、飼料用米生産を含む水田の高度利用の促進等、自給飼料対策の抜本的見直しを行い、食品残さの飼料化や家畜ふん尿の堆肥化等資源循環に資する取組を推進する。

 なお、具体的な制度検討に当たっては、制度間の整合性を確保するとともに、畜産・酪農現場の実態を踏まえ、地域・畜種等の条件に適合したものとなるよう留意する。

 以上により、畜産・酪農経営の安定を図りつつ、畜産・酪農の本来の姿を回復し、自給飼料を中心とする体制への転換を図るものとする。

(1)畜産・酪農経営の低迷要因たる現下の飼料穀物の価格高騰に対しては、以下の(2)及び(3)の抜本的対策が講じられるまでの間、飼料価格安定のための緊急対策を実施する。

(2)自給飼料、飼料用米の増産、集約放牧の定着を図る観点から、「農業者戸別所得補償制度」において、「飼料作物」を対象農産物と位置付け、その積極的推進を図る。

(3)畜産・酪農経営について、現行の畜種ごとの個別の経営安定対策が制度疲労を来していることにかんがみ、生産費と販売価格との関係、国内資源の有効利用、食料自給率向上、環境への負荷の軽減、持続可能な畜産・酪農の構築の観点から、現行制度を検証の上、飼料価格の高騰、畜産物価格の下落に対応した新たな「所得補償制度」を創設する。具体的には、生産数量目標に即した生産を行った販売農業者(集落営農を含む)を対象に、生産費と販売価格との差額を基本として交付金を交付することとし、交付金の交付に当たっては、流通・加工への取組のリスク、環境の保全に資する度合いの要素を加味する。

(4)資金制度については、米価の低迷等により農地の担保価値が低下している状況等にかんがみ、貸し渋り等で生産者の資金調達に支障を来すことのないよう、融資条件等の必要な見直しを実施する。また、自給飼料へ転換するためには、これまでの輸入飼料穀物の給餌を前提に推進してきた大規模化に伴い生じた農家の負債を償還することが必要であり、その負担を軽減する観点から、借換等による負債償還期限の延長等について検討する。

(5)自給飼料への転換を推進するため、畜産物の品質への影響等畜種ごとの特性を考慮しつつ、稲わらの効率的な飼料利用体制の構築、米の飼料化の推進、家畜用穀物の品種開発等、現行の自給飼料・耕畜連携対策の見直しを行う。
 なお、米の飼料化については、生産技術面での対応状況等を踏まえつつ、多収穫米や米の飼料利用に係る技術開発の更なる推進や、転作田等における飼料用米の生産拡大等を図る。併せて、持続可能な畜産・酪農の構築の観点から、配合飼料等飼料穀物中心の給与方法等、これまでの技術・経営管理の在り方も見直す。食品残さの飼料利用(エコフィード)の促進を図るため、食品残さ等を「産業廃棄物」ではなく「資源」として位置付け、飼料化に際しての「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の適用除外等について検討する。

(6)消費者の安全・安心に対するニーズに対応し、経営の安定を図るため、肉牛以外についても、コスト面等での農家負担に配慮しつつ、エコフィードの給餌を含め国産飼料の給餌により生産された安全・安心な畜産物であることを確認し得るトレーサビリティ・システムの導入を促進する。

以 上
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