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2008/06/26
米国のテロ国家指定解除手続きについて(談話)
民主党幹事長 鳩山由紀夫

 北朝鮮政府が核申告を行うことを受けて、米国政府はテロ支援国家指定解除の手続きに入ると発表した。拉致問題解決に向けて、わが国とともに米国政府の厳しい制裁措置の存続に望みをかけてきた日本人として大きな失望を感じざるを得ない。

 過去の北朝鮮の対応をみれば、文書の提出、核施設の一部廃棄等で引きのばしを図る可能性があり、申告の内容は慎重な検証を要する。その検証なしに米国が制裁措置解除を打ち出したことは拉致問題ばかりではなく、核の完全廃棄に関しても大きな危惧を覚える。

 国家による拉致行為は我が国に対する主権侵害であり、重大な人権侵害である。ブッシュ政府の高官が言明し、日米の一致した認識である「拉致はテロ」という事実を踏まえれば、同盟国である我が国に対するテロ犯罪が現在においても進行形であることは厳然としており、米国政府のテロ支援国家指定解除の要件にも現状が合致しないことは明白である。拉致問題の解決に向けた北朝鮮の実際の行動を厳しく検証すべきことは日米政府が共有すべき認識と考える。

 同時に、今回の核申告には核兵器が含まれていない。テロ支援国家指定解除により北朝鮮に対する金銭や物資の提供が進めば、核兵器の開発や増強も懸念され、国際社会とりわけ我が国にとって重大な安全保障上の脅威となる恐れがある。

 民主党は、今回の米国政府の対応によって拉致問題が棚上げされることについて強い危機感を表明する。

 国家の最大の使命は国民の生命と財産を守ることである。日本政府は、米国政府に対し、拉致問題の重要性を主張するとともに、米国政府の手続きにかかわらず、拉致問題の具体的な進展がない限り制裁を解除すべきでない。同時に、G8の外相会談を始め、来るべき洞爺湖サミットや六者協議など、あらゆる場を通じて堂々と正しいメッセージを発信するよう求める。

以 上
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