小沢一郎代表は27日午後、福岡県を訪れ、藤田一枝・福岡県第3区総支部長、江藤博美福岡市議会議員らとともに福岡市で農業を営んでいる地元の若手生産者13名と、明日の農業・農政改革について活発な意見交換を行った。
はじめに小沢代表は挨拶の中で、集まった若手生産者の方々に対して自身も生まれ育った郷里が農村であるとして、農業を身近に感じ、関心が強いと紹介。昨年の参議院選挙でも日本人自らの自給体制を作ろうとの思いで農業者戸別所得補償制度を訴えたことを説明した。
さらに、小沢代表は田舎では若い人が働く環境がなかなかないことを指摘し、農業の後継者が現れないことが一つの問題と提起した。また日本の食料自給率についても39パーセントと極端に低い現実について、主要先進国の食料自給率の半分にも満たない実態を、「歪んだ、いびつな社会」と表現した。
しかしながら、小沢代表は、「自給体制は自らが作らなければいけないし、日本人はできる」と強く主張し、そのためには生産農家が営農し続けられる安定した仕組みを作っていかなければならないとの考えを説いた。
次に福岡市の農業生産高が1戸あたり約400万円、農業収入で約120万円と農業所得が低くなっている現状から、現在の農政を見直さなければいけないとの観点で、集まった生産者の方々から様々な意見が寄せられた。
中でも、兼業農家としての営農が多数を占めている現状に触れ、小沢代表は、「今の政府は小規模農家や兼業農家は生産性が低いから大規模農家にしてしまえとしている。規模の拡大による生産性の向上を目指しても、結局はまた大地主制を作ることになる」と、政府が推し進めようとしている農業政策の問題点を指摘。民主党の考えは、「今の農地の規模で充分やっていける地域社会を作るべき」ということだと主張し、地元の家から通って仕事もできて、農業と両立する事ができる健全な兼業農家を育成することが必要であると訴えた。
また今の大規模農政ばかりを推し進める政府の方針だと若い新しい農業従事者が増えない中、小規模でも農業が成り立つ具体的な政策がなければ次の世代に農業を引き継ぐことができないという切実な現状から、食料自給率を上げるためにも、次の世代が安心して農業を営める施策が早急に必要との声が挙がった。
続いて輸入農作物規制についての意見がなされ、小沢代表は、「中国の問題もあって、本当に安心してちゃんと食べられるかどうか食の関心が高まっている」と述べ、その意味でも、「日本の農作物は、輸入農作物と比較しても充分に国内で競争力を持っており、海外市場でも品質の面で高い競争力を持っている」と説明。
それらを踏まえ小沢代表は、「やはり再生産(持続)可能な安定した地域社会の中で農業を行える農政を作ることが必要である」と改めて主張した。
最後に小沢代表が、「とにかく現場を歩いて地元の皆さんの声を聞かないといけない」と意見交換会が実のあるものであったことを述べ、日本の農業を豊かにするためにも、政権交代を実現しなければならないと力説。民主党への支援を求め、濃密な意見交換会が終わった。
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