民主党厚生労働部門・総務部門は1日午前、国会内で合同会議を開催。厚生年金の紙台帳とコンピュータの記録が一致しない件数が560万件あったという調査結果を発表した、6月27日開催の「年金記録問題関係閣僚会議」について、社会保険庁、総務省よりヒアリングした。
冒頭、長妻昭『次の内閣』ネクスト年金担当大臣は「国会が閉じた途端、色々な発表がめじろ押しだ。会期中であれば論点、問題点が明らかにできた」と、年金記録問題を隠ぺいしようとする厚生労働省のやり方に苦言を呈した。
6月27日に開かれた「年金記録問題関係閣僚会議」で公表された内容については、「8・5億件の紙台帳の照合はギブアップする、としたことにがく然とする」と述べると同時に、標準報酬月額の入力ミスが344万件も存在し、記録ミスと推計される560万件のうち半数以上を占めることに言及。その調査は一切行わず、ねんきん特別便にも内容を記載しないことについて「おかしな状態に逆戻りしている」と、ずさんな行政を厳しく断じた。
そして、長妻ネクスト大臣は一刻も早くこの状態にケリをつけるために、解散・総選挙で国民の信を問い、年金をはじめ社会保障制度の統治機構を変えなければならないとした。
続いて、山井ネクスト厚生労働副大臣の司会の下、年金記録確認第三者委員会へ申し立てを行っている年金記録問題の被害者の方からのヒアリングを行った。
Aさん(60歳・女性)は、20歳から40年間払い続けた国民年金について、社会保険庁が、40歳から20年間しか払っていないので、年金を支給できないと通知してきたことを説明。25年間分の年金保険料を納めなければ受給できないことから、現在任意で国民年金に加入しており、同時に第三者委員会に申し立てを行っていると現状を語った。
なかでもAさんは、社保庁に抗議するも、「40年前の領収証や家計簿など証拠となる記録が無ければ認められない」との一点張りで取り付く島もない対応を受けていることを切実に訴えた。
山田正彦ネクスト厚生労働大臣は「社保庁が紙台帳を破棄せず、保管していれば、記録がはっきりわかった。その責任は大きい」として、紙台帳を破棄し、領収証が無いと加入記録を認めないという無茶苦茶な対応を厳しく批判した。
第三者委員会は、可能な限り調査し、本人の証言と状況証拠の整合性から判断すると回答した。しかし、最終的に決定をする判断基準があいまいなままとなったことから、部門会議としては、早急に判断基準を設けて、正確な対応をするよう強く求めた。
次に、社保庁と総務省から、年金記録問題関係閣僚会議について、年金記録問題への対応の今後の道筋、紙台帳とコンピュータ記録との突き合せに関する説明がなされた。
ヒアリングの中で、受給者・加入者の突き合せを平成21年度から10年間で実施する場合の経費として、約2400億円と約3300億円という2通りの計画が示された。長妻ネクスト大臣は「安い経費でやるのは当然。高い経費でここまでお金がかかるという世論誘導はやめるべき」とし、民主党が提案している基盤整備を実施して、8・5億件の紙台帳の突き合せを行っても、約3300億円も掛からないと述べた。
突き合せ作業をいつから何年間で行うかという質問に対する社保庁の答えは、資料で示された内容はあくまでも例とするだけで、実態は紙記録の電子画像データ検索システムの基盤整備を実施するにとどまり、突き合せ作業はその後の進捗具合で順次実施するというものであった。
その他に、蓮舫ネクスト年金担当副大臣、階猛衆院議員、森ゆうこ参院議員らが、現在の問題点を指摘するとともに、社保庁・総務相に対して、先送り・責任回避の体質について襟を正し、国民のための年金制度を1日も早く戻すよう強く求めた。
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