菅直人代表代行は10日午後の定例記者会見で、諫早干拓の開門を命じた佐賀地裁判決について、福田内閣に控訴断念を求める考えを述べた。
冒頭、菅代表代行は、前日に閉幕した北海道洞爺湖サミットに言及。「環境サミットとして何の前進もなかった。大変残念な結果だった」として、福田首相が議長を務めながらも、温暖化対策について、2050年までに現在一人当たり4トンの二酸化炭素の排出量を半減させるなどの積極的な提案を率先して行うチャンスを日本が生かせず、G8と新興国の意見対立が大きいことが明らかになっただけであったと感想を述べた。
諫早湾干拓事業に関わる訴訟で、排水門の開門を命じた佐賀地裁判決に対し、被告である国が控訴をする意向であるとされることについては、同事業が農林水産省の最後の国営干拓事業であり、2500億円を浪費して大失敗したという見解を示した上、「失敗でなかったと言いくるめるためにも、官僚組織は、絶対に控訴して佐賀地裁判決を覆さなければならないという立場だ」と指摘。
もし控訴すれば、まさに今の福田内閣が総理大臣の元における本来の内閣ではなく、官僚内閣制そのものだということが、あらためて国民の前に明らかになるとした上、官僚に押し切られず政治がきちんとした判断をすることを求める考えを示した。
菅代表代行はこのほか、サミット後の福田政権について、内閣改造を行うか、自分の手で次の衆院選をたたかうと明確にするかなど、何らかの対応を取らなければ政権浮揚力は急速に低下するという見方を示した。
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