民主党『次の内閣』ネクスト農林水産大臣
筒井 信隆
WTO交渉は年内の最終合意に向け、この7月21日から、モダリティ合意を目指す閣僚級会合がジュネーブで開催されている。今や、我が国の農林漁業にとって、その存亡にかかわる重大な局面を迎えようとしている。
閣僚級会合の「たたき台」となる農業分野に関する議長テキスト(第3次改訂版)は、我が国に一層の市場開放を迫るものであり、大幅な関税削減の要求や米をはじめとする重要品目の数が不十分であることなど極めて問題の多い内容となっている。これをそのまま受け入れることになれば、国内の農林漁業は大きな打撃を受け、農山漁村の崩壊は必定である。
そもそも、食料をめぐる国際貿易の状況は、WTOドーハ・ラウンド交渉の開始時点に比べ劇的に変化している。すなわち、世界的な異常気象、原油価格の高騰、バイオ燃料の生産等による食料需給のひっ迫や輸出国による輸出制限の実施等が、今日の食料危機をもたらしているといっても過言ではない。その結果、我が国をはじめとする食料輸入国や途上国における国民生活と国内農林漁業は深刻な事態に至っている。そして、自国の生産を基本とする食料安全保障の確保こそが国民の求めているものと再認識すべきである。
以上の状況を踏まえれば、政府は、「多様な農業の共存」が可能となるよう、上限関税導入の阻止、重要品目の十分な数と柔軟性の確保等従来からの主張を堅持すべきである。そして、食料安全保障の確保、農林漁業のもつ多面的機能等を十分に配慮し、食料輸入国の立場を反映した貿易ルールの確立に向けて、断固たる交渉姿勢を貫き通すべきである。
WTO交渉において、我が国の農林漁業・農山漁村、さらには国民経済全体にとって禍根を残すような結果としてはならない。
民主党は、我が国の農林漁業・農山漁村を守るため、党を挙げて全力で取り組んでいく所存である。
以 上
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