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2008/07/22
成年年齢引下げに関する論点整理
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民主党政策調査会

T はじめに
 昨年成立した「日本国憲法の改正手続に関する法律」は、3条で「日本国民で年齢満十八年以上の者は、国民投票の投票権を有する」とし、附則3条で「国は、この法律が施行されるまでの間に、年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする」としている。この18歳投票権条項は民主党の主張を与党が採り入れたものであり、民主党提出案でも同一の内容を盛り込んでいた。

 民主党は、すでに2000年5月に「18歳以上に大人としての権利と責任を」と題して(1)成年年齢を18歳に引き下げる(2)18歳選挙権を実現する(3)少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げる――とする政策文書をとりまとめ、同年参議院に、また2002年衆議院にこれらを盛り込んだ「成年年齢の引下げ等に関する法律案」を提出している。上記文書では、成年年齢等を引き下げる理由について「政治における市民参加の拡大を図ると同時に、若者の社会参加を促進する第一歩」であること、「18歳は経済的自立が可能な年齢であり、現に結婚や深夜労働・危険有害業務への従事、普通免許の取得、働いている場合は納税者であること等、社会生活の重要な部面で成人としての扱いを受け」ていること、「世界のすう勢も18歳以上を成人としていること」などを挙げている。

 以上の議論の経緯をふまえ、民主党としては、民法の成年年齢、公職選挙法の選挙権年齢、少年法の成人年齢をいずれも現在の「満20歳以上」から「満18歳以上」に引き下げることを前提としたうえで、関係法律の年齢条項についての法制上の措置を検討することとし、まず検討対象となる関係法律・条項の整理と分類を行った。

 検討対象とする関係法律については、政府の「年齢条項の見直しに関する検討委員会」での検討のために内閣官房が各府省から集約した191の法律をひとまず対象範囲とし、集計から漏れたと思われる法律についても必要に応じて対象に追加した。

U 対象法律・条項の分類
 以下○印以下の小分類は便宜上のものである。該当条項として列挙したものは例示である。

1.18歳に引き下げることが相当と考えられる年齢条項
法律行為・身分行為等の能力に密接に関連すると考えられる規定
 民法の成年年齢引下げをそのまま反映すべきと考えられる。

(例)民法の各種規定のほか、戸籍法21条(分籍)、国籍法5条(帰化)、商法5条(未成年者登記)、商法施行法4条(未成年者登記)、信託法7条(受託者の資格)、性同一性障害者特例法3条(性別取扱い変更請求)、任意後見契約法4条(任意後見監督人の選任)、民事訴訟法31条(訴訟能力)等。

事業許可、公的資格等の欠格事由等に関する規定
 民法の成年年齢に準拠して定めていると考えられ、民法の成年年齢引下げをそのまま反映すべきと考えられる。

(例)行政書士法2条の2、外国弁護士事務取扱特別措置法10条、公証人法12・34条、更生保護事業法21条、債権管理回収業特別措置法5条、弁護士法7条、保護司法4条、会社法331・584条、裁判外紛争解決手続利用促進法7条、司法書士法5条、信託法124条、土地家屋調査士法5条、医師法3条、薬剤師法4条、社会保険労務士法5条、労働安全衛生法84条、職業安定法32・32条の14、労働者派遣法6条の5・36条、作業環境測定法6条、児童福祉法18条の5(保育士)、民生委員法6条、遊漁船業適正化法6条、商工会議所法35条、商工会法32条、商品取引所法15条、弁理士法8条、海事代理士法3条、貨物自動車運送事業法5条、建設業法8条、マンション管理適正化法45・59条、警備業法3条、古物営業法4条等。

法定代理人に関連する条項
 民法の成年年齢引下げをそのまま反映すべきと考えられる。

(例)戸籍法31・32・81・82・83・84・85条、後見登記法4・7・8・10条、信託法60条、人事訴訟法14条、労働基準法58・59条、遊漁船業適正化法4条、意匠法68条、使用済自動車再資源化等法43・54・61・68条、実用新案法2条の2、商標法77条、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律6条、特許法7条、マンション管理適正化法45条、建設工事に係る資材の再資源化等法22条等。

費用負担者や給付先の切り分けの基準として成年年齢を用いているもの
 名目上の負担者や給付先を切り分けているだけであり、権利・義務の実質的変動はないと言えるが、高校在学中にこれらが切り替わる場合には事務の煩雑化を考慮する必要がある。

(例)特別支援学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法2条、独立行政法人日本スポーツ振興法15条。

公職選挙法の選挙権年齢
 「満20歳以上」から「満18歳以上」に引き下げる。

(例)公職選挙法9条TU、地方自治法18条。

公職選挙法の選挙権年齢に準拠して定めていると考えられるもの
 公選法の選挙権引き下げに連動して引き下げるべきと考えられる。

(例)地方自治法74条(直接請求)、75条(監査の請求)、76条(議会の解散の請求)、182条(選挙管理委員)、人権擁護委員法6条、裁判員裁判法13条、検察審査会法4条、漁業法87条(海区漁業調整委員会委員の選挙権・被選挙権)、農業委員会法8条(農業委員会委員の選挙権・被選挙権)等。

少年に対する刑事司法手続き上の保護や少年院収容年齢の上限等
 少年法の成人年齢引き下げと連動すべきと考えられる。ただし少年院収容や保護観察など成人となったのちも継続して行われることのある保護処分の年齢の上限については、その処遇の内容等に照らして同様の幅で引き下げるべきかどうかについて別途検討する必要がある。

(例)少年法の各種規定のほか、刑事収容施設及び被収容者等処遇法151条(懲罰の種類)、刑事訴訟法37条(職権による国選弁護人)、更正保護法66・68条(23歳)・72条(23歳)、国際受刑者移送法17・22条、国際捜査共助法19条(受刑者証人移送の決定)、少年院法2条(23歳未満、26歳未満)・11条(23歳未満、26歳未満)、売春防止法17条(補導処分20歳)、犯罪者予防更生法33条(20歳)・42条(23歳)等。

2.必ずしも18歳に引き下げるべきとは言えない年齢条項
福祉等の対象となる「子」「児童」等の範囲を定めているもの
 子の福祉・保護の観点から引き下げを連動させないほうがよい場合もあると考えられる。また、「18歳に達した日以後の最初の3月31日までの間にある子」は一般的に高校卒業時を一つの区分とする趣旨であり、成年・未成年の区分とは別の観点での線引きと考えられる。年金・福祉関係法等の経過措置に年齢条項が含まれる場合についても過去の改正経緯に照らし慎重に個別検討が必要と考えられる。

(例)配偶者からの暴力防止法10条V、国籍法3・14・17条、人事訴訟法31・35条、恩給法73条、簡易生命保険法12条、地方公務員等共済組合法2条V、厚生年金保険法44条(18歳に達した日以後の最初の3月31日までの間にある子、20歳未満で障害のある子)、児童福祉法21条の5(20歳未満が小児慢性特定疾患治療研究事業の対象)・31条(施設の在所期間を満20歳まで延長)・附則63条の2(施設の在所期間を満20歳以降にも延長)、児童扶養手当法3条T(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者又は20歳未満の障害者を「児童」と定義)、母子寡婦福祉法6条U(20歳未満の者を「児童」と定義)等。

税法上の未成年者控除など
 税法上の人的控除はもともと本人の所得の有無や扶養関係などの実態に着目して設けられていると考えられること(所得税の扶養控除の対象となる老人扶養親族は70歳以上、特定扶養親族は16歳以上23歳未満)から、こうした実態を踏まえての検討が必要であろう。

(例)相続税法19条の3等。

過去のある時点の年齢・期間等に基づいて給付額等が算定されるもの
 現行を維持すべき。

(例)恩給法等の一部を改正する法律附則15条「昭和五十三年十月一日において未成年である者」等、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律6条、社会保障に関する日本国とカナダとの間の協定の実施に伴う厚生年金保険の特例法9条、国民年金改正法平成元年86号附則4条等。

年金加入資格年齢
 今後の年金制度改革の中で整理すべきであり、現行制度について成年年齢引き下げに連動した加入年齢の引き下げは行うべきでないと考えられる。

(例)国民年金法7条。

危険・有害な物資の製造事業などの許可の欠格事由
 危険・有害性を個々に吟味し、引き下げを連動させないとする考え方もありうる。ただし核原料物質・核燃料物質・原子炉規制法のように危険物質であっても法律上未成年者を欠格事由としていない例もあること、新たに成年者となる18歳・19歳の者が規制を受けることについて相当程度の必要性・合理性が求められよう。

(例)たばこ事業法11・13・17・22・23・31・40条、あへん法13条、大麻取締法5条、アルコール事業法3条、銃刀法5・5条の2,(現行法では銃の所持許可は原則として18歳以上だが、猟銃等については特例で20歳以上となっている)。

少年の健康被害予防のために特定物資の消費について年齢制限を設けているもの
 現行20歳を18歳に引き下げるべきかなどについては、危険・有害性、健康被害の可能性などを個々に吟味する必要があろう。ただし、20歳に据え置く場合には新たに成年者となる18歳・19歳の者が規制を受けることについて相当程度の必要性・合理性が求められよう。

(例)未成年者飲酒禁止法1条、未成年者喫煙禁止法1条等。

少年の健全育成のために特定の行為について年齢制限を設けているもの
 現行20歳を18歳に引き下げるべきかについては、健全育成に及ぼす影響などを個々に吟味する必要があろう。ただし、20歳に据え置く場合には新たに成年者となる18歳・19歳の者が規制を受けることについて相当程度の必要性・合理性が求められよう。

(例)競馬法28条、自転車競技法9条、小型自動車競技法10条の2、モーターボート競争法9条の2、暴力団による不当な行為の防止等に関する法律16条(20歳未満の少年への勧誘・入れ墨禁止)等。

免許資格の種類により取得可能年齢が段階的になっているもの
 免許対象となっている行為についての知的・身体的能力と年齢との相関関係等を踏まえ、個々に検討する必要があろう。

(例)道路交通法88条(大型免許は21歳以上、中型免許は20歳以上、普通免許等は18歳以上、普通二輪免許等については16歳以上)等。

刑法上の未成年者保護(未成年者略取誘拐等)
 保護の対象を狭めるべきでないとする議論もとり得る。保護法益が親の監護権か未成年者本人の自由であるか等の議論もある。

(例)刑法3・3条の2・224・226条の2・248条等。

3.現行18歳条項等の取扱い
年少者保護条項
 児童福祉関係法、労働法、一部の業法等で未成年者のうちでも特に18歳未満や15歳未満の者を特別に保護している条項は少なくない。18歳未満の者の保護については子どもの権利条約、労働分野ではILO138号条約(船舶職員についてはさらにSTCW条約)などわが国が加入する条約上の義務も存在することから、これらの保護条項は現行通り維持すべきと考えられる。

(例)児童買春児童ポルノ法2条、児童虐待防止法2条、労働基準法6章(年少者)、船員法85条(年少船員の就業制限)、船舶職員及び小型船舶操縦者法6条(海技免許を与えない場合)、警備業法14条(警備員の年齢制限)風俗営業法(18歳未満の従業・立ち入り制限)等。

4.その他
169回通常国会で成立した内閣提出法案で、条文自体が削除されたもの
(例)少年法37条(成年の刑事事件)、船員法144条(船員法施行前から従事していた一部の船員等に対する船員法85条適用の猶予期間)。

皇室典範
 皇室典範(皇族中、天皇・皇太子・皇太孫のみ18歳成年を定める22条等)は、特別な検討が必要であると考えられる。

リストにはないが検討が必要と思われるもの。
・酒税法10条(酒類製造免許等の要件) たばこ事業法、アルコール事業法と同様の観点から検討すべき。

・スポーツ振興投票実施法9条(19歳未満のサッカーくじ購入禁止) 競馬法、自転車競技法等と同様、もしくは現行法が19歳とした点を踏まえた別個の検討が必要であろう。

・特別児童扶養手当支給法2条(「障害児」を20歳未満、「特別障害者」を20歳以上と定義し、「障害児」父母への特別児童扶養手当支給を定める) 障害基礎年金との接続が重要であり、年金制度と合わせて調整・検討する必要がある。年金加入年齢を20歳に据え置く場合には、本制度も据え置くべきであるが、その歳、「障害児」の用語は「障害のある20歳未満の者」等と見直すべき。

その他
・地方税法485条の13(たばこ消費基礎人口の算定)については、未成年者喫煙禁止法に連動して検討されるべきであろう。

・公職選挙法10条、地方自治法19条(被選挙権)については、前記文書では「被選挙権を18歳に引き下げることについても、今後検討していきます」としており、別途検討が必要である。

・民法731条(婚姻適齢男18歳・女16歳)については、民主党として婚姻適齢を男女とも18歳とする民法改正案を別途提出中である。

・民法797条(養子縁組の承諾能力)・961条(遺言能力)など15歳以上の未成年者にも特別に判断能力を付与している規定については、特に見直す必要はないと考えられる。

・民法817条の4(特別養子縁組において養親となれる年齢25歳)は、養子となる子のために特に養親の扶養能力等に着目した規定と考えられるので、見直す必要はないと考えられる。

・旅券法5条(20歳未満の者の発給申請に係る一般旅券の有効期間を5年とする例外規定)は、生物学的成長に伴う容貌の変化という観点から別途検討すべきであろう。

V 今後の検討について
 以上の大まかな分類をもとに、今後、広く国民各界の意見にも耳を傾け、制度間の整合性などにも留意しつつ、特にU2.以下の各項目について、『次の内閣』各部門において各個別条項ごとの精査を進めることとする。

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