菅直人代表代行はじめ、党公共事業検討小委員会、党熊本県連は29日、荒瀬ダムを合同で視察し、熊本県の説明や、反対派の住民からの声を聞いた。
発電専用の県営荒瀬ダムは、潮谷前知事の下で撤去が決定しており、既存ダムの撤去は日本で初めてで、大きな政策転換が行われたことに県民は期待をしていた。しかし、今年4月に就任した蒲島知事によって、撤去の決定を凍結する方針が今年6月に突如示され、地元住民は強い憤りと不信感を持っている。また、川辺川ダムについても知事は9月にも方向性を決断するとしており、知事が示す方針が注目されている。
視察を終えた菅代表代行は、記者団に対して、「川を遮断するダムをつくったことで川が死んでしまっている。今回、熊本県の担当者から説明も受けたが、その観点が全く入っていない。費用等の話しかなく、本質の議論から逃げているのではないかと感じた。明日、蒲島郁夫知事から直接聞いてみたい」と述べ、ダムを撤去することによって球磨川を再生させることが必要であるとの見方を示した。
荒瀬ダムは、戦後復興期の電力不足を補うために、1954(昭和29)年に建設された発電専用の県営ダム。当時、戦後復興のためという大義の前に、地元住民は建設に同意、ダム湖の汚染や放流時の振動など、ダムによる様々な被害にも我慢してきた。そして、2003年3月31日に水利権満了を迎えることから、それに伴う更新について協議、地元からの強い要望に沿って、2003年12月県議会で撤去方針が決定した。この決定を受けて県は、撤去完了日を2010年3月31日とする計画を策定、すでに準備作業に入っていた。
地元住民は、様々な被害に悩まされていただけに、1日も早くと撤去実現を待ちわびていた。ダム撤去は地元住民の悲願であり、蒲島知事の撤去凍結に対して、怒りの声が上がっている。それだけに、今回の菅代表代行視察に対する期待も大きく、地元住民の皆さんが、ダム被害の実態を次々に訴えた。
視察には、熊本県連代表の松野信夫参議院議員、公共事業検討小委員会事務局次長の大河原雅子参議院議員らが同行した。
|