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2003/01/18
<2003統一地方選挙政策集>第3章 民主党の政策が一目でわかる個別政策のガイド
4.社会保障・雇用
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【社会保障】


 民主党は、個人が能力を生かし、各人にふさわしい生き方を選ぶことができる社会をめざします。例えば、多くの人が60歳台前半まで元気に生き生きと働くことができ、やる気と能力があれば安心して再チャレンジできる自立支援の仕組みがある社会、介護が必要になれば在宅か施設のサービスを利用者自身が選べ、バリアフリーの基盤が整う社会、患者と医師の信頼関係のうえに安心の医療が提供され、保険で広く負担しあう社会、地域で支える子育ての仕組みがあり、仕事と家庭の両立がしやすい社会です。民主党は、すべての人が「安心・安全・ゆとり・豊かさ」を実感できる国民生活実現のため、社会保障や労働・雇用政策の改革に取り組みます。


社会保障制度の分権化
 年金や生活保護その他の低所得者対策などの所得保障を国の責任でしっかり行います。そのうえで、医療は都道府県、介護・福祉などは市町村と、より身近な地域に分権化し、保険料・自己負担分などは国民みんなで分かちあう総合的な社会保障制度を確立します。

健康づくり支援
 健康に暮らせる環境対策の推進、健康相談・健診事業、たばこ・アルコールによる健康被害防止を柱に健康づくりを支援します。そのため、バリアフリーのまちづくり、食品安全、快適な住環境の整備、通勤ラッシュの緩和や職場環境の改善、大気汚染、騒音対策などに取り組みます。また、地域における健康相談事業の推進や、健康保険財政の財源確保も視野に入れたたばこ税・酒税の税率アップを検討します。

診療報酬・薬価制度の見直し
 診療報酬制度は、薬漬け・検査漬けなどの無駄を生じる「出来高払い」をやめて、治していくら、上手に病気をコントロールしていくらという、病気ごと、月ごとの「定額払い」制を基本にします。また薬価制度は、国で決めた薬の価格(公定価格)と、実際に薬販売業者から病院が購入する価格とに格差が生じる、いわゆる薬価差益の問題があるため、将来的に公定価格制を廃止して、市場原理に任せます。

患者の権利法案
 民主党は、患者を「医療消費者」としてとらえ、医療情報の開示・評価と、医療機関や治療方法に関する患者の選択を促すことで医療の質を向上させる改革が必要と考えます。そのため、カルテ・レセプトなどすべての医療情報の患者本人等への開示や、診療費明細書の発行義務化、患者が他の医師に意見を求めるセカンドオピニオンの保障などを内容とする「患者の権利法案」を国会に提出しました。

家庭医の創設と医療機関の役割分担
 身近に何でも相談できる「家庭医」をつくり、いちいち大病院にかかって「3時間待ちの3分診療」にならないようにします。家庭医養成のため、2004年から医師の免許取得後研修が義務化するのにあわせ、大学中心でなく、地域で患者の立場に立った優秀な医師を育てるための研修医改革をすすめます。家庭医創設や介護施設の充実とあわせ、社会的入院をなくし、病院医療に無駄なお金がかからないよう、病院の数と機能を集約します。

医療事故防止対策
 民主党は、多発する医療事故の再発防止のため、「医療法改正案」を国会に提出しました。法案の第一のポイントは、病院の管理者に医療事故防止方針の作成と、都道府県知事への届出を義務づけ、医療事故防止に対するインセンティブを高めること。第二は、第三者機関としての医療事故防止センターにおいて、医療事故の事例を集めて調査・研究を行い、再発防止に活かすことです。

医療従事者の資質向上のために
 医師の入試制度、学部教育を抜本的に改革します。メディカルスクール(医科専門教育をする4年制大学院大学)の導入も検討します。医師等の卒後研修、医局制、医師免許制度のあり方について検討します。家庭医の養成を重視し、地域病院での研修義務づけや定期的に卒後研修を行い、技能の向上を図ります。薬剤師の養成は6年課程、看護師教育は4年制とし、准看護師制度は廃止します。その他の有資格医療従事者についても、4年制大学教育とします。

医療保険制度の再編成
 組合健保、政管健保、国保など大小5,000以上の保険者を原則都道府県単位に整理・統合し現在の10分の1以下に減らします。3,700万人の加入者を全国一本で運営する政管健保は、都道府県ごとに分割し第三者機関による運営とします。今回の3割負担問題は、政府の運営失敗による政管健保の赤字が原因であり、今後の運営を政府には任せられません。整理・統合した保険者間の不公平(年齢構成等)は財政調整します。国民が保険者を自由に選べるようにします。

高齢者医療制度の見直し
 現在の老人保健制度(70歳以上の高齢者をひとまとめにして、その医療費を各保険者からの拠出金でまかなう仕組み)を廃止して、高齢者をもともと加入していた医療保険者に戻します。医療保険制度の再編成とあわせて、地域間の医療費格差、保険料格差の是正に努め、全国民に対して医療費の公平公正な負担を求めます。

地域精神保健福祉のレベルアップ・司法と精神医療の連携強化
 大阪教育大学付属池田小学校の事件等の教訓を踏まえ、地域精神保健福祉サービスの拡充と、司法・刑事領域と精神医療の分野の実践的な連携強化、実証的な研究・検討に取り組みます。政府が提案している「心神喪失者医療観察法案」はこれまで以上に精神障害者に対する差別・偏見を助長するものであり、民主党はこの法案に反対します。

基礎年金の税方式化
 基礎年金について、全額税方式への移行をめざします。これにより、逆進性の強い国民年金の定額保険料(月額13,300円)は不要となり、年金空洞化が解消されて、順次すべての国民に現行水準(月額67,017円)の年金が保障されます。保険料に代わる財源は、行財政改革の進展を踏まえつつ、いくつかの試算を策定して国民的議論をすすめることとします。

無年金障害者への対策
 民主党の基本的立場は、無年金障害者あるいは国籍条項による無年金者をなくすことです。将来的に、基礎年金の税方式化によって問題の解決を図る考えですが、それまでの間、福祉的措置も含めた実現可能な方策を早急に検討し、無年金障害者をなくす取り組みをすすめます。

介護サービス基盤の拡充
 介護サービスの充実は、地域に雇用を生み、地域の活性化を実現する効果をもたらします。従来の土木型公共事業に比べ約2倍の経済・雇用効果が期待できるとの指摘もあります。民主党は、より良い介護保険制度にするため、財政のきびしい状況ではあっても、介護基盤整備を最優先ですすめます。とくに在宅介護推進のため、ホームヘルパーやケアマネージャーの増員や質の改善、グループホームや宅老所の増設などを速やかに行います。

介護サービスの質の向上
 介護保険は、サービスの量に対する報酬が原則であり、必ずしもそのサービスの質は問われません。このため、施設などサービスの絶対量が不足した状況において、市場原理に任せるだけでは質の担保はできません。そこで保険者機能を強化して、ケア・カンファレンス*実施体制の構築、第三者機関による苦情対応機関の設置などを保険者が責任をもって行い、自治的な機能の確立を図る体制をつくります。
* ケア・カンファレンス=ケアマネージャーと介護サービス提供者が、介護を必要とする高齢者に対するサービス内容を決める会議。

介護保険における低所得者対策
 65歳以上高齢者の保険料は、市町村ごとに所得段階(5段階)に応じた定額保険料が設定され、低所得者には軽減された保険料が賦課されます。しかしなお、低年金層などでは、過重な負担となり生活を圧迫しています。低所得者対策は、根本的には、年金など所得保障と、医療費等も含めた生活費全体との関わりで総合的に対処すべきですが、当面、申請に基づく個別の減免や、貸付制度などを地域の実情にあわせ全国的に行うことを徹底します。

エイジフリーな介護保険
 現行の介護保険は、65歳以上の高齢者が原因によらず介護サービスを受けられる仕組みです。民主党は、年齢の区分をなくし、65歳未満の被保険者も保険料を払うだけでなく、平等にサービスを受けられるよう、条件を整備しながら介護保険をエイジフリーな仕組みに改革します。ただし、障害者施策としてのサービスは別途受けられることを保障します。

子育て支援
 民主党は、多様な選択肢を用意し、安心して子育てできる環境をつくります。低年齢児保育、延長保育、一時保育、病児保育、学童保育など多様なニーズに対応するため、「新エンゼルプラン」のさらなる充実を図ります。同時に、子どもにとってより良い保育の質を追求します。また、育児休業制度や、仕事と家庭の両立支援策、小児医療の充実を図ります。さらに子育ての孤立化や不安解消のための相談・支援体制も充実します。

児童手当の拡充
 子どもを持つか持たないかは、夫婦・個人の選択ですが、次代を担う子どもを産み育てる家庭の様々な負担は個人の責任にのみ帰せられるべきものではなく、社会全体でこれを分かちあい、支援すべきです。この観点から、児童手当の支給対象期間を欧州諸国並みに少なくとも義務教育終了までに、また支給額を現在の 2倍程度の水準となるように拡充します。

ひとり親家庭への自立支援策
 離婚の増加に伴い、ひとり親家庭が増加しています。とくに母子家庭にとっては、雇用や住宅、子育ての問題などで、安心して自立生活できる環境にはありません。民主党は、実効性ある就労保障、子育て支援、離婚時の養育費支払いの履行確保策など、ひとり親家庭に対する自立支援に取り組みます。今後、児童扶養手当の支給水準を変更する場合は、母子家庭の経済状況等に十分配慮すべきと考えます。

バリアフリー
 障害のあるなしにかかわらず、誰もが安心して暮らせるバリアフリー社会を実現します。バリアフリー住宅の普及やバリアフリーのまちづくりなどをすすめます。障害者と健常者がともに学ぶ統合保育・統合教育を推進します。誰もが利用しやすいIT機器の普及をすすめます。選挙情報の提供や投票補助など政治参加のバリアフリーをすすめます。また福祉・医療・雇用などを横断的につなぐ「新・障害者プラン」を策定し、すべての人が生き生きと暮らせる社会をつくります。


【雇用・労働】


 完全失業率が5%を超え、高失業時代に突入しました。中高年層に対するリストラ、早期退職制度、出向などが増加しています。働き方そのものを大胆に見直し、社会全体で幅広い雇用維持、雇用創出の方策を確立、推進しなければ、年齢・賃金・能力など「雇用のミスマッチ」の解消どころか、解雇やリストラによる非自発的失業がさらに増えることが予測されます。ワークシェアリングが脚光を浴びていますが、失業対策のみならず、積極的な雇用創出の努力が必要です。民主党は、やる気と能力があれば安心して再チャレンジできる自立支援の仕組みがある社会をつくります。


職業能力開発
 時代にあった職業能力の自己啓発に関心が高まっています。人材は社会の基盤です。民主党は企業内、業界内での職務内容や能力評価基準等(日本版NVQ)の明確化、社会人の利用拡大に向けた奨学金制度、キャリアカウンセラー*の早期育成を支援します。より高度で実践的な職業能力を有する人材育成のための職業訓練校の展開など、職業能力開発制度の抜本強化をすすめます。一定期間勤務すれば、休業が認められるキャリアブレイク制度の普及も支援します。
*キャリアカウンセラー=転職・再就職に際して労働者 の職務経験等について相談に乗り、その人にあった仕 事をアドバイスする専門家。

雇用創出
 雇用情勢の改善には、失業対策だけでなく積極的な雇用創出がカギです。民主党は短期緊急対策として時短を伴うワークシェアリングを、新しい産業(環境・福祉・教育・IT・都市再生など)の創出と並行してすすめます。教育・保育、福祉・介護、環境などの国民サービス向上につながる分野は行政サービスの拡充と民間分野の誘導策とをあわせてすすめます。SOHO(会社勤務でなく在宅も含めた小規模オフィスで働くこと)や在宅就労、NPOなどによる起業・創業についても、就業機会の有望な受け皿として、労働環境整備に取り組みます。

ワークシェアリング(WS)
 雇用、時間、賃金の組み合わせを変え、就労機会をより多くの労働者で分かちあい、雇用機会を増大させる施策です。時短を伴う「緊急対応型」WSは失業をこれ以上増やさないための短期対策としては重要ですが、民主党は、多様な就労形態を整備して雇用を創出するという長期的観点に立ち、フルタイマー・短時間労働者の労働時間と仕事に即した均等待遇、社会保険制度の短時間労働者への適用拡大、女性や高齢者の就業条件整備等を追求します。

就業形態の多様化と均等待遇
 期間の定めなく、フルタイムで長期に働く正社員とは異なる就業形態の労働者が増加しています。女性労働者では5割近くが短時間労働者です。雇用側の人件費削減の要請とともに、仕事と家庭の両立など働く側の要請もあります。昨今、労働時間や仕事の内容がほぼ正社員と同じなのに、雇用形態の違いだけで労働条件や処遇が著しく低い取り扱いを受けるケースが指摘されており、民主党は働き方によって著しく不利にならない合理的な原則づくりに取り組みます。

解雇規制
 日本に解雇規制の実定法はありませんが、使用者による解雇はこれまで判例によりきびしく制限されてきました。民主党は著しく不合理な解雇の禁止等を図る観点から、「整理解雇四原則」=(1)人員削減の必要性、(2)人員削減の手段としての整理解雇(指名解雇)を選択することの必要性、(3)被解雇者選定の妥当性、(4)手続きの妥当性等、労働契約に関する法制化について検討するとともに、事業主に対する再就職あっせんや支援の義務づけ、職業教育訓練機会の拡大を強化します。

年齢差別禁止
 きびしい経済状況を反映し、とくに中高年を対象に人員削減の波が押し寄せていますが、転職の際に「○○歳まで」と入口で画一的に締め出され、就業チャンスを奪われることも少なくありません。民主党は、年齢や性別、障害の有無など生来的な違いによる差別をなくさなければならないと考えます。募集・採用における年齢差別禁止法案を提起し、高齢者や女性も含め、働きたい意欲のある人がその能力を発揮できる社会をつくります。

ホームレス自立支援
 長引く不況を背景に、都市部を中心にホームレスの姿が目立っています。民主党はホームレスの生活実態を的確に把握し、生活保護の適切な実施を含め、実態にあった対応が必要との観点から、先に「ホームレスの自立の支援等に関する臨時措置法案」を国会に提出し、これが契機となってホームレスの自立のための法案が成立しました。とくに就労意欲のある路上生活者について、定住場所としての住居支援、就労支援を行い、ホームレス状態の長期化を防ぎ、自立と社会復帰を支援します。

雇用保険制度
 きびしい雇用失業情勢を反映し、このままでは雇用保険財政が2002年度中に枯渇する見込みです。民主党はこの間、この危機的状況にいち早く警鐘を鳴らし、雇用保険の財政安定化のための法案を提出するなど、国民の安心確保を主張してきました。セーフティーネットにふさわしい安定した財政運営を可能とするため、失業等給付を本当に困っている人への給付を中心とし、求職中の職業訓練との連携強化、短時間就業者へ適用を拡大するなど、雇用保険制度の抜本的改革をすすめます。

仕事と家庭の両立支援
 育児・介護休業法成立以来、半数以上の女性労働者が育児休業を取得していますが、子育ては育児休業期間で終わるわけではなく、職場復帰後、いかに多様な子育て支援メニューを整えるかが課題となっています。民主党は先に仕事と家庭の両立支援法案を提出、子どもの看護休暇義務化への道筋をつけましたが、今後は子どもの看護休暇の早期義務化、父親の育児休業取得の促進、勤務時間の短縮制度の請求権化、実質上期間の定めなく雇用されている期間労働者の育児・介護休業取得の保障などを追求します。

労働時間の短縮
 家族・友人などとの絆を深める、地域・社会活動に参加、自己啓発による職業能力の向上、休息による勤労意欲の回復など、多様な価値観に基づき、より自由でゆとりのある多様なライフスタイルを実現するには、労働時間の短縮が不可欠です。民主党は時間外労働の削減をすすめます。また、年次有給休暇の取得率は約5割と極めて低い状況にありますが、民主党は、有給休暇の完全取得及び日数の増加、そして連続休暇を実現する「長期休暇制度創設法案」を提出、その導入をすすめます。

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