トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2002/03/07
【参院予算委】福山議員、鈴木氏の北方四島利権で外務省を追及
記事を印刷する



 7日の参議院予算委員会で、民主党・新緑風会の福山哲郎議員は、自ら根室に行き、北方四島の元島民らから聞いた証言をもとに、鈴木宗男議員と外務省との癒着問題に関連して1時間40分にわたり質問し、いくつかの新たな疑惑を指摘した。

 まず福山議員は、「戦後、北方四島の住居などを取り上げられて根室などに渡った元島民らは、経済的に相当苦しんでいる人々が多い。知人の物置や、戦時中の防空壕を住居にしてやっとの暮らしをしてきた人たちもいるという。私は、そのような人たちから『私たちの税金がなぜ鈴木氏の政治団体に流れていくのか。なぜこのような予算を通すのか』と口々に問われた。小泉首相や川口外相はこのような元島民の声をどう受けとめるか」と切り出した。

 首相の「支援事業のあり方は今後検討する必要があるが、国民生活万般にわたる予算案は早く執行できるようにしなければいけない」「北方領土問題は早く解決してロシアとの平和条約締結をめざす」という答弁に、福山議員は「まったく心がこもっていない。鈴木氏によっていかに北方四島返還運動が歪められているか深刻に受けとめるべき」と返した。

 福山議員は続いて「佐藤(外務省国際情報局)前主任分析官の2000年9月5日から7日までの出張の目的、内容は何だったのか」「会合出席者は誰か」と質問。「北方四島返還運動関係者とロシア情勢についての意見交換を行うための出張と承知している。詳細は現在把握していないので調べる」との答弁を繰り返す山中国際情報局審議官に、福山議員は「本当に公務出張と把握しているのか」と念を押した上で、自ら現地で得た会合参加者の証言を紹介した。

 会合は午後8時から、出席者は元島民8名、鈴木宗男議員、佐藤氏ら20名。「二島にしなければ話し合いが前に進まない。四島一括と言っていてもだめなら、根室の経済が厳しいので、島が二島でも返ってくれば経済が良くなるじゃないか」と鈴木議員が発言。次いで「鈴木宗男先生を心から尊敬申し上げます。こんなすばらしい政治家はいない。鈴木宗男先生について行って間違いない。外交はいつ変わるかわからないから、気長に皆さん頑張って下さい」と佐藤氏。福山議員は、「これは鈴木議員の私的会合ではないか。佐藤氏の発言は外務省の方針から完全に逸脱しているではないか」と佐藤氏の参考人招致を求めた。

 福山議員はまた、「支援委員会」のロシア側代表が空席のまま97年から5年近く委員会の会合も開かれていない状況の中で、どのように支援事業の要望を検討し決定してきたのかと質した。「協定上、ロシア側の要望を支援委員会が検討し、これを考慮して日本政府が事業を決定することになっているが、要望や検討は日本政府が決定するための法的要件ではない」との斉藤欧州局長の答弁に審議は数度にわたって中断した。福山議員が「結局、支援事業は日本政府と同委員会事務局だけで行っていた。しかも同委員会の事務局長は前コンゴ民主共和国大使。こんなのはまともな委員会ではない」と述べ、川口外相の所見を求めた。外相は「支援事業の実施のやり方は尋常ではなかった」と認めた。

「国後島の友好の家(ムネオハウス)やディーゼル発電所の完成式典に鈴木議員が出席したが、どのような立場で出たのか」との問いには、斉藤局長は「鈴木議員はかねてから両施設に多大な関心を寄せ、出席に強い意向を示していたので、この機会に鈴木議員が訪問することは日本外交のプレゼンスを示すことになると判断した」と外務省判断で「事実上の団長格」で出席を依頼したことを認めた。

 これらのやりとりを聞いていた小泉首相が発言を求め、「この支援委員会は正常に機能していたとは思えない。正常な手続きを踏まないでなぜこのようにいい加減な決定がなされてきたのか、よく調査する」と引き取った。

 福山議員はさらに、北方四島支援事業で供与した「希望丸」という艀(はしけ)が現在修理のため根室造船に保管されていることに関し、この造船会社が鈴木議員に毎年政治献金を行っていること、支援委員会の細則に反して随意契約で発注されたことなどを明らかにし、外務省の説明を求めた。斉藤局長は「調べてあとで報告する」と答弁するのがやっとだった。

 福山議員は鈴木議員から2年間に100万円から800万円までの献金を受けた武部農水相ら11人の現職政府高官リストを示して順々に指名し、献金の趣旨、鈴木議員をめぐる疑惑への所見について答弁を求めた上で、最後に「当初は小泉政権に期待した一人だが、ここまで政官業の癒着がひどいとは大変残念だ」と感想を述べて質問を締めくくった。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.