国会内で26日午前、厚生労働部門・総務部門合同会議が開かれ、年金記録問題への対応について社会保険庁、厚生労働省よりヒアリングを行った。
冒頭、山田正彦『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣が斉藤晴美氏の標準報酬月額の改ざんに関する国と会社を相手取り損害賠償請求訴訟について、しっかりと取り組むと明言。原口一博ネクスト総務大臣は、前回の会議で社会保険庁の元職員から、社会保険庁の組織ぐるみの年金標準報酬月額の改ざん疑惑を裏付ける証言があったことにも触れ、中央省庁は国民に対して情報を開示すべきべきだと主張。「国民の信託に応えられるよう頑張っていく」と挨拶した。
会議ではまず、斉藤氏から裁判についてヒアリング。改めて示された説明では、社会保険事務所で年金記録を調べた結果、当初は正しい届け出がなされていたにも係らず、2年間さかのぼり本来約30万円の標準報酬月額が8万円に引き下げられていたことが判明、国と会社を相手取り損害賠償請求訴訟を起こしたとした。斉藤氏は、「社会保険庁を糾弾したいのではなく、裁判を通じて責任の所在を明らかにしてほしい、真相究明してほしいとの思いでいる」と表明。「そのうえで、国民も年金に感心をもってもらい、国と国民の間でいい年金制度を作り上げたい」と語った。
これに対して社会保険庁側は同事件の争点である(1)社会保険事務所の指導の有無、(2)職務上の過失の有無――の2点について最終準備書面内容を説明。原告ないし、標準報酬月額の改ざんに関して社会保険事務所の指導があったとする被告会社の主張に対して、その事情の立証責任を原告に求める他、「社会保険事務所が事実と異なる虚偽の届出を事業主に指導する等の行為は到底あり得ないことであり、そのような指導をするメリットは何もない」との反論した。
社会保険庁側はさらに、改定処理にあたっては賃金台帳等の書類を添付する必要があり、事実と相違する内容の賃金台帳を作成し社会保険事務所に提出したことを指摘、虚偽の書類を提出しておきながらそれを信用した社会保険事務所に責任転嫁することは許されないと非難。社会保険事務所には届出内容に関して真性であるかどうかを調査する権限を有するとして、その責任を問う原告の主張にも義務違反に当たらないとした。
ヒアリング後、参加議員からは「一番事実を知っているのは厚生労働省の人間であり、国民に立証責任を求めるとはおかしい」「社会保険事務所は改ざんを指導するメリットはないというが年金の収納率を上げれば市町村にも財政上の特典がある」など多くの指摘があった。また、「ねんきん特別便」に標準報酬月額が記載されていない点も追及。「十分な情報提供をしない中で正しいかどうか判断を仰ぐのはおかしい」として、国民が判断に足る情報を提供するよう書類の送り直しを求めた。
そのほか、前回の会議で資料提出を求めた厚生年金標準月額改ざん調査の調査項目、年金保険料の収納率会議における収納率の目標、標準報酬月額の変更の議事録や議論、年金運用の目標等についての回答はなく、議員らは社会保険庁が強調する「前向きモードとは全く逆なサボタージュ、隠蔽体質を厳しく批判。次回会議までの回答を強く求めるとともに、斉藤氏の事件については全国民の問題として今後も取り組んでいく方針を確認した。
|