筒井信隆『次の内閣』ネクスト農林水産大臣は3日午後、北海道根室市、釧路市でそれぞれ開催された「漁業燃油の高騰に伴う民主党懇談会」に出席し、管内の漁業関係者とそれぞれ意見交換を行った。懇談会には地元・北海道7区選出の仲野博子衆議院議員をはじめ、根室管内、釧路管内の漁業協同組合関係者らが参加した。
両会場でははじめに仲野議員が「北海道は漁業を始めとする一次産業で成り立っている地域。食の安全保障の面からも今まで以上に盛り立てていかなければいけない。燃油高騰に対する民主党と政府の両対策について、忌憚のない意見をお伺いしたい」と挨拶。
続いて筒井ネクスト農水相が、「民主党の燃油高騰に対する緊急対策と恒久対策」、「民主党の農山漁村6次産業化ビジョン」について触れ、漁業も加えた新しい戸別所得補償のあり方、食品の原料原産地表示の義務化などについて説明。また、一次産業を、二次産業・三次産業等の他産業と同様の生産性の追求や規制緩和を進める自民・公明の対策を批判した。さらに「漁業をはじめとする一次産業をおろそかにしてきた全てのしわ寄せによって、ひずみが出てきている。民主党は一次産業を守るために、6次産業化ビジョンを法案化して提出する」と述べた。
漁業協同組合関係者からは現在の政府の対策について、「一斉休漁や全国大会の努力を重ねて、政府から燃油への支援を勝ち取ったと思っているが、支援の内容は予算額も少なく効果が見込まれない」、「事務手続きが煩雑すぎて、夜を徹して対応しても間に合わない」、「要件の基準が高く、実際に補助をうけられる漁民がいるのかわからない」、「備蓄してある燃油の放出はないのか」等の不安や不満が噴出。「民主党の1000億円規模の緊急対策に少しでも近づくように、もっとがんばって欲しい」との要望が出された。
一方、民主党の6次産業化ビジョンについては、「漁業への所得補償は賛成できる。安定した収入が得られるとなれば後継者も育つようになる」、「地元の名産でもある昆布漁の発展のためにも、輸入品と差別化できる原産地表示の義務化は早急に進めて欲しい」と、期待の声も出された。また、「漁業収入が年々減少している。浜値の付け方を見直してほしい」、「零細漁家も努力を続けている。大手企業の参入を容易にしないでほしい」、「資源の枯渇が深刻化している」、「高齢化、後継者不足で困っている」等、漁業全般に対する意見も寄せられた。
これらの意見に対し、仲野議員は、「燃油高騰に対する政府の対策には現場の声が全
く反映されていないことがわかる。対策を打ち出したと声高に言うが、条件が厳しく、行き渡らない支援なら、ないものと同じ。安心して漁業ができるようなものになるように引き続き政府に働きかけていく」と力強く述べた。
筒井NC大臣は、「民主党は国家としての一次産業の位置づけを確立すべきだと考えている。根室、釧路は昆布漁が盛んだが、安心、安全な国内産昆布を安定的に届けるという食の安全保障を担っていることや、昆布が森林以上にCO2を吸収し、地球温暖化対策にもなるというような多面的機能を持っていること、これらを守っているのは漁業者だということを国民に周知していきたい。その上で、その対価として所得補償があることを理解してもらいたいと思っている。民主党は漁業者に誇りを持って漁業を続けてもらえるような政策を引き続き考えて行きたい」と決意を述べた。
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