菅直人代表代行は11日午後、党本部で記者会見し、川辺川ダム建設計画に反対を表明した蒲島熊本県知事の英断を高く評価する意向を示した。
菅代表代行は冒頭、同知事との7月の懇談や、これまで現地に10回程度足を運び計画の白紙撤回を求めてきた経緯を説明。「今回の表明はまさに画期的なことであり、高く評価したい」とその英断を称えた。
その上で、ムダな大きな公共事業が計画変更された場合、関係者や地元住民がマイナスの影響を受ける可能性があることに言及、安心して暮らせるように生活再建の支援を尽くす方針を示した。本格着工間近とされる群馬県の八ツ場ダム建設にも触れて「(今回の川辺川ダムの計画中止を受け)いい方向が作れるよう国政の中でも訴えていきたい」と語った。
社会保険庁職員の関与が明らかになった厚生年金の標準報酬月額の改ざん問題については「警察が泥棒の指導をしているようなもの。『もってのほか』を超えている」と断じ、徹底的な調査が必要であると表明。国民の年金に対する深い不信感を払拭するため、民主党は問題の解明とさらなる改革に取り組むとした。
残留基準値を超える農薬が検出された事故米を「三笠フーズ」が食用として不正に転売していた事件については、ミニマム・アクセス米の買い入れを求めてきた政府が、流用の実態を把握しチェックする姿勢が甘かったことが背景にあるのではないかと分析。消費者庁をつくる以前に、自分たちが政権を握ってきた中で起きたこうした問題を、消費者の安心のために徹底的に解明することが大きな課題であると主張した。
菅代表代行は、事故米の不正転売問題について、社保庁の厚生年金記録改ざん問題同様、閉会中審査を求め、臨時国会が開かれた際には集中審議が必要であるとした。
自民党総裁選挙の候補者の中から臨時国会での党首討論の開催を求める声が上がっていることにも言及。新総裁がイコール新総理として強引に就任することには異論があるとしながらも、予算委員会で喫緊の課題、新政権が取り組む課題について正々堂々と国民の前で議論することに前向きな姿勢を示した。
これに関連して、補正予算の早期成立を求める与党側の声を取り上げ、2代にわたって政権を放り出した自民党総裁が総理に就任する資格はなく、選挙管理内閣の政権の座は野党に渡すべきとした上、そうした場合には、緊急的な課題に対して与野党が協議し、補正予算として対応することはあり得ると語った。
イラクからの航空自衛隊の撤収については、民主党が撤退を求める前に派遣そのものに反対していた経緯、イラクへの攻撃は大量破壊兵器の存在が前提であったことに触れ、「事実も判断も間違った中で今日の事態がまだ続いている」と政府・与党の対応を批判。撤退については「遅きに失したとはいえ当然である」と述べた。
また、『次の内閣』のメンバーを中心に始まったマニフェストの議論について、「国民参加のマニフェストづくり」として、農林漁業、医療年金介護といった政策ごとに、地域で会合を開催していくことを明らかにした。
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