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2008/12/24
民主党環境政策大綱「民主党環境ビジョン」
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2008年12月24日
民主党『次の内閣』閣議(中間報告)

民主党環境政策大綱「民主党環境ビジョン」


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(目 次)

◆はじめに ~地球は生命の共有財産~

◆民主党環境ビジョン(概要)

◆民主党環境ビジョン

1.持続可能な社会をめざして

 (1)持続可能な社会の条件
 (2)環境と経済の統合
 (3)ライフスタイルの転換と意識改革
 (4)持続可能な社会に向けて~基本的な考え方を変える
 (5)持続可能な社会をめざして

2.環境政策の具体的な提案

 ○環境権
 (1)良好な環境を享受する権利の確立
 (2)環境保全義務の検討

 ○持続可能な社会への基礎的条件の整備
 (1)環境倫理(新たな価値観)の確立
 (2)市民参加の保障
 (3)情報公開の徹底
 (4)公正な市場の構築
 (5)政府の役割の見直し
 (6)政策への「環境」の組込みと環境を優先する法体系・指標の構築

 ○調査・研究、環境保全制度の充実
 (1)調査・研究の充実と適正な科学技術の振興
 (2)環境影響評価制度の拡充
 (3)環境調和型公共事業

 ○価値観・ライフスタイルの転換に向けて~環境教育の推進

 ○地球温暖化・エネルギー対策
 (1)民主党「脱地球温暖化戦略」の推進
 (2)実効ある国内排出量取引市場の創設
 (3)地球温暖化対策税の創設
 (4)CO2の「見える化」の推進
 (5)主導的な環境外交の展開
 (6)エネルギー安定供給体制の確立
 (7)都市の緑の回復

 ○地球環境問題への対応
 (1)オゾン層破壊防止・フロン回収
 (2)砂漠化対策、森林保全
 (3)環境保全等の国際貢献
 
 ○循環型社会の構築
 (1)総合的な廃棄物・リサイクル対策
 (2)個別リサイクル法の改正
 (3)デポジット制度の導入
 (4)循環と共生のまちづくり

 ○土壌汚染対策

 ○水循環の確保

 ○化学物質対策
 (1)総合的な化学物質対策
 (2)シックハウス対策
 (3)殺虫剤による健康被害(化学物質過敏症や急性中毒等)対策
 
 ○環境健康被害対策

 ○生物多様性の保全と持続可能な利用
 (1)生物多様性基本法の制定
 (2)クマ被害対策
 (3)外来生物対策(移入種対策)
 (4)動物愛護
 (5)自然環境保護
 (6)里地・里山の保全
 (7)森林保全と持続可能な森林経営
 (8)海洋保全


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はじめに ~地球は生命の共有財産~

 地球温暖化をはじめとして、オゾン層の破壊、砂漠化、酸性雨、生物多様性の減少など、地球規模の環境問題が発生し、年々その規模を拡大しています。また、森林伐採や大規模公共事業、地域での開発行為による自然破壊や人口の都市部への集中等による環境問題も後を絶ちません。人間の活動が自然の復元力を超え、環境の悪化とそれに伴う脅威は増大し続けています。
 私たちは、今こそ、地球資源の有限性を強く認識し、人類をはじめとする生命体の共有財産であり子孫からの預かりものである自然環境や生態系を、共同で守る方向に進まなければならないと考えます。そのためには、現在の価値観を転換し、科学技術、生産体系、経済・社会制度、教育制度などありとあらゆる社会システムや生活習慣を環境に調和したものへと変革し、人間生活の存立基盤である地球の環境・生態系に対する影響を最小限に抑えながら豊かな生活を営む文明・社会(=持続可能な社会)を構築することが急務となっています。
 そして、環境問題を解決するために、わが国の責務は非常に大きいものであると考えます。わが国は、速やかに現在の大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会から持続可能な社会への転換をめざして行動しなければなりません。それには、政治がリーダーシップを発揮することが不可欠であると考えます。民主党は、日本がそして世界が、持続可能な社会を構築するために政治として何ができるかを真剣に考え、具体策を提示し、積極的に行動します。

2008年12月 


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民主党環境政策大綱「民主党環境ビジョン」(概要)

はじめに ~地球は生命の共有財産~
・地球レベルで環境が悪化し、それに伴う脅威が増大
・環境問題を解決するために、日本が果たすべき役割は大きい
・政治がリーダーシップを発揮し、環境と調和した持続可能な社会をめざす

1.持続可能な社会をめざして
①持続可能な社会の条件=「環境面」と「社会面」での持続可能性

「環境面」での持続可能性
(1) 地下資源による環境汚染を防止するため、地殻から掘り出した物質の濃度が十分に低いレベルで安定していること
(2) 人工的に生産された物質を環境中に蓄積させないため、人工的に製造した物質の濃度が自然界で十分に低いこと
(3) 自然の復元力・物質循環システムを傷つけないため、自然の循環と多様性を支える物理的基盤が守られていること
(4) 効率的な資源利用と公正な資源配分が行われていること

「社会面」での持続可能性
(1) 雇用が安定的・持続的に確保されること
(2) 福祉面でのセーフティーネットが十分に整備されていること
(3) 民主的な意思決定過程が十分に機能していること


②環境と経済の統合
・環境問題への対応を、「環境革命」として肯定的に捉え、環境技術・省エネ技術等の開発・普及により安定的な雇用を確保
・「経済」の質を環境の視点から見直し、経済と環境の統合を図る

③ライフスタイルの転換と意識改革
・持続可能な社会を目指すためには、市民の意識の改革が必要
・市民意識の改革を図るためにも、環境教育の充実が重要
・持続可能な社会に向けて~基本的な考え方を変える

④目標となる「持続可能な社会」を想定して政策を組み立てる
・環境健康被害を回避し暮らしの安全・安心を確保する(未然防止の徹底と被害への早期対応が必須)
・環境と経済を統合した社会の実現を図る
・未来への責任を果たす
・生態系を損なわない(生態系の維持が人類生存の基礎的条件)
・国際的な取組の中で日本の環境問題を考える
・民主的な意思決定過程、市民参加を重視する

⑤持続可能な社会をめざして
・今の生活を続ければ、環境破壊によって人類の生存は困難に
・持続可能な社会への扉を開くことが日本とりわけ日本の政治の責任


2.環境政策の具体的な提案
①環境権
・人間の生存に不可欠な良好な環境を享受する権利の確立を進めます
・将来の世代へと良好な自然環境を引き継ぐ義務について検討します

②持続可能な社会への基礎的条件の整備
・市民参加法(仮称)を検討します
・環境情報公開法を制定します
・経済的措置の導入を進めます
・地域主導の環境政策を促進します
・環境重視の法体系を確立し、あらゆる施策に環境の視点を組込みます。

③調査・研究、環境保全制度の充実
・環境問題に関する研究・技術開発を促進します
・環境影響評価法を改正します
・戦略的環境アセスメント制度を導入します
・国の公共事業を限定し、民主的なコントロールを徹底します(=公共事業コントロール法)
・ダムに頼らない治水を実現します(=みどりのダム)

④価値観・ライフスタイルの転換に向けて~環境教育の推進
・環境教育を推進します

⑤地球温暖化・エネルギー対策
・地球温暖化対策基本法を制定します
・温室効果ガス排出量の中長期的な削減を徹底します
・国内排出量取引市場を創設します
・地球温暖化対策税を創設します
・CO2の「見える化」を推進します
・主導的な環境外交を展開します
・再生可能エネルギー導入を強力に推進します
・都市緑化法(仮称)を制定します

⑥地球環境問題への対応
・フロン回収率の向上と脱フロン化を促進します
・世界の森林面積がこれ以上減少しないよう支援します
・国内での木材使用量を削減します
・日本のODA・開発途上国支援を抜本的に改革します
・ODA環境配慮ガイドラインの世界標準化を提唱します
・ODA基本法の制定をめざします

⑦循環型社会の構築
・資源循環・廃棄物管理法を制定します
・個別リサイクル法を改正します
・容器包装リサイクル法を改正します(リターナブル容器の推進)
・製造事業者によるリサイクル支援のための税制を創設します
・環境負荷の少ない持続可能なまちづくりを義務づけます

⑧土壌汚染対策
・土壌汚染対策法を改正します

⑨水循環の確保
・安全な水が供給されるよう、国際的な支援を充実させます
・水法について検討を進めます

⑩化学物質対策
・化学物質法を制定します
・化学物質過敏症・シックハウス対策を充実します

⑪環境健康被害対策
・環境健康被害者等救済基本法を制定します
・水俣病に係る被害の救済に関する特別措置法(仮称)を制定します
・石綿対策基本法(仮称)を制定します
・石綿健康被害救済法を改正します

⑫生物多様性の保全と持続可能な利用
・「ヒトと野生生物の共生」をめざします
・湿地保全法を制定します
・クマ問題の抜本的解決をめざします
・外来生物(移入種)により破壊された生態系の回復をめざします
・犬猫の殺処分数の削減をめざします
・自然公園における公的な土地を増やします
・里地・里山の保全を行います
・循環型の農業を支援し、自然と調和した農業とします
・森林整備への支援を拡大します
・自然海岸保全法を制定します



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民主党環境政策大綱「民主党環境ビジョン」

1.持続可能な社会をめざして
【持続可能な社会の条件】
 私たちのめざす「持続可能な社会」は、次の条件が充たされている社会であると考えます。持続可能な社会においては、環境面での持続可能性ばかりが強調されがちですが、社会的な安定性(=雇用、福祉、民主的意思決定)が確保されてこそ、社会の持続可能性が確保されるということに留意しなければなりません。

1.「環境面」での持続可能性
①地下資源による環境汚染を防止するため、地殻から掘り出した物質の濃度が十分に低いレベルで安定していること
②人工的に生産された物質を環境中に蓄積させないため、人工的に製造した物質の濃度が自然界で十分に低いこと
③自然の復元力・物質循環システムを傷つけないため、自然の循環と多様性を支える物理的基盤が守られていること
④効率的な資源利用と公正な資源配分が行われていること

2.「社会面」での持続可能性
①雇用が安定的・持続的に確保されること
②福祉面でのセーフティーネットが十分に整備されていること
③民主的な意思決定過程が十分に機能していること

 これらの条件を完全に充たしている社会は、今のところ実現されていません。そして、現在の地球環境の状況を考えるとき、日本は世界の先頭に立って、これらの条件を達成し、環境と雇用を両立させた「持続可能な社会」をめざして、現在の社会のあり方を変革するべきです。また、日本は、そのことが可能な社会的基盤を十分に有していると考えます。

【環境と経済の統合】
 これまでも、環境と経済は両立しないという意見がありました。確かに、環境対策が企業のコスト増となり、国際競争力を失わせるなど、経済に影響を与えるという面があることも否定できません。しかし、日本は二度のオイルショックを経験し、世界最先端の環境技術・省エネ技術により環境負荷を低減しつつ経済の発展を図ってきました。たとえば、自動車の排ガス規制を世界にさきがけて実施したことが、日本の自動車産業の発展をもたらしたことは記憶に新しいところです。そして、現在の環境問題への対応を、農業革命・産業革命・情報革命に続く第4の革命=「環境革命」として肯定的に捉え、さらなる環境技術、省エネ技術、省資源・リサイクル技術等の開発・普及によって安定的な雇用を確保し、経済的発展を図るべきであると考えます。
たとえば、デンマークでは環境税や再生可能エネルギーの推進などの環境政策を導入する中で、二酸化炭素の排出量削減目標を達成しつつ経済成長も続けています。環境税などの経済的手法と規制を有効に組み合わせて環境負荷を抑制し、一方で税収を、ドイツのように社会保険料に充当して企業の雇用拡大を促すとともに、環境負荷の少ない技術や商品の開発と普及に用いることによって、経済に与える影響を最小限に抑えつつ、環境負荷を低減し安定的な雇用を確保していくことが可能となると考えます。
従来の「経済」や「成長」の質を環境の視点から見直し、環境と経済を統合することによって、新たな社会システムの構築と安定的な雇用を確保する方向へと大きく舵を切るべき時期に来ています。

【ライフスタイルの転換と意識改革】
 これまでの日本は、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会でした。それを可能にしたのは、海外からの天然資源の無制限な利用ができたからです。また、市民の生活も、量的な消費生活に傾いた生活スタイルを幸福で豊かな望ましいものであると考えてきました。しかし日本が、環境負荷の少ない持続可能な社会を形成し、環境立国として生きていくためには、資源の消費を抑え、廃棄物を可能な限り資源として活用する資源循環型の社会をつくりあげていかねばなりません。そのためには、大量の廃棄物をそのまま循環する大量循環型社会ではなく、廃棄物の発生をできる限り抑えながらリサイクルを推進する省資源型の循環型社会をめざすべきであると考えます。
 そして、日本が持続可能な社会をめざし、環境立国となるためには、それを担う市民の意識の向上が大切になります。EUの環境先進性を支えているのは、ゆとりと各人の価値観を大切にした生活スタイルを維持していこうとする市民の意識にあります。そのような生活スタイルにとって、美しい自然、きれいな水や空気、汚染されていない土壌、安心な食物、ゆとりと個性ある小さな町や村はかけがえのない価値があるものとなっています。アルプスが美しいのも、パリが個性的で、ドイツのフライブルクが環境首都として有名なのも、そこに住んでいる市民の高い意識が根底にあります。また、このような市民意識に基づいて、まちづくりや合意形成に主体的に参加すること、自主的に環境保全活動に参加することが、持続可能な社会への近道であると考えます。そして、市民意識の改革を図るためにも、体験や合意形成過程を重視した環境教育の充実が非常に重要になると考えます。

【持続可能な社会に向けて~基本的な考え方を変える】
20世紀は、環境より経済成長を重視し、生態系保全より人間の便利な暮らしを求め、未来の世代より自分たちの現在の世代を優先してきました。しかし、このような価値観では持続可能な社会を構築することはできません。「持続可能な社会」の実現のためには、基本的な考え方を転換する必要があります。したがって、①人と自然との共生(生態系保全、環境汚染要素の低減・排除)、②人と人との共生(開発途上国と先進国との間の公平)、③現在世代と将来世代との共生(資源利用の最大効率化・循環化による世代間の公平性の確保)を強く意識しながら、以下のような考え方を重視して政策を組み立てるべきであると考えます。

①目標となる「持続可能な社会」を想定して政策を組み立てる
環境政策については、これまでのように事後的な対応を行うのではなく、長期的な視点に立って社会のあり方(目標)と計画を定め、その目標を達成するための障害を取り除くために、規制や経済的手法などを組み合わせて効率的に行われるようにすべきです。対応を先延ばしすることや目標を定めないまま場当たり的に対応してしまえば、対策にかかる社会的費用は増大します。将来世代にツケを残さないような対応を行うべきです。

②環境健康被害を回避し暮らしの安全・安心を確保する(未然防止の徹底と被害への早期対応が必須)
 これまでの日本は、人の健康や生活の安全性に関係する価値判断の基準を、科学的知見によってリスクが明白になってからの防止に求めてきました。そのため、公害対策や化学物質汚染対策などが後手に回り、多大な被害が生じることもありました。したがって、リスクが不確実な段階から発動できる「予防原則」に基づき規制を行うなど、環境汚染による健康被害(環境健康被害)の発生の未然防止を徹底すべきです。そして、万が一、環境健康被害が起きてしまった場合には、特に迅速な対応が求められることから、環境健康被害について回復・軽減等の措置を講ずることができる体制をあらかじめ構築しておく必要があります。

③環境と経済を統合した社会の実現を図る
日本は、これまでも環境効率のよい技術や商品を生みだすことにより、環境負荷を低減しつつ経済成長を続けることができました。また、前述のデンマークの成功例もありますし、企業でも売り上げを伸ばしながら温室効果ガス排出量を減少させているところもあります。経済的手法と規制を有効に組み合わせることにより、環境負荷の少ない技術や商品の方が経済的に有利とすることで、環境負荷の少ない技術や商品が開発され、それらを普及させることにより雇用の確保を図るべきです。

④未来への責任を果たす
現在の大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会は、環境への負荷を考えないまま天然資源を無制限に使用した結果、環境の復元力を超え、環境破壊が進んでしまいました。今の私たちの決断が、その後の数十年の環境問題を決めてしまうことになるのです。私たちは、将来世代に対する責任を果たすことを考えて、とるべき施策を決定しなければなりません。そのためにも、私たちのライフスタイルそのものを厳しく見直し、意識変革を図らなければなりません。

⑤生態系を損なわない(生態系の保全が人類生存の基礎的条件)
これまでの環境への取組みは、人の健康、生活環境を中心としたもので、それを囲んでいる生態系に対する配慮がほとんどなされてきませんでした。生態系の保全が人の健康や生活環境を維持していくための基本的な条件であることを十分に認識して、生態系の保全にこれまで以上に取り組むべきです。
2008年の169通常国会において、民主党が主導して、超党派の議員立法による「生物多様性基本法」を成立させました。今後は、この基本法に基づき、総合的な生物多様性の保全等に向けて取り組んでいきます。

⑥国際的な取組の中で日本の環境問題を考える
環境問題は日本だけで解決できる問題でないことは、地球温暖化、酸性雨等の問題で明らかです。このような状況の中で、日本は、いち早く環境負荷の少ない持続可能な社会を実現し、それを可能にする社会システムや環境技術の移転、地球温暖化対策などの国際的枠組みに多くの国の参加を促すことなどを通じて、国際的に名誉ある地位を占めるべきです。その際には、特にEUとの協調を重視し、環境規制・基準などの制度を共通化することも必要であると考えます。また、日本はアジアの一員として、それぞれの国の経済状況を考慮し、貧困の撲滅や経済の発展と環境の保全が両立しうる形で、アジア地域の環境共同体形成をめざすべきです。さらに、資源循環型社会をめざすに当たっては、特に近隣諸国との関係にも視野を広げることが不可欠です。

⑦民主的な意思決定過程、市民参加を重視する
 持続可能な社会を実現するためには、市民一人ひとりが循環と共生の視点に立って、未来への責任を果たすために主体的に行動しなければなりません。そのための機会を保障する必要があります。日本における現在の市民参加プロセスは、形式的には保障されていることも多いのですが、実質的な意思決定に十分結びついているとはいえない状況にあります。市民の主体的な行動が自治体や国のあり方を変えることができるよう、民主的な意思決定過程と市民参加の機会の保障がこれまで以上に重要視されなければなりません。

【持続可能な社会をめざして】
 私たち民主党は、今こそ政治がリーダーシップを発揮して、持続可能な社会の姿とめざすべき方向性を明示し、そのために求められる政策と価値判断を明確にしなければならないと考えます。持続可能な社会への道のりは決してやさしいものではありません。しかし、このままの社会・生活スタイルを続ければ、近い将来、地球上の環境破壊によって人類の生存は非常に難しくなることが明白です。しかも、今すぐに決断しなければ、将来世代の負担はさらに重くなります。日本には一刻も早く決断し、世界の先頭に立って人類の未来への扉を開くことが求められているのです。それが世界に対する日本の責務であり、未来の子どもたちに対する責務でもあります。


2.環境政策の具体的な提案
【良好な環境を享受する権利と環境保全義務】
国の最高法規である日本国憲法には、環境に関する記述がありません。しかし、人間は自然からの恵みを受けることなく生存を続けることはできません。憲法を頂点とする環境法体系の確立を検討します。

①良好な環境を享受する権利の確立
高度経済成長下では、環境保全よりも経済成長・生活の利便性が優先された結果、各地で公害などの環境破壊が発生し、生活環境や自然環境が悪化することもありました。しかし、良好な環境を享受することは、生命体としての人間にとって必要不可欠です。人間の生存に不可欠な良好な環境を享受する権利の確立を進めます。

●人間の生存に不可欠な良好な環境を享受する権利の確立を進めます

②環境保全義務の検討
日本の自然環境は、大規模な開発等により破壊され続けています。自然環境を今以上に破壊すれば、人間の生存の基盤自体が脅かされることになります。自然環境と生物多様性を将来の世代に引き継いでいくためにも、将来の世代へと良好な自然環境を引き継ぐ義務について検討します。

●将来の世代へと良好な自然環境を引き継ぐ義務について検討します

【持続可能な社会への基礎的条件の整備】
 現在の社会は、技術革新と経済発展により豊かな物質社会と生活水準の向上をもたらしました。しかし、その一方で、経済成長や物質的な豊かさを重視したことにより、天然資源を大量に消費し化学物質を大量に排出した結果、環境の浄化能力や復元力をはるかに超え環境と生態系が破壊されています。人間を含む全ての生命体の生存基盤である地球を未来へと引き継いでいくことは、私たちの重大な責務です。私たちは、成長の限界と地球の有限性を認識し、環境効率性を重視し、環境容量内で豊かな生活を営むことができる社会制度をつくっていかなければなりません。個々の環境問題を解決するための政策だけではなく、それらの政策を支えるために、以下のような基礎的な条件を整備することが必要であると考えます。

①環境倫理(新たな価値観)の確立
持続可能な社会を構築するためには、一人ひとりの意識やライフスタイルを変え、環境負荷の少ない生活とは何かを真剣に考える必要があります。これからは、市民一人ひとりが循環と共生の視点に立って自ら主体的に行動できるようにならなければなりません。そのためには、環境倫理の確立や環境教育の充実が不可欠です。環境教育の推進(後述)や環境倫理確立のための研究体制の支援などを積極的に行います。

②市民参加の保障
環境問題を解決し持続可能な社会をつくるためには、市民やNGOが積極的に政策づくりや具体的行動に参加できるような社会システムを構築する必要があります。まちづくりや地域の環境保全活動への市民参加を実質的に保障することにより、一人ひとりの地域を守り環境を守る意識の向上にもつながります。環境政策をつくる際にも、できるだけ市民参加を取り入れることが望ましいと考えます。開発や公共事業、まちづくり、環境アセスメントなどの制度の中に、市民参加と合意プロセスの重視を一層盛り込んだ制度改正を検討するとともに、市民参加に関する基本的な法律についても検討します。

●市民参加法(仮称)を検討します
・市民参加と合意形成に関する基本原則の確立
・環境政策等への市民・NGOの参加の保障

③情報公開の徹底
お互いの持つ情報が対等で、情報ができる限り外に開かれていなければ、市民参加のプロセスを設けてもそれは単なる市民の意見を聞いたという儀式になってしまいます。また、環境に関する情報は、行政や企業に集中的に存在し、市民は自由に情報を引き出すことができません。一人ひとりの環境に対する問題意識を高め、環境負荷の少ない商品や企業を選択してもらうためにも、環境に関する情報は、広く市民に公開されていなければなりません。したがって、国や地方自治体に関する情報だけではなく、企業等の持つ情報についても、企業秘密に十分な配慮をしつつ、広く公開してもらわなければなりません。また民主党は、科学的知見の集積や情報収集を積極的に行い、市民に広く公開するような法制度(=環境情報公開法)を検討していきます。

●環境情報公開法を制定します
・環境に関する一定の情報の公開・表示義務
・環境に関する一定の情報の報告義務
・国・地方自治体による環境情報の収集・開示

④公正な市場の構築
市場メカニズムでは、効率的な資源配分が確保され、価格競争や技術革新による活力ある経済発展が可能となる一方で、環境に対する配慮が十分になされないまま資源が利用され環境負荷を増大させるなどの外部不経済の問題が発生します。限りある地球資源を未来へ引き継ぐためには、環境を利用し負荷をかけるコストを市場メカニズムに組み込まなければなりません。環境コストを組み込んだ公正な市場を構築し、市場のメリットを十分に活用しながら、環境負荷を低減させていきます。このことにより、環境技術の発展を促し、雇用の安定を確保することで、環境と経済の統合を図ります。

●経済的措置の導入を進めます
・地球温暖化対策税(環境税)の導入
・フロン税の導入
・焼却税・埋立税の導入
・容器包装リサイクルへの経済的措置の導入 など

⑤政府の役割の見直し
現在の縦割り・中央集権的な政府の役割を見直し、環境問題の対応が後手に回ることのないよう、また、地域での環境問題への取組みが阻害されることのないようにしなければなりません。そのためには、政府の現在行っている政策・権限について、環境の視点から再評価を行い、省庁間の権限・中央と地方の権限のあり方を見直していきます。

●地域主導の環境政策を促進します
・地域性を重視した環境政策の確立
・ローカルアジェンダの普及、促進

⑥政策への「環境」の組込みと環境を優先する法体系・指標の構築
環境基本法をはじめとする各種の環境法が制定された現在においても、環境破壊が後を絶ちません。これは、事業や開発などを行う法律の中に、「環境」の視点がほとんど組み込まれていないからです。政策・法律に対して、環境の優先性や「環境の保全」・「生態系の保全」などの環境の視点を組み込み、環境重視の法体系へと変えていきます。また、経済成長の指標「GDP」に変わる、環境成長の指標「グリーンGDP」を確立し、社会の成長の指標として定着させていきます。

●環境重視の法体系を確立し、あらゆる施策に環境の視点を組み込みます

【調査・研究、環境保全制度の充実】
①調査・研究の充実と適正な科学技術の振興
環境の現状を客観的かつ科学的に正確に把握することは、環境保全を進める上で極めて重要です。特に、地球温暖化や地球レベルでの化学物質循環、生態系等については、科学的に未解明の部分も多く、環境に関する科学的知見をさらに充実させなければなりません。そして、収集されたデータや知見は、情報として広く提供されるべきです。環境問題に関する科学的知見の集積を今まで以上に積極的に行わなければなりません。そのための情報収集や国際協力などの予算を大幅に増額します。また、現在の環境をさらに良好なものに改善するために、科学技術を用いることも有効な手段であり、環境負荷の少ない科学技術を普及させるためにも、経済的措置等の導入による誘導策や財政支援策を積極的に行います。

●環境問題に関する研究・技術開発を促進します

②環境影響評価制度の拡充
現行の「環境影響評価法」(環境アセスメント法)では、どのような項目についてどのような方法でアセスを行うのかという計画を示した「方法書」と、アセス実施の結果の原案を示した「準備書」について、市民は意見書の提出により意見を述べることができます。また「準備書」については説明会を開催することになっており、この説明会への参加が市民に保障されています。しかし、環境アセスメント法で定められた市民参加の機会は大変少なく、自治体ではそれを補填すべく条例で市民参加の機会を定めています。また、アセスの実施と評価については、事業者自らが行う制度となっており、評価の客観性に疑問があります。
 民主党は、環境アセスメント法の改正により市民参加の機会を拡充します。また、自治体による市民(住民)参加機会の拡充を支援します。
 また、現行の環境アセスメント法は、主に事業アセスについて定めたものとなっており、個別の対象事業の実施にあたり環境アセスメントを義務づけたものです。しかし、あらゆる事業計画自体の見直しや代替案の検討、累積的な環境影響への配慮をより適正に行うためには、政策立案・計画初期段階から環境に対する影響を評価する「戦略的環境アセスメント(SEA)」の導入が不可欠です。全ての事業の計画段階でのアセスメント導入により、市民参加・市民合意がより早期の段階でなされることから、環境と開発の調和を図ることが可能となります。そこで、全事業に対する国レベルでの戦略的環境アセスメント制度の導入をめざします。

●環境影響評価法を改正します
・対象事業の拡大、追加
・市民参加の拡充、合意形成手続きの重視
・第三者機関による評価の実施
●戦略的環境アセスメント制度を導入します
・あらゆる事業における政策立案・計画初期段階での環境影響評価の実施

③環境調和型公共事業
公共事業についても、環境アセスメント法の成立により、ある程度の環境配慮がなされることとなったものの、未だに公共事業による自然破壊が進んでいます。また、従来行われた公共事業についても、環境への影響を検討し、環境復元措置等の対策を施さなければなりません。民主党では公共事業について国の事業を限定するとともに、ダムについては2年間その建設を凍結し、抜本的に見直しを行うべきであると主張してきました。また、ダムに頼らずに森林の保水力などによって治水を行うようにするための、緑のダム構想を発表しています。また、諫早湾干拓事業や吉野川河口堰改築事業など環境負荷の大きい公共事業については、再評価により見直しや中止を徹底させます。
一方で、河川の再自然化や湿地の復元、ビオトープネットワークの整備など、環境再生のための公共事業を地域のNGOなどと協力しながら積極的に行い、循環と共生のための社会資本整備を推進します。

●国の公共事業を限定し、民主的なコントロールを徹底します(=公共事業コントロール法)
・国が行うべき公共事業を法律上限定
・国の公共事業計画についての国会承認
・時のアセス・事後評価システムの整備
●ダムに頼らない治水を実現します(=みどりのダム)
・ダム事業を2年間凍結し、再評価
・ダムに頼らない治水の支援(森林の保水力向上)

【価値観・ライフスタイルの転換に向けて~環境教育の推進】
持続可能な社会を構築するためには、ライフスタイルの変革や意識改革が不可欠であり、家庭をはじめ、学校、地域、職場などあらゆる場と機会を通しての環境教育の推進が重要です。民主党は、学校における環境教育、環境教育へのNGOの参加、教員に対する研修制度などを柱とする「環境教育振興法案」を2003年の156通常国会に提出しました。この民主党案に促され、超党派による「環境教育推進法」が成立しましたが、環境教育の推進という観点からは十分とはいえないことから、今後も環境教育のあり方について、国民的な議論を喚起し、幅広い検討を進めていきます。
また、民主党は、エコツーリズム(自然や農業に親しむ観光)などを推進するためには、自然保全体制を整備するとともに、環境教育が必要であると考えています。自然保全意識の涵養を図り、自然環境の重要性、希少性、経済性を学ぶことで、自然環境が損なわれないよう、国民をはじめとする各主体の意識の向上のための取組みを進めます。

●環境教育を推進します
・国・自治体・学校・地域が一体となった環境教育の推進体制の構築
・国・地方自治体による環境教育プログラムの整備
・学校・地域における環境教育の推進
・環境教育へのNGOの参加
・教員研修の計画的実施

【地球温暖化・エネルギー対策】
①民主党「脱地球温暖化戦略」の推進
2007年に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書によると、二酸化炭素(CO2)濃度の上昇速度は最近10年で4.8倍に加速し、世界の平均気温の上昇速度は最近50年で2倍に加速するなど、地球温暖化は加速度的に進行しています。地球温暖化の影響により、21世紀末までに地球の平均気温が最大6.4℃上昇、平均海面水位が最大59cm上昇すると予測されています。
日本においても、平均気温の上昇によってコメの高温障害や害虫被害などによる農林漁業へのダメージが増加し、海面の上昇によって特にわが国の経済活動の中心ともいえる東京湾、大阪湾、伊勢湾地域などにおいて高潮による大規模災害の発生が予測されています。その他にも、地球温暖化によって感染症の蔓延、熱中症等の健康被害の増加、生態系の破壊などが引き起こされるともいわれています。
民主党は、環境への負荷をかけない「持続可能な社会」をつくるため、これまでも、地球温暖化問題に積極的に取り組んできました。京都議定書で定められた削減目標(CO2等の温室効果ガス排出量を1990年比で6%削減)は、温暖化対策の第一歩にすぎません。地球温暖化を防止するためにはさらに大幅なCO2の排出削減が必要となることから、国内外における温室効果ガスの削減に向けた取組みが必要です。
現在、政府が掲げている世界中で2050年までに50%削減するという長期目標だけでなく、日本国内においても、中長期の目標設定が必要です。民主党は、2008年の169通常国会で、温室効果ガス6%削減目標の達成に加えて、中期的には2020年までに1990年比25%、長期的には2050年までに60%の温室効果ガス排出量の削減を目標とする「地球温暖化対策基本法案」を提出しました。また、2007年5月には「脱地球温暖化戦略~脱温暖化で、地球と人との共生を~」をとりまとめており、その実現に全力を尽くします。具体的には、①中・長期目標の設定、②京都議定書目標達成のための国内排出量取引市場の創設、③再生可能エネルギー導入の強力な推進、④地球温暖化対策税の導入、⑤省エネルギーの徹底、⑥森林吸収源対策の推進、⑦環境技術開発、⑧環境外交の促進、⑨脱フロンのさらなる推進、⑩CO2の「見える化」の推進、⑪都市過熱化防止などの措置を講じることにより、経済に与える影響をできるだけ回避しながら、地球温暖化対策を強力に推進します。

●地球温暖化対策基本法を制定します
●温室効果ガス排出量の中長期的な削減を徹底します
・中期目標:2020年までに1990年比25%削減
・長期目標:2050年より早い時期に1990年比60%超削減
・ポスト京都議定書への米国や中国・インド等の途上国の参加を呼びかけ

②実効ある国内排出量取引市場の創設
京都議定書が定めた第一約束期間(2008年~2012年)に、1990年を基準年として温室効果ガス6%削減を達成することがわが国の大きな課題となっています。
この課題を達成するためには、温室効果ガスの削減努力が報われるインセンティブのある経済的手法を導入することが不可欠であり、大規模排出源をカバーし、費用効率的な排出削減を促し、技術革新のインセンティブを与える抜本的な制度が求められています。
民主党は、総合的な効果が上がるよう制度設計を行い、キャップ&トレード方式による国内排出量取引市場の創設を図ります。

●国内排出量取引市場を創設します
・キャップ&トレード方式による国内排出量取引市場を早期(2010年まで)に創設
・上流・下流の別やキャップ設定などの詳細設計については引き続き検討
・EU-ETS(EU域内排出量取引制度)など海外の市場とのリンクについては、国際炭素市場を視野に入れながら強力に推進

③地球温暖化対策税の創設
経済活動の地球環境に与える影響(外部費用)を適正な市場経済における価格決定システムに組み入れる必要があります。特に、京都議定書の削減目標の達成が極めて困難な状況となっている地球温暖化対策では、いわゆる経済的措置の導入は喫緊の課題です。民主党は、国内排出量取引市場の創設とともに、化石燃料の使用抑制・効率化と、省エネルギー・新エネルギーの技術開発や環境関連投資促進に資する地球温暖化対策税の創設を提唱しています。
税収は、省エネルギー・新エネルギーの技術開発、設備投資、普及等に優先的に配分します。これにより、環境立国として、環境と雇用を両立させた持続可能な社会を構築します。

●地球温暖化対策税を創設します
・排出企業・業界の削減状況に応じて、地球温暖化対策税の減免措置を講ずる
・税収の使途については、省エネルギー・新エネルギーの技術開発、設備投資、普及等に優先的に配分し、地球温暖化対策に活用する
・自動車関連税制については、暫定税率の廃止を含めた見直しを実施

④CO2の「見える化」の推進
民主党は、地球温暖化対策への配慮ある消費行動を促すため、2008年6月に成立した改正地球温暖化対策推進法の国会審議において、エネルギーの販売事業者がエネルギーを供給するに当たって、そのエネルギー消費に伴うCO2排出量を消費者へ通知するよう義務を課す制度を導入する修正を主導しました。今後は、電気代やガス代等の請求書や領収証にCO2排出量が記載され、CO2の「見える化」(カーボン・ディスクロージャー)が一層図られることとなります。
また、エネルギー以外の商品の供給・販売に際しても、同様にCO2排出に関する情報を通知する制度の導入を推進します。
さらに、資本市場における適切な価格形成と資金配分のもとに企業・経済主体の地球温暖化対策を促進し、地球温暖化対策の観点から健全な経済の発展を促すために、有価証券報告書の企業内容等の開示事項に温室効果ガス排出量及び地球温暖化に関わるリスクと対策を追加する政策を推進していきます。

●CO2の「見える化」を推進します
・消費者の視点から、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)を発展させて最終生産品が寄与する排出量を表示
・運転者の視点から、デジタルタコメーターや燃費計の普及
・投資家の視点から、環境報告書における温室効果ガス排出量実績や削減目標についての共通指標の導入に加え、温室効果ガス排出量等の有価証券報告書への記載のあり方についても検討

⑤主導的な環境外交の展開
2009年にデンマークのコペンハーゲンで開催予定のCOP15では、ポスト京都議定書に向けた新たな枠組の構築が主要な議題となります。わが国は、エネルギー効率化の視点を踏まえ、米国及び中国、インド等の途上国の参加を促すべく、エネルギー効率化のための技術移転を促進します。また、ODA(政府開発援助)の環境分野への集中特化など環境外交を展開し、主導的役割を果たします。同時に、酸性雨や黄砂など国境を越えた環境被害に対しても、日本の環境安全保障の観点から環境外交を強力に展開します。

●主導的な環境外交を展開します
・ポスト京都議定書へのリーダーシップの発揮
・中国・インドをはじめとする温室効果ガス大量排出国や途上国との対話・協力の促進
・ODAの環境分野へのさらなる集中特化
・地球温暖化対策に貢献する技術の移転をさらに促進する国際的ルールの提唱

⑥エネルギー安定供給体制の確立
私たちの現在の「豊かな」生活は、エネルギーの大量消費に支えられているといっても過言ではありません。しかし、現在のような化石燃料に依存するエネルギーの大量消費型文明が永久に維持できるものではありません。したがって、持続可能な社会を構築するためには、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入を今まで以上に促進しなければなりません。
とりわけ、エネルギーを安定的に確保する「エネルギー安全保障」の確立は、国家としての責務です。長期的な国家戦略を確立・推進する機関を設置し、そのための施策を一元的に進めます。
地球環境との調和を図り、環境対策技術の開発を推進します。省エネルギー技術をさらに発展させるとともに、天然ガス、石油、石炭、原子力に加え、風力、太陽光、太陽熱、地熱、バイオマス、海洋エネルギーなど再生可能エネルギーや、水素、燃料電池などを中心とした未来型エネルギーの普及開発を図ります。
こうして、エネルギー供給源の多様化を促進することにより、総合的なエネルギーのベストミックス戦略を確立します。特に、風力、太陽光、バイオマスなど再生可能エネルギーについては、一次エネルギー総供給量に占める割合を、EUの導入目標を踏まえて大幅に引き上げ、2020年までに10%程度の水準の確保をめざします。
また現在、日本のエネルギー自給率は原子力も含めて18%に過ぎず、先進国では最低水準にあることから、自給率の目標を2030年に30%、2100年には50%とします。

●再生可能エネルギー導入を強力に推進します
・公的施設への導入促進(予算の優先的配分、グリーン契約法上の評価における重点的位置付け)
・補助率の大幅拡大(太陽光発電導入補助の拡大等)
・商業ベースでの再生可能エネルギー導入促進(固定価格買取り制度の導入を含むRPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)改正の検討開始、関連予算の大幅増額、優遇税制の実施)
・燃料電池、NAS(ナトリウム硫黄)電池、石炭ガス化複合発電、水素自動車などの技術開発及び普及に対する重点的支援

⑦都市の緑の回復
都市は、緑地も少なく夏はヒートアイランド化し、そのために冷房用電力消費が増えるという悪循環を続けています。しかし、都市緑化により夏の気温を下げることができ、屋上緑化や壁面緑化により断熱効果を高めることもできます。例えば東京23区で屋根のおよそ20%を屋上緑化すると、気温が0.3℃程度下がるそうです。また、86%屋上緑化すると1.2℃程度気温が下がり、40万kwの電力が節約できるといわれています。さらに、東京都区部で壁面緑化も屋上緑化も行った場合、11万t以上の二酸化炭素が吸収できると考えられています。また、地域在来の植物による緑化を進めていくことで、都市の生物多様性の回復にもつながります。省エネルギーのための屋上緑化、美しい都市景観、都市に於ける生物多様性回復のために都市緑化法(仮称)の検討を進めます。

●都市緑化法(仮称)を制定します
・一定規模以上の都市に新設される建物の屋上緑化・壁面緑化義務化
・生垣の設置に対する助成
・都市緑化の推進
・一定規模以上の建築物の雨水利用義務化(公共建築物は全て義務)

【地球環境問題への対応】
①オゾン層破壊防止・フロン回収
フロン類は強力な温暖化物質であり、オゾン層破壊や地球温暖化の原因となるなど、その回収破壊・代替物質への転換が重要になります。また、大気中での寿命も長いことから、一旦大気中に放出されると、地球環境に対して長期間大きな影響を与えることになります。
民主党がかねてから主張していたフロンの回収義務化法がようやく2001年に成立しましたが、OA機器などに用いられるダストブロワー(ごみ吹き飛ばしスプレー)や断熱材への使用規制が十分に行われていないなどの問題があります。
民主党は、今後も環境負荷の少ないフロン代替物質への転換、使用規制、フロン税の導入などを強力に進めます。

●フロン回収率の向上と脱フロン化を促進します
・フロン回収率のさらなる向上
・国際的な脱フロン技術開発とフロン代替物質への転換の促進

②砂漠化対策、森林保全
人為的な影響等により世界中で砂漠化が進展し、生産に適さない土地が増大しています。現在、砂漠化の影響を受けやすい乾燥地域の面積は、地球上の全陸地の約41%、世界人口の約3分の1(約20億人)がそこで暮らしています。これは、草地の能力を超えた家畜の放牧、土地の能力を無視した過度の耕作、薪炭材の過剰な採取、不適切な灌漑による農地への塩分の集積などが原因です。その背景には、開発途上国の貧困、人口増加、対外債務の増加、貿易条件の悪化など社会的、経済的要因があり、砂漠化問題の解決を一層困難にしています。その結果、食糧不足などの生活条件の悪化や環境難民の発生による社会的な混乱が各地でおきています。
世界の森林面積は約39.5億ヘクタールで、全陸地面積の約30.2%を占めています。しかしながら、世界の森林は減少を続けており、毎年およそ731万ヘクタールが減少しています(※2000年から2005年までの平均)。特に、南アメリカ、アフリカ、東南アジアなどの熱帯の森林を中心に、減少面積が大きくなっています。
砂漠化防止・森林保全のために、植生の回復等の積極的支援を、その地域の住民の生活も考慮し、重要な国際貢献事業として、NGOと協力しながら進め、自然を守りながら持続可能な生活が可能となるような支援を積極的に行います。また、日本国内の木造住宅の耐用年数や紙のリサイクル率を向上させ、持続可能な木材利用が可能となるよう、建築基準法やリサイクル法等の法制度の改正を行います。

●世界の森林面積がこれ以上減少しないよう支援します
・森林(特に熱帯林)の再生の支援
・砂漠化を防ぐための支援(周辺の植林等)
●国内における木材使用のあり方を見直します
・住宅の耐用年数を向上(100年住宅の普及)
・建築基準法に耐用年数向上の基準を設定
・紙の古紙混入率を法定(資源有効利用促進法)

③環境保全等の国際貢献
地球温暖化やオゾン層の破壊、砂漠化、酸性雨、生物多様性の減少などはもとより、森林、土壌、草地などの再生可能な自然資源の劣化や、急速な都市化や人口増加に伴う環境悪化、工業化に伴う汚染物質の排出や有害廃棄物の問題と健康への影響など、世界での環境問題は先進国、開発途上国を問わず認識され、開発途上国をめぐる環境問題は深刻化、複雑化しています。その解決のため1992年リオ・デ・ジャネイロで開催された「国連環境と開発会議」をきっかけにして、日本のODA(政府開発援助)においても環境ODAの支援が促進されています。しかし、その協力内容が、「持続可能な開発」の実現のための長期的・総合的な視点の欠如や、事業中心で環境分野の政策・人材育成支援型援助が少ない、プロジェクト形成段階での地域住民等の参加・協力が少ないなど、その問題点も多く見られます。また、日本のODAにより開発され、その結果自然環境への影響のみならず生活環境をも脅かす状況となった事例も見受けられます。世界での環境問題の解決に向け、日本のODAを抜本的に見直します。開発中心のODAから環境保全・人材育成型のODAにシフトするとともに、すべてのODAに環境影響に対する配慮を促すため「ODA環境配慮ガイドライン」を作成し、“環境保全型国際協力活動”を促進します。さらに、「ODA環境配慮ガイドライン」を世界統一的なものとするよう、援助国(ドナー)、開発途上国を問わず関係各国に働きかけます。
また、ODAに対して事業の必要性や現地住民との協力、事業の評価など、さまざまな課題があげられています。その原因として、透明性の確保がなされていない、援助の理念と原則などが明確でない、開発途上国や住民のニーズが多様化しており合致していない、事業の評価が徹底されていないなどがあげられています。今後ODAを進め世界の環境問題解決また開発途上国・住民のニーズに合致した援助を行うため、国際協力に関する基本的な法律を策定します。

●日本のODA・開発途上国支援を抜本的に改革します
・環境保全・人材育成を中心としたODA
・世界的に保全すべき自然を保護するための基金創設
●ODA環境配慮ガイドラインの世界標準化を提唱します
・国際協力活動における環境配慮の徹底
・環境配慮に関する世界標準化
●ODA基本法の制定をめざします
・ODAに関する基本理念と原則の明確化
・開発途上国や現地住民のニーズをもとに計画立案
・政策・計画段階からの環境影響評価
・透明性の確保と情報公開の徹底
・NGOや現地住民と協同の事業遂行


【省資源・循環型社会の構築】
①総合的な廃棄物・リサイクル対策
 私たちは、これまで経済優先の社会システムの中で、かつて類を見ない経済的・物質的繁栄を遂げ、その繁栄がもたらす大量生産・大量消費・大量廃棄型のライフスタイルを享受してきました。一方、経済的繁栄の過程で、環境に多大な負荷を与え続けることによる、資源の枯渇、喫緊の課題の地球温暖化、森林破壊、砂漠化など地球規模の由々しき問題を招来しました。
 実際、地球温暖化問題の主因に挙げられる二酸化炭素(CO2)の大気環境中への排出量は森林などの自然吸収量をはるかに超えており、また、世の中に溢れかえるモノは使い捨てにされるや廃棄物と化し、自然界の分解能力の遠く及ばない量をなしています。これらの全てが人間活動の所産であり、自然の摂理を超えた、いわば人為的な「負の遺産」というべきものです。
 このような問題を根本的に解決するには、従来の社会システムから、省資源・物質循環を徹底した、人間活動を環境と調和させる持続可能な社会システムへと、その転換を図る必要があります。
 そこで民主党は、現行の関連法制度を抜本的に見直すとともに、省資源・循環型社会に向けた廃棄物・リサイクル政策の統合など、次の内容の「資源循環・廃棄物管理法」の制定をめざします。

●資源循環・廃棄物管理法を制定します
・廃棄物・リサイクル政策の原則を確立
  環境への影響発生の未然防止を徹底
  熱回収(サーマルリサイクル)要件を確立
・省資源・資源の循環利用を実質的に担保
  製品製造者の製品廃棄物引取対象品目の範囲を拡大
・製品・廃棄物に関する情報公開による施策を透明化
製品の環境負荷及び廃棄物に係る情報を公開
・廃棄物の定義の見直し
・一般廃棄物と産業廃棄物(現行は限定列挙)の区分の見直し
  事業者が排出する廃棄物はすべて事業系廃棄物と整理
・廃棄物をめぐる問題への対応
  廃棄物処理施設の設置許可要件に周辺住民との協定締結を追加
・排出者責任を徹底
  廃棄物の運搬処理委託後の不適正処理に係る排出者の有責性を規定
・リサイクル名目の不適正処理を防止
・国、地方自治体による計画的な省資源化・資源循環の推進
  国は省資源・リサイクル・廃棄物管理に関する基本方針を策定
  市町村は国の基本方針に沿って廃棄物減量計画を策定
・リサイクル率・回収率の引上げが必要な製品を指定
  目標が達成されない場合の措置を規定(強制デポジットなど)
・リサイクル材の規格化による利用の拡大
・罰則の強化等による廃棄物管理の徹底


②個別リサイクル法の見直し
現在、家電リサイクル法をはじめ、容器包装、自動車、食品などについて各リサイクル法が制定されています。個々の製品のリサイクルシステムは、それぞれ製品の特性などに応じて一定の違いは認められるべきですが、(ブラウン管)テレビと(家庭内でも使用する)パソコンとで、リサイクル費用の徴収時期(購入時か廃棄時か)が異なるなど、現行のシステムは場当たり的で必ずしも整合の取れたものとはいえず、消費者の感覚にそぐわないばかりか、困惑さえ与えかねません。
民主党は、これらの問題に対処するため製造事業者(メーカー)に一定のリサイクル責任を課す拡大生産者責任を重視するとともに、行政、事業者及び消費者の三者が一体となってリサイクル費用の負担のあり方を検討し、各リサイクル法での費用徴収時期を統一化するなど、誰にでも分かりやすい制度の構築をめざします。具体的には、家電などでは、個々の製品が購入され、廃棄・リサイクルされるまでの期間には消費者によって時間的ズレ(長短)が生じやすいことや、廃家電が不適正に処理されている実態があることから、それらを踏まえ、全ての製品について可能な限り購入時にリサイクル費用を支払う仕組みを導入することを考えています。
また、食品については、昨年(2007年)改正された同リサイクル法の施行状況を注視しながらも、未だ廃棄処理されている生ゴミ等が相当量ある実態を勘案し、バイオマスの活用など官民一体となった食品リサイクルを推進し、全ての生ゴミがリサイクルされるような生ゴミ・ゼロ社会をめざします。

●家電リサイクル法を見直します
・家電とパソコンのリサイクル費用の徴収時期を統一化
・家電リサイクル法のリサイクル対象品目を拡大(電子レンジ、オーディオ製品などを対象品目に追加)
●食品リサイクルを推進し、生ゴミ・ゼロ社会をめざします
・改正(2007年)食品リサイクル法の施行状況を検証
・バイオマスの利活用を推進
●製造事業者のリサイクルを支援するための税制を創設します
・将来のリサイクル費用に充当するための引当金制度を創設

③容器包装リサイクル法の見直し(デポジット制度の導入)
 環境負荷の少ない持続可能な社会を築くには、事業者・一般消費者などがその実現に向け、その立場に応じた取組みを自主的に行うことが重要ですが、仮にそうした取組みが十分でない場合には、経済的措置を設けて誘導(インセンティブの付与)したり、法的規制措置を設けるなど、何らかの手法を駆使して環境への負荷の低減を図る必要があります。
 ところで容器包装については、ペットボトルなどの環境負荷の高い製品が利便性と廉価性から多用されているのが現状です。しかし、環境負荷の少ない持続可能な社会を築くには、繰り返し使用のできるリターナブル容器の普及拡大が鍵となります。なお、リターナブルビンについては、不法投棄の抑止や回収率の向上を図る上で、酒類などビン容器入り商品の販売時に預託金(デポジット)を商品価格に上乗せし、回収時に預託金を返却する、いわゆるデポジット制度に一定の効果が認められています。
 そこで民主党は、容器包装については、リサイクル(再生利用)の推進を図ると同時に、環境負荷とコストの低減にも資するリユース(再使用)の推進を図る観点から、デポジット制度に裏打ちされたリターナブル容器の普及促進を積極的に推進します。

●容器包装リサイクル法を見直します
・リサイクル(再生利用)の推進と同時にリユース(再使用)を推進
・デポジット制度を導入しリターナブル容器を積極的に普及促進

④廃ハイテク製品含有希少金属の再資源化体制の構築
 「都市鉱山」という言葉がありますが、その呼び名は、特に都市で大量に廃棄されるハイテク製品(携帯電話・パソコンなど)の中には有用な希少金属(レアメタル)が存在しており、その様をあたかも貴重な希少金属を埋蔵する一大鉱山に見立てたことによるものです。その意味で、「資源小国」といわれる我が国は、実は現代のハイテク製品隆盛時代を支えるレアメタルの資源大国ともいえます。そうした眠れるレアメタルは、そのまま死蔵すれば単なる廃棄物に過ぎませんが、再資源化や利活用次第では戦略的資源ともなり得るものです。
 従って、我が国にとっては、そうした貴重なレアメタル資源が廃棄物として安価で海外に流出することをいかに防止し、同時に、そうした廃棄物の中に眠る資源をいかに安全かつ効率的に抽出し、再資源化を図るかは極めて重要なことであるといえます。
 民主党は、そうした認識に立ち、廃ハイテク製品(携帯電話など)の回収率の向上や含有希少金属の安全かつ効率的な抽出技術の開発など、使用済みレアメタルの再資源化に向けた取組みを積極的に推進します。

●使用済みレアメタルの再資源化に向けた取組みを積極的に推進します
・廃ハイテク製品の国内回収システムを構築
・廃ハイテク製品は有用な希少金属を含有する戦略的資源であると位置づけ、不適正な海外流出を防止するための体制を構築
・安全かつ効率的な抽出技術の開発を支援
・低コストかつ環境負荷の少ない再資源化技術の開発を支援


⑤循環と共生のまちづくり
 循環と共生のまちづくりには、「循環と共生」の考えを一人ひとりの市民が理解し、それを活かしながら実践していくことが重要です。また、それは、地域の文化的・歴史的・自然的景観が保全され、その地域の特性に応じた、環境と調和した循環型のまちづくりであることが求められます。
 そのために民主党は、現行の都市計画法や建築基準法を抜本的に見直し、環境負荷の少ない持続可能な社会をめざすための原則を明記し、情報公開と住民(市民)参加を基本とする、地方主権型のまちづくりシステムの構築をめざします。

●循環と共生のまちづくりをめざします
・環境負荷の少ない持続可能なまちづくりを目標に設定
・地域の特性に応じた環境調和型のまちづくりを志向
・文化的・歴史的・自然的景観を保全
・情報公開と住民参加を基本とする地方主権型のまちづくりシステムを構築
・都市計画法及び建築基準法を改正

【不法投棄事案対策】
 廃棄物(特に産業廃棄物)については、国内の随所で大規模な不法投棄事案が発覚するなど、その不適正処理が大きな社会問題となっています。そうした不法投棄事案は、発覚後においても原状の回復が図れぬまま放置され、環境保全の重大な阻害要因となったり、あるいは周辺住民の日々の生活を脅かすものとなっています。
その意味で、そうした問題に対して、どのように取り組み、いかに原状の回復を図っていくかは喫緊の課題といえます。
 民主党は、不法投棄事案について、可能な限り早期に原状回復が得られるよう、それに必要な対策を積極的に推進し、その全面的な解決をめざします。

●廃棄物の不法投棄事案について、必要な対策を積極的に推進し、その全面的な解決をめざします
・不法投棄廃棄物の除去事業を行うための産廃特措法に基づく国庫補助金(「三位一体」改革により廃止)を復活
・今なお多くの不法投棄事案が厳存する状況に照らし、2013年3月末で失効する産廃特措法の適用期限の延長などを検討
・国は都道府県等に対し原状回復(支障の除去等)に関する知見・技術等について積極的に助言あるいは情報を提供したり、都道府県等は国に対し不法投棄事案に対する取組状況等について緊密に連絡を行うなど、国(国の地方機関を含む)と都道府県等との連携協力関係を強化促進
・原状回復(支障の除去等)関連技術の研究開発及び応用実証試験等を積極的に推進


【漂流・漂着ゴミ対策】
 我が国は四囲が海に囲まれています。そのため、沿岸域には様々な漂流物が毎年のように繰り返し打ち寄せられ、それが堆積して漂着ゴミと化し大きな問題になっています。また、そのことによる周辺環境や水産資源への悪影響も深刻な問題といえます。
漂着ゴミの典型は、流木、発泡スチロールフロート、ポリ容器などが主流とされていますが、具体的には、瓶、ペットボトル、食品・飲料容器、洗剤容器などの日用生活品にはじまり、魚網、漁具などの漁業系資材、薬用容器(薬液の入ったものもある)、注射器などの医療系廃棄物から、果ては操作次第で爆発の危険すらある海難救助用信号弾の発見事例まであります。古来、その白砂青松が謳われた我が国の浜辺もこれでは形無しといわざるを得ません。
漂着物の発生源をたどりますと、陸域からのもの、特に災害発生時などに河川で運ばれ海に流出し漂着したと考えられるものも少なからず混在していますが、通常は、外国由来のものや海上航行船舶から落下したと推測されるものが相当量占めるとされています(漂着物に記された文字からもそのことが窺える)。
以上のような状況は、本土の海岸線ばかりではなく、離島などの島嶼部においても同様に見られます。そして、漂流・漂着ゴミ問題は多くの面で、むしろ離島などの方が深刻であるともいえます。
このような漂流・漂着ゴミについての対策は、速やかな回収・処理と排出抑制を並行して行うことが肝要ですが、漂着被害に直面する一自治体の取組みだけでは限界があります。
そこで民主党は、漂流・漂着ゴミ対策として、次のような様々な観点からの取組みを総合的に推進するとともに、地域の実情に応じた実効ある対策を積極的に推進します。

●漂流・漂着ゴミ問題について、様々な観点からの取組みを総合的に推進し、地域の実情に応じた実効ある対策を積極的に推進します
・漂流・漂着ゴミの迅速かつ適正な処理(回収・運搬・処分)の推進に必要な国の財政支援措置を充実(特に離島市町村への支援)
・海岸管理者と市町村の処理責任の所在や分担について現行法を整理(縦割り行政を是正)
・国土交通省所管「災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業」の採択基準(漂着量が基準)を緩和
・災害等廃棄物処理事業費補助金の対象地域を拡充
・漂流・漂着ゴミ削減のための国際協力体制を構築
・国内の陸域や沿岸域における発生源対策を推進

【離島の廃棄物対策の推進】
 廃棄物問題は、本土、離島の別なく、今や両者に共通した深刻かつ重要な問題ですが、特に離島は、離島ならではの特殊性もあり、一層厳しい状況にあるといえます。
具体的には、〈島内に廃棄物処理業者が少ない〉、〈今なお野焼きなど廃棄物の不適正処理が慣習として残存している〉、〈リサイクル製品の販売先がない〉といった廃棄物処理についての島内事情をめぐる問題や、〈廃棄物集積ヤードから港湾までの陸上搬送コストがかかる〉、〈港湾における気象・海象条件に備えた廃棄物仮置ヤードが不足している〉、〈仮置ヤードの不足により、廃棄物が港湾を行き交う人(島民、観光客)の目に触れやすく、仮置時に廃棄物がはみ出したり飛散したりなど、港湾の景観や周辺環境に支障を来たす〉、〈海上搬出コスト問題が生じる〉といった廃棄物の島外搬出をめぐる問題など、いわば離島特有の課題を別途、抱えております。
 民主党は、そうした離島の置かれた状況を踏まえ、島の振興策一辺倒ではない、島の環境の保全とともに観光の振興にも資する対策を積極的に推進します。

●離島の廃棄物対策として、環境保全とともに観光の振興にも役立つ対策を積極的に推進します
・廃棄物集積ヤードから港湾までの陸上搬送コスト及び海上搬出コスト問題について対応策を推進
・港湾における廃棄物仮置ヤードの整備を推進
・漂流・漂着ゴミ対策を推進(【漂流・漂着ゴミ対策】の項参照)
・不適正処理(不法投棄など)の恐れのある島外廃棄物の流入未然防止体制を構築
・斃死(へいし)魚の処理対策を推進

【最終処分場の恒久的監視体制の構築】
 廃棄物最終処分場については、その構造により、①環境に影響を与えない廃棄物だけを埋め立てる「安定型処分場」、②低濃度の有害物質などの廃棄物を埋め立てた後、次第に分解することにより安定化を図る「管理型処分場」、③重金属や有害な化学物質などが基準を超えて含まれる産業廃棄物を埋め立て保管する「遮断型処分場」の三つのタイプがあります。
 処分場は、埋立てが満杯になりますと廃棄物の受入れを終了し、ある期間の経過後、廃止届けを都道府県知事に提出することになっております。最終処分場の廃止に当たっては、処分場に埋め立てられた廃棄物が、その土の中にとどまっている限り外部に影響を与えない状態になるまで安定化している必要があります。
 廃止後には、跡地利用が可能となります。ただし、埋立地内部が完全に安定化しているわけではないので、最終覆土の施工は慎重に行われなければなりません。通常、安定型処分場は、廃止後間もなく、管理型では、10年程度で跡地利用が開始または検討されますが、遮断型処分場は、将来無害化技術が開発されるまでの一時保管場所との位置づけであることから、跡地利用は行われません。
 ところで、特定の最終処分場の設置者は、最終処分場における埋立処分の(受入れ)終了後に必要な維持管理を適正に行うため、埋立処分の終了までの間(受入れ期間中)に、埋立処分の終了後から施設の廃止に至るまでの期間の維持管理に必要な費用(維持管理費用)を、維持管理積立金として積み立てることとされています(廃棄物処理法第8条の5第1項)。
 維持管理積立金の積立が適用される処分場は、安定型及び管理型の産業廃棄物最終処分場であって、基本的には国や地方公共団体以外の者が設置するものとされています(廃棄物処理法施行令第7条第14号ロ及びハ)。
 民主党は、ともすると「負の遺産」として遠ざけられがちな廃棄物処分場について適正かつきめ細かな管理・監視を通じて、少しでも人の健康が脅かされることなく、現在、将来とも安心して暮らすことのできる社会づくりを目指します。

●廃棄物処分場の適正かつきめ細かな管理・監視体制を構築し、人の健康が脅かされることのない、安全・安心な社会づくりをめざします
・安定型処分場について、埋立て可能な安定5品目(廃プラスチック・金属くず・ガラス陶磁器くず・ゴムくず・瓦礫類)以外の混入を防ぐための監視・チェック体制を構築
・維持管理積立金の算出法を見直し(状況の変化に応じた弾力的かつ的確な算出法を確立)、適正な管理が確保されるような積立金を確保
・最終処分場についての恒久的監視体制の構築
・国または国の支援による有害物質無害化技術の研究開発を促進


【土壌汚染対策】
近年、工場跡地などで化学物質による土壌汚染がみつかるケースが続いており、(食の安全・安心を含む)人の健康や生態系への影響が懸念される状況にあります。2003年に土壌汚染対策法が制定されましたが、対象となる土地や物質の範囲が狭いなど、様々な限界が指摘されています。
民主党は、築地市場の移転予定地である豊洲地区の土壌が汚染されているにも関わらず、法施行前に有害物質使用特定施設が廃止されているために規制の適用除外となっている問題に対処するため、2007年の168臨時国会にこの法律の改正案を提出しています。同法の改正によって、法律の対象範囲の拡大や食の安全・安心の確保が可能となります。今後、汚染した土壌の適正処理、生活環境や生態系に対する影響への対処、情報公開等の近隣住民の安心感を得るための措置、基金の設立など、的確で確実な対策を積極的に推進します。

●土壌汚染対策法を改正します

【水循環の確保】
地球上の水のうち、淡水は2.5%、河川や湖沼など生活に利用しやすい淡水は0.8%しかありません。世界で10億人以上が清潔な飲料水を確保できず、2025年には48カ国で水不足が深刻化するといわれています。日本も世界の水危機と無縁ではなく、日本が輸入している農畜産物を国内で生産したとすると、年間約640億トン(琵琶湖の貯水量の約2.5倍)の水が必要であり、それは国内の総水資源使用量の約840億トンに匹敵する量となり、また、ミネラルウォーターを大量に輸入するなど、実際には大量の水を海外からの輸入に頼っています。民主党は、国内の食料自給率を上げ、水不足が深刻な国々の貧困層にも十分な水が供給されるよう上下水道事業に対し積極的に援助します。
一方、日本国内でも、省庁縦割りの水管理によって、自然環境を活かした水循環とはなっていません。循環する水全体、森・川・海を一体としてとらえ、流域全体を視野に入れた健全な水循環の確保が重要です。そのために、現状では細分化され、目的も異なる森林、河川、海岸等に関連する各法律を水循環という観点から、環境指向的な立法(水法)の中に統合します。その際には、住民参加と情報公開により、地域の自然的・文化的・社会的特性に応じて、住民が森林や河川の問題に真剣に取り組むことのできるシステムを法律に組み込みます。
また、河川環境を復元するための「河川環境復元計画」を策定し、コンクリートで固められた河川から自然環境豊かな形に戻す事業を市民事業として導入します。

●安全な水が供給されるよう、国際的な支援を充実させます
●水法について検討を進めます
・森・河川・地下水等について、水循環を一体的に捉える
・自然の保水力や河川の自然環境の重視
・省庁縦割りではない水利用に関する調整
・都市部での浸透ますの普及など地下水涵養の促進
・建築物における雨水利用の促進


【化学物質対策】
①総合的な化学物質対策
 日本国内で流通している化学物質は約5万種類あるといわれ、また、毎年数百種類の化学物質が新たに製造・使用されています。人工の化学物質が環境中に排 出された場合の人体及び生態系への影響が十分に把握されていないことから、被害の未然防止を基本としたリスク対策が必要です。
 民主党はこれまで、さらなる情報公開を求め、政府の「化学物質排出移動登録(PRTR)法案」への対案を提出しました。また、環境基準の設定などを盛り 込んだ「ダイオキシン対策法案」、焼却炉対策を強化した「廃棄物処理法改正案」を提出しました。今後、予防原則を貫いた化学物質の製造から廃棄までの全体を包括的に管理し、製造規制・表示の徹底・使用後の回収など、リスクに応じた化学物質対策を進 めるため、抜本的な法改正を視野に新たに設置した「化学物質対策プロジェクトチーム」を中心に、取り組みを進めます。

●化学物質法を制定します
・化学物質に関する政策の原則を確立
・予防原則の確立
・健康被害の未然防止と生態系への影響の排除
・物質循環(有害化学物質の環境中への蓄積・拡散防止)を確保
・化学物質に関する有害情報の公開・表示
・化学物質に関する科学的知見の充実
・化学物質の危険性に応じた適切な規制
・化学物質の持つ有害性や蓄積性・拡散性の程度に応じて分類
・分類に応じて化学物質に対する規制を実施
・環境リスクの計画的削減
・国による有害化学物質拡散防止計画の策定
・一定規模以上の事業者による有害化学物質拡散防止計画の策定
・新規化学物質の登録手続の充実
・有害性や蓄積性・拡散性の程度に応じた規制を実施
・既存化学物質について、知見の集積を図る
・情報公開・リスクコミュニケーションの促進

②シックハウス対策
 生活の快適さや利便性を追求するあまり、私たちの住環境は人工の化学物質に取り囲まれ、これによる健康被害が発生しています。民主党は、このような建築 物に由来する化学物質被害を防止し、シックハウス被害者がこれ以上増加することを防ぐために、建築物完成後の居室内の有害化学物質濃度測定を義務化し、基 準を超えた場合には改善を求めることができる法案と、大規模な公共建築物における有害化学物質の定期的な測定を義務づける法案「シックハウス対策2法案」 を2001年の153臨時国会に提出しました。
今後も、化学物質による健康リスクを低減させるために予防を徹底し、実態調査を行うなどのより、発症メカニズムの徹底解明など科学的知見を充実させます。被害者には、有効な治療体制の確立、都道府県ごとに長期滞在型養療施設の建設などの対策を進めます。

●化学物質過敏症・シックハウス対策を充実します
・シックハウス症候群及び化学物質過敏症の原因究明、治療療養体制の確立
・実態調査
・メカニズムの徹底調査・有効な治療方法の確立
・診断基準づくり・医療保険の適用
・都道府県毎に長期滞在型の療養所の建築
・相談窓口の設置
・シックハウス症候群・化学物質過敏症対策のための法律整備
・室内における有害化学物質濃度規制基準の設定
・新築・改築時の有害化学物質濃度測定の義務化
・大規模公共建築物における有害化学物質の定期的測定
・シックハウス症候群・化学物質過敏症対策のための施策の充実
・有害化学物質フリー製品の普及促進
・公共建築物・職場における対策の推進
・広報・啓蒙活動の充実
・安心・安全な学校づくり(シックスクール対策)
・実態把握・調査研究
・学校における環境の維持(学校環境衛生基準の改定)
・施設・設備の整備(学校施設設備指針の改定)
・教育関係者への指導の徹底
・関係者の意見の反映

③殺虫剤による健康被害(化学物質過敏症や急性中毒等)対策
 殺虫剤や農薬、殺菌剤、除草剤などの薬剤は、農地だけではなく、住宅地や商店街、公共施設、学校、病院、公園、街路樹など、私たちの生活環境の多くの場面で使われています。もともとこうした薬剤の成分は身体に有毒であり、多くの人々が健康被害にあっています。
 特に、化学物質過敏症の患者は大人だけでも70万人いるといわれ、殺虫剤などの薬剤を知らない間に吸ったり、身体に触れることが生命にも関わるため不安な日々を過ごしています。
 民主党は、殺虫剤などの使い方や、人の健康や生活環境にとっての危険性を明記することを義務づけ、また、住宅地等で大量に撒く場合に守るべきルールを都 道府県知事等が定める、安全な殺虫剤の研究開発をメーカーの努力義務とするなどの「殺虫剤規制2法案」を2006年の164通常国会に提出しました。今後 も引き続き、殺虫剤などによる健康被害の防止のために、積極的な取組みを進めます。

【環境健康被害対策】
環境汚染を原因とする健康被害(環境健康被害)は、水俣病など四大公害病からアスベスト問題に至るまで様々な形で人の生命・健康を侵していますが、これに対して国は十分な対応や対策を行ってきていません。特に、水俣病については、政府の公式確認後、50年以上が経過した今もなお全面解決に至っていません。
民主党は、現在までのような役所の都合を最優先に考えた被害者を切り捨てるようなやり方を改め、人間の尊厳を最優先に考え、迅速で十分な環境健康被害対策を行うことを約束します。

環境健康被害者救済及び環境健康被害防止対策
~環境健康被害者を一人でも多く、一刻も早く救うために~
環境健康被害の認定基準は行政主導で策定され、科学的知見に過度に依存していることから、多くの被害者が行政救済の対象となっていません。また、認定を求めて訴訟を起こしても裁判が長期化し、迅速な補償・救済を受けられない現状にあります。
 一方で、環境健康被害の防止については、行政の怠慢と無責任主義により原因の解明と確定に長期の時間が費やされることによって、被害がより深刻に、そして、より拡大している現状があります。
 そこで、民主党は、環境健康被害の回復・軽減策及び被害防止対策の迅速な実施を図るため、①健康被害者救済に関する基本施策の策定、②原因究明調査・研究を国などに義務づけ、③認定基準の緩和、④行政からの独立性を高くした認定機関「環境健康被害等基準策定等委員会」の設置、⑤訴訟関連支援制度(相談窓口の設置、医療専門家・科学者・海外知見等の紹介等を国等に義務づけ)の整備、⑥救済給付制度(医療費、療養費、交通費等)の整備―などを定めた「環境健康被害者等救済基本法案」を国会に提出しています。同法の制定によって、これまで解決できなかった公害健康被害者の大多数が迅速に救済されることになります。
また、水俣病、アスベストによる健康被害などの個別的な対策が求められている環境健康被害については、個別に立法を検討し、速やかな被害者救済と被害の拡大防止を図り、包括的な解決に向け全力で取り組みます。

●環境健康被害者等救済基本法を制定します
・環境健康被害者等の迅速な救済の実現
・認定基準の策定等における公平性の確保
・速やかな原因究明体制の確立

●水俣病に係る被害の救済に関する特別措置法(仮称)を制定します
・未認定患者をはじめとする広範囲の被害者への療養手当の支給
・国の責務として被害の実態調査を実施
・国の責任が認定された水俣病関西訴訟最高裁判決を踏まえた賠償金額の設定

●石綿対策基本法(仮称)を制定します
・アスベスト健康被害の防止と救済及び患者への支援の実施についての基本計画を策定
・アスベストにばく露した者に対する健康管理制度を確立
・アスベスト及びアスベスト含有製品の把握・管理・除去・廃棄などを含めた総合的対策を一元的に推進

●石綿健康被害救済法を改正します
・アスベストによる健康被害を受けている患者及びその家族が確実に救済(補償)を受けられるよう体制を整備
・石綿肺等の中皮腫、肺がん以外のアスベスト関連疾病を指定疾病に追加(救済(補償)対象の拡大)
・救済(補償)内容について、患者やその家族のおかれた実情を踏まえ見直し

【大気汚染対策】
 平成19年7月に環境省が取りまとめた「微小粒子状物質曝露影響調査」の結果によりますと、大気中のPM2.5(直径2.5μm以下の微小粒子状物質)の濃度が上昇すると呼吸器系疾患での死亡リスクが増加する可能性が明らかであるとしています。さらに、同年8月に和解に達した東京大気汚染公害訴訟(原告:都内のぜん息患者ら633名、被告:国・東京都等)の和解条項では、欧米諸国に比べ我が国の大気環境基準の設定の遅れが指摘されているPM2.5について、「直ちに環境基準を設定するものではない」としながらも、「検討する」と明記しています。
民主党は、こうした状況を踏まえ、生体影響への懸念に加え、新たな公害の発生を未然に防ぐためにも、PM2.5の環境基準を早急に設定し、PM2.5に対する規制等の対策を強力に推進します。
また、自動車NOx・PM法に基づく対策地域を有する大都市圏での二酸化窒素濃度の環境基準は依然として未達成のままであります。
民主党は、道路環境対策(道路の高架化・地下化等)、流入車対策(ステッカー制度の導入等)や排ガス削減対策(ロードプライシング制度の導入等)など、大気環境改善のための諸対策を積極的に推進します。
一方、近年、我が国では、かつて社会問題ともなった光化学スモッグの原因の一つである光化学オキシダント(Ox)濃度の上昇が懸念されております。光化学オキシダントの増加原因は特定されていませんが、大陸からの大気汚染物質の流入や窒素化合物(NOx)と揮発性有機化合物(VOC)の濃度比の変化などが関係しているともいわれています。
そこで、民主党は、主たる原因と目されている越境大気汚染防止のための国際ルールの策定や大気汚染の悪化が著しいと指摘されている中国等に対し、大気環境改善のための規制強化を働き掛けていくとともに、それに必要な環境技術協力や資金支援などの国際協力を拡充・強化します。

●大気環境改善のための諸対策を積極的に推進します
・PM2.5の環境基準を早急に設定及びPM2.5に対する規制等の対策を強力に推進
・道路の高架化・地下化を推進並びに流入車抑制のためのステッカー制度及びロードプライシング制度を導入
・越境大気汚染防止のための国際ルールを策定
・環境技術協力や資金支援などの国際協力を拡充・強化


【生物多様性の保全と持続可能な利用】
①生物多様性基本法の制定
近年、絶滅危惧種の増加、農作物などに影響を及ぼす野生生物の保護管理対策、外来生物対策など、生物多様性の保全について、複雑な問題が山積しています。民主党は、「ヒトと野生生物との共生」をめざしており、環境基本法の理念を生かし、2008年の169通常国会において、わが党が主導し、超党派の議員立法による「生物多様性基本法」を成立させました。
さらに、豊かな生態系を育む自然環境を国際的に保護するための基金等への拠出を推進し、生物多様性に関する国際的な調査研究をNGOなどと協力しながら積極的に推進します。
特に、湿地は様々な生物が生息し、渡り鳥の中継基地になるなど、生物にとって重要な空間となっているのですが、埋立等により多くの湿地が失われてしまいました。残された貴重な湿地を保全し、失われた湿地を回復するために、湿地保全法を制定します。

●「ヒトと野生生物の共生」をめざします
・計画の立案段階等での環境影響評価(SEA)の確実な実施
・地域の生物多様性の保全
・国土及び自然資源の持続可能な利用等の推進

●湿地保全法を制定します
・保全すべき湿地の指定と周辺環境の保全・整備
・回復すべき湿地の指定と回復計画の策定
・回復のための事業実施とモニタリング

②クマ対策
近年、クマの異常出没が急増し、それに伴う人的被害や農作物被害などの物的被害が深刻化の度を増し、社会問題化していることから、民主党は、2006年11月、クマ対策として、「ヒトとクマとの共生プラン」を発表しました。同プランでは、科学的調査に基づくクマの個体数の適正管理のもとでの「人的物的被害の防止」と「個体数保護」の両立をめざしながら、当面策と中長期的な対策を提案しています。
クマの異常出没の原因をたどると、最終的には「生態系」の破壊・喪失にその元凶を見出すことができます。これまでのクマ対策は、どちらかというと場当たり的な応急対策、すなわち対症療法的対策の繰り返しに終始してきたきらいがあります。
民主党は、かつてヒトとクマが共生し得た時代が存在した事実を想起し、生息地管理・中山間地域の活性化・被害防除を三本柱として、ヒトの安全確保と農作物被害等の防止のための措置を確実に講じながら、可能な限りの「生態系」の再生・回復に取り組むことにより、クマ問題の抜本的解決をめざします。

●クマ問題の抜本的解決をめざします
・クマ遭遇の未然回避対策
・クマの追い払いなどに効果が期待できるベアドッグの導入促進
・個体の適正管理のための継続的かつ科学的な調査・研究の実施

③外来生物対策(移入種対策)
国内の生態系を破壊する外国からの移入種が全国的に問題となっています。これらを規制するため、民主党は、国内生物種台帳の整備・公表、規制対象の拡大などを盛り込んだ「外来生物種規制法案」を政府案への対案として2004年の159通常国会に提出しました。今後も、外来生物の生態、被害、利用に係る幅広い情報の収集・整備を行うとともに、生態系等に係る影響を効果的・効率的に評価する手法を確立します。また、効果的・効率的な防除の実施に係る手法・体制の構築と普及啓発を推進します。そして、予防原則に基づいた移入種規制の強化・非意図的導入(他のものに混ざったりして国内に入ってくること)の実態把握と対応に取り組みます。

●外来生物(移入種)により破壊された生態系の回復をめざします
・生態系を破壊する外来生物(移入種)の指定
・生態系回復計画の策定と事業の実施
・生態系回復事業のモニタリング
・各種規制の強化(輸入禁止、繁殖禁止等)

④動物愛護
2005年の162通常国会において、動物愛護管理法改正案(衆議院環境委員長提出)が成立しました。この改正案の策定過程において民主党は、特に動物実験の規制等について強く主張しました。具体的には、①動物実験の3R(代替法、数の削減、苦痛の軽減)の明文化、②動物虐待の定義の明確化及び罰金増額、③動物由来感染症の予防と生態に応じた飼養の努力義務化、④動物取扱業の範囲に移動販売業・理美容業等を追加などの提案をまとめ、与党との協議で合意したものは改正案に反映されました。
民主党は今後も動物愛護の徹底に向けた取組みを一層進めます。特に、不幸にも捨てられた犬猫が殺処分されずに生存の機会が得られるような環境整備に尽力します。

●犬猫の殺処分数の削減をめざします
・収容される犬猫の保護期間の延長
・保護施設の拡大、NPO等への譲渡の推進

⑤自然環境保護
日本の自然公園は、優れた自然の風景地の観点から指定されているため、最も広い範囲をカバーしている保護地域制度ですが、国や自治体が所有する部分はごくわずかで、大部分が民間の所有となっており、十分な管理ができていません。こうした自然的価値の高い核心地域は、生物が自由に移動でき、遺伝子的な生物多様性が保全されるよう、孤立した形ではなく、「緑の回廊」になっていなければなりません。
民主党は、保護指定地域における管理を科学的で様々な主体によって行い、その取組みを科学的に評価し、フィードバックできる制度を確立します。また、日本に残された価値の高い自然を保護するため、こうした地域の指定を行うとともに、その所有・管理を国・自治体で進め、取得については国の費用で計画的に進めます。また、近年、民間団体が、市民や企業から寄附を募り、身近な場所にある価値の高い自然を、将来世代のために自ら買い取り保全する「ナショナル・トラスト」活動が各地で行われており、こうした民間の取組みも積極的に支援します。

●自然公園における公的な土地を増やします
・価値の高い自然地域を自然公園として指定
・自然公園の国、自治体による所有・管理の促進、国費による土地の取得

⑥里地・里山の保全
人の手の入らないありのままの原生的自然を将来世代のために保全していく必要があることはいうまでもありません。一方、人が手を入れることによって維持されてきた、わが国の国土の約4割を占める里地や里山の自然が、過疎化や高齢化の進展、廃棄物処分場の建設などにより急速に破壊されている現状にも対応が求められています。
地域にある文化や伝統を活かし、地域による自立的管理が可能となる地産地消の経済システムをつくることで、世界に誇ることのできる日本の里地・里山の自然を保全する必要があります。
環境体験学習、エコツーリズム、国産材の利用など消費面を含めた農山村の活性化対策などを導入しながら、ビオトープ(生物生息空間)・ネットワークとして整備を進めるとともに、地域の経済・物質循環を推進し、地域やNGO等の活動により維持されてきた里地・里山特有の自然環境を積極的に評価し、支援する仕組みを確立します。
また、日本の農業を質・量ともに再興し、有機農業の推進によって育まれる命あふれる健康な大地を取り戻さなければなりません。農薬や化学肥料の使用量を減らし、里地・里山を活用した循環的で地域の生態系を保全できるような農業を推進します。

●里地・里山の保全を行います
・地域循環型の経済・農業の構築

●循環型の農業を支援し、自然と調和した農業とします
・有機農業に転換する農業者への助成の実施
・循環型農業への支援

⑦森林保全と持続可能な森林経営
森林は、保水機能や防災機能、生物多様性の確保に加え、地球温暖化対策としてのCO2吸収機能など、非常に重要な公益的機能を有していますが、それに見合う管理が十分に行われていません。森林から受ける恩恵を将来の世代に引き継ぐためにも、森林の整備を十分に行う必要があります。間伐などの森林整備を公共事業として行い、環境の視点からの森林管理と持続可能な森林経営を行うことができるようにします。

●森林整備への支援を拡大します
・間伐事業の公共事業化(支援の大幅拡大)
・複層林への転換の促進
・自然林の保全

⑧海洋保全
自然状態を保持した海岸は、生物の繁殖・生息の場として重要であるにもかかわらず、都市化や工業用地の確保のために、人工海岸が急速に増加しました。現在、日本の海岸のおよそ33%が人工海岸となってしまっています。しかし、いったん人工海岸としてしまうと、もとの生態系に戻すことは不可能に近く、これ以上の人工海岸化は厳に慎むべきです。特に、干潟と珊瑚礁については、その周辺も含めた保全を図り、日本に残された貴重な自然・生態系を保全します。

●自然海岸保全法を制定します
・海洋資源の保全
・自然環境、生態系の保護

以上

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