民主党の強い要望で、「消された年金」、すなわち厚生年金の標準報酬月額の改ざんを審議するための閉会中審査が、参院厚生労働委員会(岩本司委員長)で実現。森ゆうこ、蓮舫、中村哲治各議員が、改ざんには社会保険庁の組織的関与や指導があったのではないかと追及した。
森議員は、社会保険庁の職員の関与が認定された1件について、職員の証言では標準報酬月額の改ざんを「自分の判断でやった」となっているが、その動機を調査したのかをまず質した。舛添厚生労働大臣は、「もう一度調査する」と答え、動機を把握していないことを認めた。
森議員は、この職員(当時は麹町社保事務所の徴収係長)から聞き取り調査をした際のメモなどの資料を委員会に提示するよう求め、理事会で協議することとなった。
また、尾崎孝雄さん(滋賀県の社会保険事務所で、保険料徴収などを担当。組織的関与があり、自分も改ざんしたと党の厚生労働部門・総務部門の合同会議で証言した)について、舛添大臣が9月9日の会見で「共同正犯」と呼んだことに言及、「口封じではないか」と強く抗議した。その上で、委員会に参考人として招致することを要求、理事会で協議されることになった。
蓮舫議員は、冒頭、三笠フーズによる汚染米不正転売を取り上げ、厚生労働大臣として、回収命令をなぜ出さなかったのか追及。舛添大臣は、「自主回収が一番いい形、一番早い良い」と答えた。
また、蓮舫議員は、農水省による転売先の公表について、「いたずらに不安を煽る。公表は適正だったとは思えない」として、誰の判断で公表したのかと質した。舛添大臣は「総理大臣」と答えた。
次に「消された年金」問題について追及。特に、社会保険庁が、財産権の侵害という認識をもたず、総務省の第三者委員会でのあっせんに従うとしていることを批判。どうして記録を訂正しないのかと厳しく問い質した。社会保険庁は「確認申立書を本人から出していただければ訂正の事務処理に入る」と、ここでも悪しき申請主義を貫いた。
また、蓮舫議員は、この問題での全国調査を要求。舛添大臣は「すぐに作業にかかる」と答えた。
組織的関与について、蓮舫議員は、新しい証言が続々と民主党に寄せられていることを明らかにした上で、認めるように迫った。舛添大臣は、「あったであろうと思っている」と認め、特に、「保険料の遡及訂正を同僚までやっている場合は限りなく黒に近いと思っている」と答えた。
中村議員は、標準報酬月額の改ざんなどが起きる原因として、保険料の徴収率アップ競争と報奨金ともいうべき名目の予算にあるのではと質した。舛添大臣は、「きちんと調べなければ分からない」と答え、実態が不明であることを暗に認めた。
また、中村議員は、保険料の分割納入が認められているが、この指導徹底はあったのかを質した。舛添大臣は、通達が出されたのが平成19年4月でそれ以前はなかったことを認めた。
このため、中村議員は「現場任せ、それが一番の問題。だから安易に改ざんに走る」と批判した。
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