民主党厚生労働部門・総務部門は19日午後、国会内で合同会議を開催。厚生年金記録の改ざんについて社会保険庁よりヒアリングを行った。
冒頭、山田正彦『「次の内閣」ネクスト厚生労働大臣は挨拶の中で、18日の厚生労働委員会において舛添厚生労働大臣が年金記録の改ざんに関して、社会保険庁の組織的な関与があったことを事実上認めたことを受け、事実解明に向け全力を尽くす方針を示した。
長妻昭ネクスト年金担当大臣は、舛添厚労大臣の発言に関して「ここからが始まり」として、これまでの被害者、社会保険庁の元職員らの勇気ある発言の成果であると謝意を表明。そのうえで、これ以上隠蔽工作を続けて国民に対して迷惑をかけることがないよう、社会保険庁に対して強く反省を促した。さらに、厚生年金の記録の改ざんが疑われる約6万9000件という数字については「氷山の一角」との認識を明示。正直に事実を公表するよう求め、徹底追及の姿勢を強調した。
会議では、前回の会議において回答・資料の提出を要請した(1)改ざんの疑いのあるA社長の標準報酬月額改ざんについての調査報告、(2)斎藤春美さんの標準報酬月額改ざんについての調査報告、(3)社会保険事務所の元職員の証言によって明らかになった滋賀県での事務処理に関する調査の中間報告などについて社会保険庁よりヒアリング。社会保険庁側は記録の改ざんに関与したとされる担当職員が休職中のため調査が進まないなど言い訳の答弁に終始し、それぞれの調査結果の目処についても明言を避けた。
A社長は、保険料を滞納した場合は高利貸し並みの14.6%の利息が課せられる一方、本来支払われるべき支給額が遡って支払われる場合には何もペナルティがないと指摘。利息を下げるなど中小企業への配慮を求めるほか、運用面でも努力を求め、前向きなスタンスをと求めた。
標準報酬月額の改ざんが認められた斎藤さんは、自分のように源泉徴収票など確固たる証拠を持ち得ない被害者が多くいることを危惧。被害者からの申し出を待って対応する申請主義を改め、改ざんの記録の可能性があると思われる人には社会保険庁の方から働きかけるよう強く求めた。
また、改ざんなどの不正行為を証言した社会保険事務所の元職員の尾崎さんは、改ざんに係っていた職員を罰するとの舛添厚労相の発言を問題視。隠蔽工作、偽証を繰り返すのでは何の解決にならないと、事実を認められる環境づくり、制度改革が必要だと主張した。
舛添厚労相が改ざんの可能性を示唆した6万9000件について、社会保険庁は年金記録確認第三者委員会が改ざんを認定した事案88件を分析し、9割が該当する3つの条件をもとに抽出されたことを明らかにした。オンライン上の全ての記録から(1)標準報酬月額をさかのぼって引き下げた日か翌日に厚生年金からの脱退処理がなされている(2)月額が5等級以上の極端な引き下げがされている(3)半年以上さかのぼって月額が訂正されている――の3条件をもとに、抽出した結果が6万9000件であると社会保険庁は説明。しかしながら、出席議員からは、意図的に数字が少なくなるよう条件を設定しているとの指摘があり、一番多いと思われる納付期間の改ざんを含め、実態に即した調査をするべきであるとの指摘が続出した。
会議では、社会保険庁の不誠実な答弁に議員も呆れ、直接作業を行う業務センターに視察することも視野に入れながら、事実解明、被害者救済に向けて引続き徹底追及することを確認した。
|