菅直人代表代行は20日午後、岡島一正・千葉県第3区総支部長とともに、JR鎌取駅近くで街頭演説を行い、汚染米に代表されるように官僚主導政治がもたらす弊害が次々に噴出するなか、国民のための政治を取り戻すために政権交代を果たしたいと力説し、その実現のために民主党に力を貸してほしいと訴えた。
岡島総支部長は、郵政民営化が争点となった先の総選挙後、皆さんの暮らしは良くなったかと聴衆に問いかけ、「中央が集めて中央がムダ遣い」する構造は変わっていないと指摘。
また、75歳以上の高齢者を区別・切り捨てようとする後期高齢者医療制度の問題を取り上げ、「74歳と75歳のお年寄りで何がちがうから区別するのか、わからない。だれも説明できない」と述べ、高齢者にかかる医療保険を削減したいという厚生労働省の官主導で行われた、あたたかさのかけらもない、官僚の論理だけでつくられた同制度を非難した。
さらに、かつてNHK特派員として戦地に赴いた経験を語り、「そこで見たのは政治家が判断を誤ると、ふつうの人々が命を落とすということ」だと訴え、平和なはずの日本でも政治の誤りによって命を落とす国民が後を絶たないと主張。民主党主導の政治に変えていくことで、そうした世の中を正していきたいと聴衆に力説した。
岡島総支部長はまた、自民・公明両党が10月26日投開票で合意したとされる報道を問題視し、「日本国憲法によれば国会を解散する権利をもっているのは総理大臣だけのはず」と断じ、福田首相が辞任を表明し、次の首相が決まってさえいないのに自公両党の合意によって政治が決まっていくことに異を唱えた。
「このことが日本の政治を象徴している。自公という組織が存続さえすればいいという構造なのだ」と断じ、そうした政治に終止符を打ち、「国民にとってのいい国をつくるため、いっしょに戦おう」と訴えると、聴衆からは大きな拍手が沸き起こった。
続いてマイクを握った菅代表代行は、「今、自民党は総裁選を続けているが、その間に心配なことが次々に起こっている」と語り、汚染米の問題にまず言及した。
この問題をめぐって菅代表代行は、「このお米は民間が買ったのではなく、農水省が輸入し、販売したもの。そこにより大きな問題がある」として、本来であれば農水省が強い責任感をもって管理し、流通先まできちんとチェックするべきものであったはずが、食用への転用が次々に行われ、問題業者へ96回もの立ち入り検査を行いながらも、実態をつかむことができなかった農水省のあり方そのものが問われる問題だと指摘した。
同時に「農水省の責任ではない」と言い放った農水省官僚、さらに、その主張を鵜呑みにしてかばい続ける農水大臣という構図がそこにあったと分析してみせ、「(国民と官僚の)どっちの方向を向いているのか。役人をかばうのが政治だと思っている」と、自公政権の大臣の姿がそこにあると断じた。
かつて自らが厚生大臣だった当時も薬害エイズ患者から話を聞こうとしたとき、「大臣は被告、患者は原告なので、会って話をするのは裁判制度上おかしいので会わないでくれ」と再三にわたって官僚から進言されたエピソードを語った。そのうえで菅代表代行は、「憲法のどこにそんなことが書いてあるのか。大臣は被告であるまえに、国民が選んだ国会議員が、そして、国会議員が選んだ総理大臣が、さらに、総理大臣が選んだ厚生大臣なのである。つまりは、国民に選ばれた大臣であるはず」と指摘。国民によって送り込まれた大臣である以上、国民の利益のためだけに仕事をするのが本来の姿であるはずだと改めて問題提起した。
天下り先を見つけるために汲々とする官僚政治が続くなかで、大臣までもが国民のためではなく官僚を守るための政治、官僚の失敗を隠すための政治を行う形ができあがっているところに、そもそもの問題があるとの認識を示した。
「だから何回大臣を変えても、政治がまともになってこない」と断じ、「本当の意味でみなさんを代表する政治家が責任をもって内閣をつくり、新しい政治をつくっていく形に変えていこう。それが問われているのが今度の解散・総選挙だ」と訴え、民主党への支持を訴えた。
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