参院本会議で3日午前、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して国民新党の自見庄三郎議員が質問に立ち、(1)米国の金融危機について、(2)郵政民営化の見直し、(3)後期高齢者医療制度と骨太2006の撤廃――をテーマに麻生首相をはじめ関係閣僚に見解を質した。
自見議員ははじめに、麻生首相の所信表明演説を「強者の論理であり、弱者や敗者に注ぐ温かい配慮は感じられない」と総括。また、民主党のみを仮想敵視して、「われわれ少数野党は眼中にないようだたった」と述べ、議会制民主主義の基本に反するものだと批判した。
その上で、小泉政権以来、「改革」の名のもとに推し進めてきた「規制緩和」「市場原理政策」も、地方・弱者切捨てなどの弊害が次々に噴出、ようやく見直しの気運が生まれているとの見解を明示。米国の今回の金融危機についても政府による規制緩和と市場原理主義が代償であると分析、市場の失敗をカバーするためには国が関与する公的機関があることが必要だとして「官」と「民」の「ベストミックス」こそ望ましい国の姿であると主張した。
「官から民へ」のフレーズのもとに3年前民営化された郵政事業についても、いまや後期高齢者医療制度とともに地域・弱者切捨てという社会問題になっていると指摘。「近くに郵便局がなくなり遅配が多くなった」「手続きが煩雑になった」など都道府県の消費者センターに寄せられている郵便局関連の苦情・相談をどう考え、郵政事業の現状をどう受け止めているかと問質した。
後期高齢者医療制度については、「医療費削減ありきの市場原理主義政策と財務省の財政再建原理主義が生み出した冷酷無慈悲、無情の政策である」と断じた上で、総選挙戦時には「抜本的見直し」を承認した麻生首相が所信表明演説では、「見直しを検討する」に留まったと指摘。どう見直すのか、さらには老人保険制度にいったん戻したうえで、より良い方法を考えるべきではないかと提案した。また、麻生首相の「骨太方針に基づく毎年2200億円の社会保障費の削減を2010年度から凍結する」との発言に対して国会の場での確言を求めた。
麻生首相は、郵政民営化については、民営化のメリットを努力していると強弁。地域住民の指摘については、検証し必要な対応をすると答弁するに留まった。
野田消費者行政推進担当大臣は、付帯決議にあった利便性の確保に向けて最大限努力すると答弁。後期高齢者医療制度については、麻生首相、舛添厚生労働大臣ともに、「廃止ではなく高齢者の心情に配慮し、納得してもらえるように見直しする」として、1年を目途に検討をするとの発言に留めた。また、老人保健制度へいったん見直すことは否定。さらに、2010年以降の社会保障費の削減をの凍結については、財源を勘案した上、予算編成の過程で検討するとして、前言を撤回する内容となった。
自見議員は最後に、政治と宗教の関係、政教分離に言及。「民主党とともに議論を深めていく」との意向を語った。
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