3日午後の参議院本会議で、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して、田中康夫議員(新党日本代表)が質問に立った。
田中議員は「物質主義から脱・物質主義へ」として、供給側の都合から消費側の希望に根ざした仕組みへ世の中の有り様を抜本的に再構築すべきと主張。「社会的公正と経済的自由」を同時に達成し、混迷する日本にダイナミズムを取り戻すことが、自分の哲学であり使命である」と述べた。
また、不景気から日本が抜け出せない最大の理由は、既得権益に寄り掛かる政官業の利権分配ピラミッドの存在に起因するという見解を示し、首相の認識を質した。麻生首相は、内需の弱さや米国の金融危機を原因に挙げ、経済の活性化を妨げる暮らしの不安を取り除き、規制改革を進めることが重要だと答えた。
田中議員はまた「現場主義・直接対話」の精神で「発想を変え・選択を変え・仕組を変えよう」と訴え続けた信州・長野県知事時代の取り組みとその成果に言及。中川経済財政大臣に日本経済復活のための政策について財源を示すよう求めたが、財務相は、提言は任命前に発表したもので大臣の立場から答弁することは差し控えるとして明確な説明を避けた。
さらに、省庁の全事業予算について、起案作成段階からゼロベースで見直しが必要だという考えを示し、巨額の農業土木の公共事業予算書を例に、石破農林水産大臣に意識改革への意思を質した。石破大臣は、事業評価の適切な実施と検証をはかり、効率的かつ透明性の高い事業につとめる考えを答弁で述べた。
田中議員は、英ヘッジファンドによる電源開発株式会社への投資に関し、経済産業省から発せられた中止命令と、日本の企業連合がシンガポール最大の電力会社の全株式を取得するという発表に言及、日本政府の判断に整合性があるか質した。麻生首相は、前者は電気の安定供給や核燃料サイクルに影響するため日本の法令に基づいて命令したこと、後者の株式所得は同国の法令に基づき適切に行われたとして、ダブルスタンダードとの指摘は当たらないと語った。
田中議員はこのほか、望ましい消費者庁のあり方、原産地呼称管理制度、森林整備などについて関係大臣の答弁を求めた上、地政学的に重要な拠点に位置するニッポンが名実共に「信じられる日本」として世界に認められるよう「的確な認識・迅速な決断・明確な責任」の下に地歩を固めることこそが肝要と指摘して質問を終えた。
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