民主党厚生労働部門・総務部門は3日午後、国会内で合同会議を開き、本日新たに発表された「消された年金」の疑いのある件数、同日朝の舛添大臣の記者会見――の2点について社会保険庁よりヒアリングを行った。
厚生年金の支給額算定の基礎となる標準報酬月額の改ざん問題で、社会保険庁が、標準報酬が極端に引き下げられた記録が約75万件あったと発表、舛添厚労相がこれらの記録について改ざんの可能性を示唆したことを受けたもの。
社保庁は、国の第三者機関が認定した改ざん事例など88件を調べた結果において共通した(1)標準報酬引き下げの直後になされた社会保険からの脱退処理(資格喪失)を社会保険事務所が行った(2)標準報酬が5等級以上引き下げられている(3)半年以上さかのぼって引き下げられた――の3条件に絞込み、コンピューター上の厚生年金記録1億5千万件の中から、この3条件に該当する記録を抽出したところ、(1)が15万6000件、(2)が75万件、(3)が53万3000件あったことが判明。3条件すべてに該当した記録、約6万9千件について、既に改ざんの可能性が高いと公表しており、民主党では、その後、それぞれの数字を調べるよう求めていたが社会保険庁から回答はなく、本日の発表となった。
山田正彦『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣は挨拶の中で、約6万9000件については当初から「氷山の一角」との認識のもと追及してきたが、民主党の再三にわたる資料要求には応じないままに厚労省から発表されたことを問題視。「こんな腹立たしいことはない」と述べ、「消えた年金」、「消した年金」ともにしっかり追及していく構えを示した。
長妻昭ネクスト年金担当大臣は、農水省同様に厚労省に対しても自民党国対から資料要求への対応について「資料要求があった場合は事前に自民党側に提示する」ように要請があったことが明らかになったと言及。民主党議員の資料請求に対しては「精査中」を繰り返し提出しなかったのは、「自民党と結託したサボタージュである」と指弾、情報隠しの姿勢を改め、速やかに提出するよう求めた。
蓮舫ネクスト年金担当副大臣は、民主党の請求を無視していきなり舛添厚労相が発表したことに不快感を表し、資料要求云々ではなく問題にどう対応していくかを前向きに一緒に考えていきたいと話した。
会議では、自民党国対から資料要求への対応について、既存の資料を提出するような場合を除き、自民党国対に報告するよう要請があり、それに従って民主党からの資料要求に応じなかったことを取り上げ、「行政行為として不適切」「三権分立に違反する」「議院内閣制に反する」と指摘。2日午前に行われた民主党の会議において既に資料がありながら提出せず、閣議決定がなければ公表できないとする態度を示してきた点を厚労省に質すと、その時点では「数字はあったが精査中の数字であり出せるものでなかった」と苦しい説明を繰り返した。
また、3条件それぞれについて、改ざんの可能性がないと証明ができている件数は何件かとの質問に対しては、何の根拠もないまま現場の担当者の判断として「相当数は適切でない」と主張。また、3条件に合致する受給者2万人についての訪問調査の開始時期に関する問いには10月中ごろからと回答したものの終了次期については明言を避け、曖昧な姿勢を露見させた。
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