14日、参議院予算委員会の質疑で民主党の小宮山洋子議員が質問に立ち、地球温暖化防止の京都議定書に対する政府の対応などを質した。
小宮山議員は冒頭、新たに明らかになった鈴木宗男議員の外務省職員への暴行事件の実態を川口外相に質した上で、同件を記録した外務省内部報告書と当該外務省職員の診断書の提出を要請。川口外相から「委員会の指示に従う」との答弁を得た。同時に小宮山議員は「これは暴行傷害事件だ」とし、鈴木議員の証人喚問の早期実現を求めた。
続いて、小宮山議員は「環境分野で今年最大の課題は地球温暖化防止のための京都議定書を8月に行われるヨハネスブルグ・サミットで発効させることである」との見方を示した上で、日本政府の批准に向けての決意を大木環境相に質した。環境相は「環境の分野で日本がリーダーシップをとることは外交の大きな柱としても努力すべき」とし、発効にむけて前向きな姿勢を示した。
その答弁を受けて小宮山議員は米国案を小泉首相が評価した点について、問題提起した。ブッシュ政権は2月、GDP当たりの温室効果ガス排出量を18%削減するとの政策を発表。これは事実上、排出増を容認する内容であり、欧州諸国や環境団体、米国議会内からさえも反発の声が上がっていた。その点を指摘した上で小宮山議員は「同盟国として日本は米国に対してきちんと忠告すべき」とし、相反する行動に出た小泉首相を批判。米国案を排して京都議定書批准へ復帰するよう米国への積極的な働きかけを大木環境相に求めた。
大木環境相は「京都議定書に近づくプロセスのひとつとも考えられる」などと答弁。 それを受けて小宮山議員は2月末から3月にかけて行われている日米事務レベル協議の内容、4月の日米閣僚級会合の目的などについて質問。京都議定書批准への道筋づくりにつながるかを議論した。併せて地球温暖化推進本部の方針が2月13日に決定され、まもなく新大綱が決定される点を取り上げた。小宮山議員は「なぜ省庁内の密室でことが決まってしまうのか」と問題提起し、国民の協力が不可欠の問題であるからなお更のこと、オープンに議論し、国民の声を反映させていくことの必要性を訴えた。
また、産業部門で7%削減するとしている点に言及。「産業界の反対への対応策」「実現への道筋」を問う小宮山議員に、平沼経済産業相は「負のイメージで捕われがちだが、技術革新を生み出すなど、プラスにすることもできる」として、技術革新等で最終的な目標達成へ近づけるとした。小宮山議員は「国際競争のなかでも早く取組んだ方が勝ち残る確率はより高くなる」として、早期着手を提起した。またヨハネスブルグ・サミットに間に合うよう、6月初めまでに国会で決定が下されるよう、「最大限の努力」を要請した。
続いて小宮山議員は厚労省が提示している、低所得の母子家庭に支給している児童扶養手当の見直し案について質した。同案は、今年8月分から支給対象を年収365万円未満に拡大する一方、約51万円の満額支給対象を年収130万円未満に引き下げる。年収130万〜365万円は年収が1万円増えるごとに手当を約2000円減らすなど、小刻みに減額。支給対象世帯の半数近くが減額となる。
小宮山議員は窮状を訴える母子家庭からの訴えなどを紹介し、「こういう実態があっても削減が先と考えるのか」と政府の対応をきびしく批判。雇用体制の拡充などによる就職支援など、自立へ向けての環境整備こそが優先項目であることを強く訴えた。
さらに小宮山議員は「たばこの健康被害」をめぐって、政府の対応の遅さをきびしく指弾。たばこによる健康被害が拡大している実態を指摘した。「たばこの警告表示の拡充、未成年者への販売規制の徹底、職場・公共の場での禁煙・分煙の推進などの重要性を指摘した。
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