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2008/10/15
民主党の金融危機対応案を『次の内閣』にて了承
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 15日開催された『次の内閣』にて、民主党の金融危機対応案について、大塚耕平・金融対策チーム座長より報告があり、了承された。内容については以下の通り。

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2008年10月15日
民主党金融対策チーム

 現下の金融危機に伴う、金融市場の流動性不足、企業金融における信用収縮、本格的なリセッションリスク等に対して、民主党は以下の項目について、公党として的確な対応を行うとともに、関係当局に適切な対応を促す。

1.流動性不足対策(金融機関対策)

(1)日本銀行の円、外貨の資金供給体制は現時点では適切に強化されており、今後も市場の動向を注視した対応を勧奨する。とくに外貨については、米連邦準備制度との為替スワップ取極によるドル資金供給可能額(引出限度額)が1,200億ドル(12兆円<100円/ドル>)に増額されているほか、期限も来年4月末まで延長されているが、市場の動向によっては、さらに増額と期限延長を行うことを求める。

(2)日本銀行の準備預金率についても、市場の動向によっては迅速に引き下げることを勧奨する。外国銀行の所要準備額は小規模であり、超過準備額(準備預金残高マイナス所要準備額)にも余裕があるものの、今後は外国銀行のみならず、邦銀の資金スクイズも予想されることから、準備預金率についても予断を抱くことなく、適切な運営を勧奨する。

(3)日本銀行の金利政策については、現状、引下げの余地が少ないことに鑑み、10月8日の各国協調利下げの際にも対応を見送った。今後も政策対応余地と代替政策手段を十分に検討のうえ、適切な運営を勧奨する。

(4)日本銀行の適格担保については、市場の動向によっては、適切のその基準を緩和することを勧奨する。なお、適格担保の運営については、金融機関の流動性対策としてだけではなく、後述の企業の信用(資金繰り)対策としても適切に運営することを勧奨する。なお、日本銀行が既に検討を進めているクロスボーダー担保制度について早急に成案を得て、制度を実働させることを勧奨する。

(5)財務省所管の外貨(外国為替資金特別会計の剰余金、積立金)についても、市場の動向によっては、流動性対策として活用する。とくに、外貨建て有価証券等の運用に回っていない財投預託金(19.2兆円<平成18年度末>)、外貨預金(14.5兆円<同>)については、為替介入の必要性等も睨みつつ、適切な範囲で流動性対策として活用する。市場の極度の緊張状態に直面した場合に、日本銀行のみならず、財務省も流動性対策に乗り出すことのメッセージ性は極めて影響が大きいものと考える。その際には、外国為替資金特別会計から日本銀行へ預金を行うことによる日本銀行経由の流動性対策、外国為替資金特別会計と民間金融機関の通貨スワップ契約(有担保が前提)、外国為替資金特別会計が保有する外貨建て有価証券(米国債等)の民間金融機関へのレポ取引などを活用した対応も検討する。なお、この機会に、これらの対策を行ううえで、外国為替資金特別会計の運用実態を確認し、同会計の機動的運用体制を確立する。

2.信用収縮対策(企業対策)

(1)企業の信用(資金繰り)対策として、公的金融の拡充を行う。1998年度に実施した中小企業金融安定化特別信用保証制度を復活させ、原資3,500億円で与信枠(信用保証枠)10兆円の拡充を行う。

(2)10月1日に発足した日本政策金融公庫の危機対応円滑化業務勘定を活用した@貸付、A損害担保、B利子補給に関する企業融資(危機対応業務)を行う。現在の情勢は、株式会社日本政策金融公庫法第2条4号に定める「内外の金融秩序の混乱」に該当する事態と判断し、速やかに危機対応業務開始の準備を進める。なお、その際には、この業務に対する民間金融機関の参加が申請主義になっている点について、金融庁が危機対応業務の円滑化に資する所要の措置を行うものとする(後述の金融機能強化法の項参照)。

(3)金融庁が9月2日に金融機関に対して発出した通知(「中小企業金融の円滑化に向けた今後の対応について」)の実効性を担保するために、リスク管理債権の定義を定めた銀行法施行規則や債務者区分を定めた金融検査マニュアルの内容を、同通知の趣旨と整合的になるような改定等の所要の対応を可及的速やかに行う。また、1−(4)に関連して、日本銀行の適格担保となる有価証券等の発行企業が、金融検査において日本銀行の判断と整合的な取扱いを受けられるように金融検査マニュアルの内容調整、金融検査官への指示等、所要の対応を可及的速やかに行う。

(4)本邦企業の海外における外貨資金繰り支援について、2−(2)の危機対応業務の一環として民間金融機関等が外貨の融通を行い得るスキームと体制を早急に検討、確立する。

3.金融システム対策(保険契約者・預金者・投資家対策)

(1)来年3月末で失効する予定の生命保険会社の契約者保護を行う「保険契約者保護機構」への公的支援(国庫補助)措置を2年間延長する。なお、延長について検討を進めている金融審議会第2部会の会合を早急に開催し、同部会の検討作業も終了させる。

(2)本年3月末で失効した金融機能強化法を当面2年間の時限措置として復活させる。その際、2−(2)の日本政策金融公庫の危機対応業務、2−(3)の金融庁通知(「中小企業金融の円滑化に向けた今後の対応について」)に対応した業務を行うために公的資金を活用できるように、旧法に対して所要の改正を行う。なお、改正預金保険法の施行(2004年8月)に伴い、大規模破綻に対する公的資金投入の枠組みは整備されている。

(3)証券会社の利用者を保護する投資者保護基金制度への公的支援を速やかに検討する。あわせて、証券金融制度、証券決済制度の実情を速やかに精査し、制度の安定性、安全性向上のための所要の措置を行う。また、レポ市場等の機能強化も図る。

(4)預金保護の上限金額、投信の元本割れ対策についても、今後、速やかに検討する。

4.証券市場対策など

(1)既に導入されている空売り規制(Uptickルール、金融商品取引法施行令第26条)などの運用を厳格に行うとともに、現行30%となっている空売りの委託証拠金率引上げを検討する。金融庁、東京証券取引所に対して、政省令、規定等の改定等、所要の対応を求める。

(2)現行証券優遇税制のうち、配当に対する軽減税率の延長を行う。譲渡益に対する軽減税率については、民主党税制改革大綱との整合性を調整のうえ、延長を検討する。

(3)内国法人の国外源泉所得に対する二重課税を排除するため、海外子会社利益の国内環流に資する税制措置(受取配当非課税などの外国税控除制度等の整備)を早急に行い、今年度決算に対して適用できるようにする。なお、その際には、海外から国内への資金環流に際しては、為替市場の動向に十分に配慮した対応を行う。

5.その他の留意事項(関係当局への要請等)

(1)今回の金融危機は民間ベースでの対応(合併等の救済策)には限界がある事態であり、国内金融機関の米国金融機関等への出資等の監視強化を行うように関係当局に要請する。

(2)米国地区連銀の株主(出資者)の調査をはじめ、世界のマネーフロー構造の監視強化を行い、可及的速やかに国会、政党に対して報告することを関係当局に要請する。

(3)国際会計基準の導入準備、検討状況に変化が生じていることから、国内金融機関、保険会社等への時価会計適用等に関する動向を注視。現状を可及的速やかに国会、政党に対して報告することを関係当局に要請する。

(4)ヘッジファンド等、国際的な投機マネーの監視強化と国際的規制の構築を行うことを、適切に諸外国に提唱するよう、関係当局に要請する。

以  上

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PDF 民主党の金融危機対応(概要)
PDF 民主党の金融危機対応
PDF (参考1)金融行政の変遷
PDF (参考2)金融機能強化法と改正預金保険法
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