参議院予算委員会で16日午前、平成20年度補正予算案の締めくくりの質疑が行われ、水岡俊一議員が質問に立ち、社会保障制度に関する問題を中心に関係閣僚に見解を質した。
はじめに、14日の参院予算委員会における舛添厚生労働大臣の「政府は『100年安心プラン』という言葉を使ったことはない。100年程度先までの見通しを計算してやった」との発言に言及。2004年の年金改革に関連し、当時の坂口厚労相が年金改革案を説明するのに頻繁に使用していたものであることを指摘し、2006年改正の現行制度について政府としての認識を改めて質した。
舛添厚労相は、あくまでも財政上の計算を100年で行ったという意味であり「100年安心プラン」という言葉は使用したことがないと記憶していると再び主張。その後、未納、未加入に加え、消えた・消された年金記録問題などにより年金制度に対する不信や不安が噴出していることには反省の弁を述べ、不安材料を解決しながらよりよい制度を検討し構築していきたいと語った。
続いて、水岡議員は子どもたちの医療の問題を取り上げ、家庭の財政上の理由などにより子どもが無保険状態になり「病院に行けない」「医療を受けられない」子どもたちが増えていると指摘。「同情の余地がある」と他人事のような答弁を行った麻生首相に対し、人権を守る観点で保障していく必要あると迫った。舛添厚労相は、減免措置をはじめ本当に困った方々には窓口できめの細かい対応を要請、そのほか公平な負担を考慮しながら対応策を検討していきたいと明言した。
次に、辞任した中山前国土交通大臣の不適切な発言について、改めて閣僚の認識を確認。特に日教組に関する発言に関しては撤回もしてないことを問題視、「辞任すれば済むことなのか」との追及に森法務相は、憲法上保障された人権を守ることは閣僚の使命であり発言により関係者不快な思いさせたことは問題であると回答。さらに、日教組、民主党に対する誹謗について撤回がないことを指し、集会結社の自由、表現の自由を保障する立場の大臣でありながらその言動はどうかと質すと、森法務相が大臣の発言内容を把握していないことが発覚、通告済みの課題であり、詳細を調査した上で回答するよう委員長から要請を受けた。これについて、森法務相は午後の質疑の冒頭、認識の誤りを認めうえ謝罪した。
これに関連し、塩谷文部科学大臣に対して学力調査の目的を質問。塩谷文科相は、全国的な義務教育の機会均等と水準維持、学力状況を把握し指導、施策の改善に役立てることなどを挙げ、当時の文科相であった中山前国交相が日教組の強い地域は学力が低いことを明らかにするためであり、その役割は終わったとした発言は「個人的な考えである」と主張。結果についても日教組の組織率の高さと学力調査の因果関係は一概にないと回答した。水岡議員は、学力調査には昨年66億円、本年62億円がつぎ込まれていることも含めて考慮すると、撤回した前大臣の発言に国民は納得するかと指摘、再検討すべきでないかと問題提起し、質問を終えた。
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