16日午前の参議院予算委員会で、平成20年度補正予算案の締めくくり総括質疑が行われ、大塚耕平議員は金融危機対応について、麻生首相、中川財務・金融担当大臣と議論した。
大塚議員は今回の金融危機について「中央銀行がこれほど狼狽振りを見せつつ公的資金を投入したり、市場に資金を出したりしたのは、普通の状態ではない」と認識を述べた。また「銀行は、信用創造機能ができていないどころか、自分たちの経営のことを考えてどんどん企業融資を縮小している」と指摘。麻生首相は「銀行は銀行のために、というのはいかがなものかというご心配は同じ認識だ」と応じた。
金融機能強化法の復活についても質問。中川財務・金融大臣は「復活にあたっては内容もさらに向上させたい」として、地域向けの貸し出し比率をより重視していく例を挙げた。大塚議員は、経営強化計画とは別の企業金融円滑化計画を銀行に出させ、その枠で公的資金を借りるような公共資本の別供給ルートを作ることの検討を求め、中川財務・金融相は一緒に知恵を絞ることは大歓迎で、作業を進めたいと答えた。
大塚議員は、復活される金融機能強化法の提案理由に「企業金融の円滑化のため」と明文化するよう求め、協同組織への資本注入に関する旧法との違いに言及。上部組織だけでなく、信金信組など個別機関にも入れるようにするか質した。「結論はそうだ」とした中川財務・金融相に、協同組織の決算を半期で行うか、この9月期の内容の検証を行うかの態勢が必要だとした。中川財務・金融相は「直近の経営状況を見ることは当然必要になる。健全性も大事だが、国民の税金を使うわけなので、しっかりしなければならない」と答えた。
金融危機におけるG7の行動計画の評価についても質問。麻生首相は、一応の評価が上がったと思うが、不十分であるとして、まだマーケットが売り浴びせているという見方を示した。大塚議員は行動計画にある「公的資金・民間資金の双方により資本を増強」の内容について「民間資金が自らの意思で対応して、役に立つような局面と認識しているか」として、「軽々に民間資金が出ていくべきではない。日本の金融機関が出て行くときには、監督当局の制御下にある程度おいて行動しないと、後で大変なことになるという懸念を持っている」と問題の提起を行った。
大塚議員は「日本国政府は、国民の財産を守る」という観点で、民間資金という言葉が入った重みを深く考えるよう求め、三菱UFJフィナンシャル・グループの米モルガン・スタンレーへの出資について中川財務・金融相の見解を質した。民間の金融機関のビジネス判断だとする答弁に「今は平時でない」として、不利益な出資の条件変更にも言及して慎重な対応を求める考えを示した。
このほか、FRBの地区連銀の出資者構成やIMFの新融資制度について質問。「日本国民の財産を守り、日本国のマーケットを安定させることが世界の安定にもつながる。そのことを第一義に考えて適切に行動していただきたい」と語った。
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