衆院テロ対策特別委員会で17日午後、民主党提出のテロ根絶法案と政府提出のインド洋での給油活動延長法案との集中審議が行われ、質問に立った平岡秀夫議員は、まずは「国民の皆さんの良識に問いかける質問をしたい」と表明。議論の前提として麻生首相の基本認識を質すとともにこれまでの自衛隊の補給支援活動の問題点、日本が果たすべき役割について言及した。
はじめに、麻生首相の基本認識を問うとして、アフガニスタンに対する米国等の武力行使によってどの程度の犠牲者が生じているか、武力行使に協力しているとの認識を確認。麻生首相は、多くの無関係な民間人が犠牲になったことは極めて痛ましいと述べる一方、武力行使については「(攻撃が)9.11から始まったことを忘れているのではないか」と反論、テロとの戦いとの一翼を担ったものだと強調した。
次に自衛隊の補給支援活動について、テロ対策海上阻止活動(OEF−MIO)に従事している外国の軍隊等の艦船であればアフガンへの空爆、威嚇等の航空支援活動を行うものにも補給している実績があるのではないかと追及。補給した先の観戦の名前を明らかにするよう求めたが政府側はこれを拒否、一年毎にチェックしているとしながら公表しないのはおかしいとして20日の審議の際に報告するよう求めた。
また、補給支援活動がアフガンの人々に対して米国等の武力行使に加担している印象を与えているとの地元の声を紹介。アフガン人の日本人への信頼を取り戻し、アフガンでの和平構築に貢献するためにも活動は止めるべきだと提言したが、麻生首相は国際社会の一員として活動していると強弁した。
続いて、アフガンへの武力行使は国際法上どのような根拠で開始されたかと質すと、中曽根外務大臣は、9.11のテロ攻撃が国連憲章の武力攻撃にあたるとの解釈に基づいたものと答弁。平岡議員は「そんな単純なものではない」と一蹴、自衛権行使の要件を満たしていないと批判、OEF(不朽の自由作戦)、ISAF(国際治安支援部隊)の国際法上の位置づけについても、その活動内容が治安回復・維持活動になっていないと指摘、慎重な判断をと諭した。
最後に、日本が果たすべき役割として、積極的に和解交渉に臨むべきであると主張。しかしながら麻生首相は、話を聞く気がない人にどうやってやればいいのかと反論、その意思を否定した。民主党案の法案提出者を代表して犬塚直史『次の内閣』ネクスト外務大臣は、今こそ日本が主導的に和平に向け努力すべきであると表明、交渉にあたっては日本が何を提供するのかを具体的に示していく必要性を述べた。平岡議員は、アフガンの人々の期待、信頼にしっかり応えられるよう中東の和平に向けて積極的な姿勢を示すことに期待したいとして質問を終えた。
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